日本の学生の間では、「大手・安定志向」が長年続いています。名の知れた業界や企業であれば、雇用が安定して給与も高いという認識から、大手企業の競争倍率が高まる傾向と言えるでしょう。
ドイツの学生にとっても事情は同じで、やはり「大手企業」の就職人気は高いと言えます。今回の記事では、ドイツ人の大学生にとって人気の高い就職企業をランキング形式で紹介いたします。
経済学部・商学部の大学生に人気の就職ランキング
順位 | 名前 | 業界 | 国 |
1位 | Apple | IT | アメリカ |
2位 | ダイムラー/ベンツ | 自動車メーカー | ドイツ |
3位 | BMW | 自動車メーカー | ドイツ |
4位 | ポルシェ | 自動車メーカー | ドイツ |
5位 | アディダス | 消費財メーカー | ドイツ |
6位 | IT | アメリカ | |
7位 | アウディ | 自動車メーカー | ドイツ |
8位 | Amazon | E-Commerce | アメリカ |
9位 | Lufthansa | 運輸 | ドイツ |
10位 | デロイト | コンサルティング | アメリカ/イギリス |
まずは、ドイツの学生の中でも特に学部人気の高いWirtschaft系の学生の就職人気ランキングに目を向けてみましょう。日本の経済学・商学部に該当するような学部で、学生は座学やゼミを通じて以下のような専攻を学ぶこととなります。
経済・商学部で学べること:
- マクロ・ミクロ経済
- 統計・市場分析
- 会計学・経理
- 人事マネジメント
- 物流・サプライチェーン
- 営業・マーケティング
- 組織論・リーダーシップ論
専攻内容を見ても分かる通り、ビジネスに直結するようなノウハウを習得する学部であり、卒業生にはメーカーからコンサル会社まで幅広い就職先が用意されている形となります。知見を活かせる領域として、海外を中心にダイナミックに活躍する場のある大手独メーカー、アメリカを中心とした多国籍企業、IT産業やコンサルティング業界、金融業界の人気が高いと言えます。
全体を通じてドイツ、アメリカ企業の人気が高いですが、アジア圏からはソニーやサムソンがランクインしています。
(参考記事:「ドイツの大学でBWLを専攻するメリットと卒業後の進路について」)
コンピューターサイエンス学部の大学生に人気の就職ランキング
順位 | 名前 | 業界 | 国 |
1位 | Apple | IT | アメリカ |
2位 | IT | アメリカ | |
3位 | Amazon | E-Commerce | アメリカ |
4位 | Microsoft | IT | アメリカ |
5位 | BMW | 自動車メーカー | ドイツ |
6位 | テスラ | 自動車メーカー | アメリカ |
7位 | ポルシェ | 自動車メーカー | ドイツ |
8位 | SAP | IT | ドイツ |
9位 | ダイムラー/ベンツ | 自動車メーカー | ドイツ |
10位 | アウディ | 自動車メーカー | ドイツ |
続いて、ドイツのコンピューターサイエンス学部の学生の人気就職先に目を向けてみましょう。経済・商学系とはうってかわって、上位勢はアメリカのビックテック系企業(GAFAM)が占めています。
コンピューターサイエンス学部で学べること:
- ソフトウェアエンジニア
- システムエンジニア
- プログラミング
- 数学・暗号
- サイバーセキュリティ
その他、「自動車系のIT工学」や「金融工学」など、個々の専門に応じたシステム系、IT系の知識を身につけられるのも特徴で、IT系だけではなくメーカーや金融系の就職先でも幅広く知識を活かすことが可能です。そう言った意味で、ドイツの大手自動車メーカーへの就職人気も高いのでしょう。
100社のうち44社がシステム・ソフトウェアの開発系の会社であり、主だったところではインテル、Sony、サムソン、富士通、IBMなどがランクインしています。
自然科学系学部の大学生に人気の就職ランキング
順位 | 名前 | 業界 | 国 |
1位 | BioNTech | 製薬 | ドイツ |
2位 | Bayer | 化学・製薬 | ドイツ |
3位 | マックス・プランク協会 | 研究機関 | ドイツ |
4位 | フラウンホーファー協会 | 研究機関 | ドイツ |
5位 | BASF | 化学 | ドイツ |
6位 | ドイツ連邦環境庁 | 官公庁 | ドイツ |
7位 | IT | アメリカ | |
8位 | ドイツ航空宇宙センター | 研究機関 | ドイツ |
9位 | ファイザー | 製薬 | アメリカ |
9位 | Bioland | 登録協会 | ドイツ |
9位 | ドイツ研究センターヘルムホルツ協会 | 研究機関 | ドイツ |
他学部とは異なり、研究機関や官公庁、登録協会といった分野の人気が高いのが特徴と言えます。勿論、大手メーカーも上位にランクインしており、BioNtechやBayer、BASF等ドイツを代表する製薬・化学メーカーなどが代表例です。
自然科学系の学部には化学、物理、工学などが含まれ、職種としてはエンジニアや研究職を目指す学生が多いのが特徴です。またドイツの場合、大学生のころからインターンシップや研究機関などを通じて専門領域の研究をおこなうことが多いため、学生時代から企業とのネットワークを作りやすい環境が備わっています。
ドイツ政府は理系専門人材を世界中から採用する試みを継続的におこなっており、企業や研究機関によってはドイツ語ではなく英語でのプロジェクトが多く存在し、インドや中国といった他国の優秀な学生が参画しています。
もっとも、こうしたランキングに登場する就職先は、あくまで「ドイツの現役大学生」にとっての人気ランキングである点に注意が必要です。日本での職歴を持つ日本人、日本語を話す人材にとっては、こうしたランキングが必ずしも就職のしやすさやその後のキャリアの発展性などに直結するとは限りません。
過去の実績を活かし、ドイツでのキャリアのチャンスを最大限に活かすためには、日本人にとっての正しい情報収集と就職先選びが重要です。