ドイツに拠点を持つメーカーの実務に欠かせない「予約」の概念。頭金やキャンセルの際の取り扱いなど、一般的な理解を深めましょう。
英語 Reservation
日本語 予約
ドイツ語 Reservierung
解説
ここでは、ドイツのメーカー業務における「予約」一般に関する概念とその考え方についてまとめます。業種、企業形態、在庫状況によっては、倉庫内の製品が全て出荷可能とは限りません。特にドイツでは、倉庫管理費や在庫リスクを最小限に抑える目的で、販売見込みより少し多い程度の製造をおこなうケースが多々あります。
そのため、「Reservieren」または「Blockieren」などを用いて、一般的に「在庫」(または製造予定の数量)の中から特定の顧客に対し一定量供給するための確約をおこないます。例えば、フランスの輸入業者P社は、ドイツの家電メーカーのK社から100台の洗濯機を購入したいと考えましたが、現在倉庫には出荷可能な在庫が存在せず、月末になって初めて新たに「500台分」が完成し、出荷可能な状況になります。K社の洗濯機は人気のため、製品が完成するのを待ってからP社が発注をするとなると、100台分まとめて購入できるかどうか怪しいところです。そのため、倉庫にはまだ洗濯機100台が存在しないものの、月末にできたもの100台を優先的にP社に販売するため、P社は製品の「予約(Reservierung)」をおこないます。
企業によって、何をもって具体的に製品予約と見なすかはケースバイケースですが、キャンセルの際にもめることとなるため、口頭による取り決めよりも「PO(Purchase order)」および「OC(Order Confirmation)」をもって売買契約を交わす方式が多いと言えます。もっとも、出荷はあくまで「製造が完了し次第」という但し書きがつく形になるでしょう。
また製品自体の「予約」以外にも、受注生産の場合、工場の生産計画の「予約」がおこなわれることがあります。先ほどのK社の洗濯機の例で例えると、P社が既存の製品ではないフランス市場向けの洗濯機を100台注文したい時、通常のラインとは別に工場を稼働させることとなります。通常の仕様向けに稼働している工場とは別にラインを貸切って製造する必要があるため、P社(あるいはP社担当の営業社員)は、工場と打ち合わせをおこない「来月の中盤ごろにフランス向け洗濯機100台を受注生産で作りたいので、この工場のスロットを貸切ってください」と交渉する必要があります。
このような場合、製品は専用のラインを使い、時間を割いてP社専用に作られることとなるため、メーカーであるK社は生産に先んじて、製品の購入を約束する売買契約書や頭金の支払いを要求することとなるでしょう。