リスクは伴うものの、簡潔に支払いのおこなえるTTについて解説します。
英語 Telegraphic Transfer (T/T)
日本語 電信送金
ドイツ語 Telegrafische Überweisung
解説
ドイツ語ではTelegrafische Überweisungですが、ドイツの貿易実務の現場においても実際には英語読みの略語である「TT」が使用されることが多いと言えるでしょう。特に海外銀行との取引に用いられる送金手段のことで、電信を用いておこなわれることからテレグラフ(電信)の呼称が用いられています。イメージとしては、一般的な「銀行振込」と理解することができ、数ある支払い方法の中でも「早く、手数料が安い」ことが最大のメリットです。国や銀行によりますが、日本とドイツ間ですと2~3営業日で送金が完了するような形になりやすいと言え、この点では手間や手数料の嵩む「L/C」や「CAD」などより有利で、特に納期や着金に対し明確なデッドラインが設けられている場合などでは重宝されます。
デメリットとしては、TTによる送金の場合その名の通り海外にお金が送られてしまうため、お金を受け取った側がそのまま雲隠れしてしまい、製品を受け取れないというリスクを回避しきれません(例えば前払いの場合)。
メリット
- 書類作成など諸手続きの手間が少ない
- 迅速におこなえる
デメリット
- 担保となるものが無く、リスクが高い
- 国や貿易条件などによっては銀行に拒否される
そのため、TT単体で用いられるというよりも、貿易保険を掛けたうえで売掛リスクを保険会社に転嫁し後払いでTTを用いる、頭金の支払いにTTを用いる、少量ロットの支払いに用いる、といったリスクを軽減するやり方が好まれ、コンテナ一つの代金を丸々TTで送金(前払い、または後払い)といったケースはあまり現実には起こりえないと言えます。