前回のコラムでは、ドイツでの就職活動に際して必要な情報収集についてまとめました。一般的には、転職エージェントを用いるか、オンライン上で自身にあった案件に応募する形です。

今回は、実際にドイツで仕事を応募するにあたってどのような書類が必要になってくるのかをまとめていきます。

ドイツで就職活動する際の必要書類

ドイツで求人に応募する際には、過去の実績等を常に書類で証明する必要があります。「過去の職場ではこのような実績を残しました」「このようなスキルがあります」といったことの証左は、常に裏打ちできる書類の有無によってなされます。

また、カバーレターという日本には無い欧米独特の文化も存在しており、初めて応募する場合、応募画面で戸惑うような単語に出くわすことも少なくありません。

また統計によると、現在ドイツの求人応募の74%が電子メールによって行われ、一方で旧式の郵便による応募も29%残っています。いずれにせよ、就活マナーとして「必要書類のルール」に乗っ取る必要があり、これを知らないために採用担当者の不興を買うことも少なくありません(参考: statista.de (2019)

以下、応募の際に必要となる書類とその注意点について詳しく解説していきます。

※以下に記載する書類の順であることが望ましいとされています。

カバーレター(Anschreiben)

応募書類を作成する際、一番表にくる書類がこの「カバーレター」と呼ばれるもので、日本では志望動機のようなニュアンスを持ちます。

このカバーレターの中は、基本的に以下の3つの構文で構成されるように作成します

  •  導入(端的に自己PR)
  •  本文(自身の強み、キャリア)
  •  結部(自身が応募先で活躍できる理由)

このカバーレターの要は、いかに理路整然と、自身が応募先に似つかわしい人材であるかを説明することで、そのためには、自身の経歴を簡潔に表す表現力の他、応募先の会社がどのような状況で、どのような人材を欲しているのか、に関してもリサーチする必要があります。

詳細に関しては、以下のリンク並びにテンプレートを参照ください。

ドイツ語のカバーレター(Anschreiben)の書き方

ドイツ語カバーレターテンプレート

履歴書(Lebenslauf)

日本と異なり、ドイツの履歴書(職務経歴書)には所定の形式のものがなく、自身でWordなどを使用して作成するか、テンプレートを用いるかして準備します。

日本の履歴書と同様に、盛り込むべき内容は以下の通りです。

  • 個人情報
  • 学歴
  • 職歴
  • 資格、語学など
  • 趣味、アルバイト、ボランティア等

詳細、注意点、テンプレートなどに関しては以下のコラムを参照ください。

ドイツ語での履歴書の書き方と注意点

Lebenslauf テンプレート

大学の成績証明書・卒業証明書(Abschlusszeugnisse)

就職、転職に関わらず、自身の大学の修了証書(修士、博士までとっていればそちらの修了証書も)は応募の際に不可欠な書類の一つになってきます。また、単に修了の証明だけでなく、自身の成績も併せて提出することが求められてきます。

成績・卒業証明書の言語はドイツ語、または英語であることが条件で、日本語でしか発行されていない場合、国の認可を得た翻訳者などによって捺印付きの翻訳を行ってもらう必要があります。

また言語とは別に、成績の算定基準も日本とドイツとでは異なります(ただし、一般的にドイツではアメリカ式のGPA計算方式も広く認知されているため、必ずしもドイツ式でなくても、GPA計算式であれば問題無い)。

そのため、出身の大学が独自の算定基準などを用いている場合、公的機関などを通じてGPA計算式を算出してもらう必要があります。

資格等証明書(Zertifikate)

職種によりけりですが、ドイツ人以外がドイツで就職活動を行う際、特に語学系の証明書は必須であることが多いです。具体的に、英語及びドイツ語の資格は最低でもB2レベル程度で期待されており、可能であればC1レベルの資格を持つことが望ましいでしょう。

英語の資格に関しては、主にCambridge、TOEFL、IELTSの形で提出することが一般的で、日本で用いられることの多いTOEIC形式での提出はあまり認められていません。

ドイツ語に関しては、Test Daf、DSHまたはGoethe試験などのスコアが有効です。ドイツでの就職に際して必要とされる語学力に関しては、以下のコラムを参照ください。

ドイツ就職で求められる語学力(ドイツ語・英語)について

その他複数言語(中国語、フランス語など)のスキルがあればそれらもドイツでの就職活動においては加点対象となります。

また語学以外の資格に関しても、自身の職に関連するものであれば、基本的には提出しておいて損はありません。

ただし、日本の資格類(簿記試験、FP試験、等)に関しては、日本語での提出は一般的にドイツ側の採用担当者に受け付けられない上に、スキルに関しても日独間で慣習が異なる場合、培った技能が活かせないケースも少なくありませんので注意が必要です。

過去の職場の在籍証明書(Arbeitszeugnisse)

ジョブホッピングが一般的な欧米の職場では、職場在籍証明書(Arbeitszeugnisse)というものが広く普及しており、会社を辞める際には、前職の上司から在籍証明書や、Recommandation Letter(推薦状)を発行してもらいます。

一方日本の仕事文化では、前職から在籍証明や推薦状を発行してもらう、というやり方が一般的ではありません。そのため、日本からドイツに転職する際は、度々問題の種になる項目の一つです。

もし前職の職場から在籍証明書などを発行されていなかったら、最低でも、以下の情報が分かる書類をドイツ語訳(英語訳)して添付書類として加えることが可能です。

  • 自身の生年月日及び名前
  • 在籍した期間
  • 在籍した会社名

もちろん、過去の会社でのパフォーマンスや、ポジションなども併せて得られればなおよいですが、最低限、上記の情報さえ押さえておけば、少なくとも「職歴あり」と見なしてもらうことが可能です。

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