コンテナのページでも説明した通り、コンテナの積載方法には大きく2パターン存在します。一つはFCL(Full Container Load)と呼ばれる、企業が丸々一つのコンテナを貸し切って荷物を積載する方法で、一般的には20フィートコンテナや40フィートコンテナなどが用いられます。もう一つはLCL(Less than Container Load)と呼ばれ、1コンテナに満たないような要領の場合他社の積み荷と混載し、費用を抑える方法です。
価格の違い
総額で考えると、基本的にはコンテナを丸々一つ貸し切るFCLのほうが、他の積み荷に相乗りするLCLよりも輸送コストが高額になります。それでもFCLが用いられやすいのは、積載可能な容量が多く、積み荷の容量(㎡単価や㎥単価)辺りの輸送コストがLCLよりも安くなる傾向にあるからです。
例えば、日本からドイツまで冷蔵庫を送りたい場合を想定しましょう。FLCの場合、コンテナ一つの輸送料金は冷蔵庫をいくら載せてもほぼ一律です(実際には、フォワーダーによって荷下ろしや港までの運賃によって必ずしも一律ではありませんが)。一方で、LCLの運送コストは積載された荷物の量(重さまたは体積)によって逓減していくため、あるタイミングでFLCにおけるパレット辺りの価格を上回ります。少しでも製品1つにかかる運送料を減らしたい荷主は、基本的には一度に多くの積み荷を出荷することで運送コストを減らす方法を取りがちです。
(FLCとLCLの価格の例 この場合、1パレット辺りの価格はFLCに満載した際に最安となる)
- 元々の出荷量が少なければLCLを用いるほうがコスパが良い
- 出荷量が1コンテナの満載に近ければFCLが用いられやすい
- コンテナ半分くらいの中途半端な量であると、LCL、FCLのどちらが安いか見積もりをとってみないと分からないことが多い
もっとも、現実の貿易実務においては、1コンテナに満たないオーダーが入ったり、急ぎの案件でLCLを使わなければいけないようなケースも発生する、というわけです。
積載方法の違い
一般的にFLCを用いる場合は、出荷元となる企業内においてコンテナに積まれ、コンテナのままトラックに積まれ、出荷される港まで運ばれ、目的港についてもその先までコンテナのまま運ばれます。
対して、LCLを用いる場合ではそうはいきません。積み荷はバラバラのまま港などに運ばれ、そこで他の積み荷とともにコンテナに積載され、また目的港についたら港でバラバラにされる形になります。
デリバリータイムの違い
上述のように、LCLの場合他社の製品と混載されるため、混載便の荷主が集まるまで出荷されないほか、港での積み下ろし、通関手続きなどの点でもFCLよりも時間がかかります。また、他社の製品のトラブルなどによってその通関手続きが遅れることもあり、一般的なスピード感としてはFCLに軍配が上がると言えるでしょう。