パワハラ、セクハラ、サビ残、休日出勤・・と、ブラック企業という言葉の中には様々なタイプの企業が含まれています。一般的には、「働くことを避けるべき劣悪な労働条件」として要約されるでしょう。

実はこうした「ブラック企業」、日本だけでなく、労働法に厳しくて労働者天国と言われる西欧諸国にも存在しています。特に、移民や難民、あるいはワーホリなどで海外移住した外国人を対象にすることが多いとされており、注意が喚起されています。

ヨーロッパのブラック企業事情

ブラック企業と言ってもピンキリで、「好ましくない、ストレスが溜まる」程度のものから、「命に関わる」レベルのものまで存在します。

新卒切り

一番ヨーロッパでありふれた「ブラック企業」の例が、試用期間における新卒者やインターンシップ生の酷使です。ヨーロッパ(特に西欧諸国)における労働法の厳しさは正社員に対して適用されることが多く、正社員契約の締結される前のインターンシップ生や試用期間中の社員に対しては、「正規雇用」を餌にした超過労働が求められることが多々あります。

現実的に「何時間以上働け」という強制は違法行為のためおこなわれませんが、明らかに残業や休日に仕事をしないと間に合わないような量の仕事量が課せられることが多々あります。

知名度が高い大手企業の中にも、そのような「インターン生搾取」を生業とするところは少なくありません。

新卒切りの例:

  • 正規採用を餌に明らかに一人分以上のタスクを任せられた
  • 些細なミスを理由に正社員採用を見送られた

職場の過度のプレッシャー

ヨーロッパの労働環境に対し、給与が高く有給が取りやすい、自由闊達で楽園のようなイメージを持つ日本人も少なくありませんが、実際には全体の45%が職場のストレスに悩んでいます(出典:OECDライブラリ)。

その中で深刻な「鬱」のような状態に至るのは2~3%と言われていますが、特に労働者天国として知られるはずのスウェーデン、ノルウェー、スイスなどでは高い傾向にあるのが特徴的です(出典:Eurostat)。

職場のプレッシャーの例:

  • 朝から晩までひたすら営業電話をかけさせられた
  • ツアーコンダクターとして土日も電話がつながる状態で待機させられた
  • 営業成績が上がらずみんなの前で罵倒された

移民労働者の労働搾取

上記の二つはまだ「常識の範囲」内のブラック企業ですが、ヨーロッパの労働搾取の犠牲者は実に1000万人にも上ると言われており、彼らには「賃金未払い」「性的搾取」「暴行」「差別的言動」といった法を逸脱したレベルでの行為がおこなわれています。

こうした労働搾取の温床になりやすいのが特に農園、工事現場、食肉工場、組み立て工場などで、例えば2022年にはユーロポールが欧州各国の農園約4000件を横断的に調査し、結果として人身売買などの罪で17人が逮捕されました(出典:Europol)。

労働搾取の犠牲者になりやすいのは特に移民労働者であり、日本からのワーホリ労働者や移住希望者も例外ではありません。「高給」「安全」「ホテル手配」などのうたい文句で誘導され、実際には刑務所のような劣悪な環境で休みなしでひたすら単純作業に従事されるといったケースが知られています。

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移民労働者搾取の一例

労働者搾取の例:

  • 保険未加入での労働従事
  • 当初定められていた賃金から手数料などを引かれ、実際には一日500円程度の報酬
  • 劣悪な宿泊環境、病気などの蔓延

ブラック企業を避けるには?

さて、こうしたブラック企業への就職はできることなら避けたいことでしょう。そうした際に参考となる手法を3つ紹介します。

口コミサイトを参照

KununuやGlassdoorのようなサイトの職場口コミ機能を活用すると、その企業で働いている実際の従業員の声を聞けるため、職場環境、給与水準、昇給ペースなど詳細情報を参照することができます。

もっとも、こうした職場のレビューは「部署によって環境が大きく異なる」といった点に注意が必要です。例えば、一般的に特殊技能であって会社にとっても得難い「製造」「開発」分野での人材の勤続年数は高く評価も高い傾向にあり、逆に成果報酬型で様々な会社を渡り歩く「営業」「Business Development」分野での勤続年数や口コミの評価が比較的短くなる傾向にあるため、勤続年数を確認するときは自分の興味のある部署を確認すると良いでしょう。

従業員や会社のSNS等をチェック

昨今、口コミサイトだけでなく、SNSなどを通じて情報を得ることも可能です。例えばLinkedInなどで興味のある企業の投稿を覗くと、「新しいマネージャーを雇った」「職場のパーティを開催した」といった情報が載っており、職場環境を測るための一つの指標として活用することができます。

もっとも、企業における待遇の満足度はポジションによって大きく異なることがあるため、きらびやかなSNSの宣伝を100%鵜呑みにすることも好ましくありません。

信頼のできる人材紹介会社を活用

人材紹介会社は一般的に企業側との長期的な関係によって成り立っているため、企業側の劣悪な職場環境などの評判などは情報として伝わりやすい立ち位置にあります。そのため、その国で長期的に営まれている人材紹介会社の紹介であれば、業務内容によっては忙しい、仕事量の多い、といった職場もありますが、上記のような「劣悪」と格付けされるブラック企業への就職は避けやすいと言えるでしょう。

特に、ヨーロッパに進出している日系企業であれば特に現地の労働局などから目をつけられやすいことからも、慎重に労働法を遵守している傾向にあります。