輸出側、輸入側それぞれの思惑が入り乱れる支払い条件。その中でも折衷案として利用されやすい頭金制度について紹介します

英語     deposit

日本語    頭金/手付金

ドイツ語   Anzahlung

解説

Vorkasse(前払い)は製品の全額を前納する決済システムですが、Anzahlung(頭金)は製造にあたり一部(30%、50%等)を前払い、残りを発送時や港への到着時等に支払うシステムを指します。

この頭金制度は、主にOEM生産の場面で良く用いられる用語と言えます。

例えば、日本の自動車部品メーカーのA社は、ドイツの自動車工場O社のために特殊なケーブル部品を100,000€分生産する約定を取り付けたとします。特殊なケーブル部品を製造するには、O社用に特別に素材を仕入れなくてはいけません。そのため、A社は最低でもその素材部分の購入に充てるため、最終代金の30%に当たる30,000€をO社に前金として要求、残りの70%に関してはCADによる支払い、という形にて合意。このように、全額のリスクを売り手、買い手のいずれかに負わせるのではなく、製造プロセスによって各社がリスクを負担する、という方法になります。

リスクを製造プロセスで区切るため、全額を前納するVorkasseよりは買い手のリスクが軽減される方法とは言えますが、L/CやCADなどと比べるとやはりリスクが生じる決済プロセスとも言えます。また売り手側にとっても、素材分の代金は担保できますが、製造物を買い手が引き取るとは限らないリスクは変わらず残されます。