ドイツで働く日本人の貿易実務で不可欠な「原産地証明書(Ursprungszeugnis)」の定義と用い方について説明をおこないます。

英語     Certificate of Origin

日本語    原産地証明書

ドイツ語   Ursprungszeugnis

解説

関税特恵の適用をおこなう場合など、当該商品が他国ではなく自国内にて製造されたものであることを証明するための書類です。ドイツから第三国、あるいは日独間での輸出入において、EPA等関税上の恩恵を受けるために必須となります。逆に、当該国で製造や加工されたような場合でも、原産地証明書を取得できない場合は原則的に関税特恵の恩恵を受けられないこととなります。

原産地証明書適用の基準としては、出荷する製品が以下の2つのいずれかに該当する必要があります。

  1. 完全生産品
  2. 実質的変更基準を満たす産品

1. に該当する製品は理解がしやすいでしょう。要するに、魚介類や鉱物など、生産物が100%その当該国で産出されたものです。

実際に、メーカーなどで携わる機会の多い産品は2. のカテゴリで、例えば台湾の半導体を使って日本で組み立てられたパソコン、ポーランドの木材を使ってドイツで組み立てられた家具などのうち、HSコードが変更される(CTC(Change in Tariff Classification)ルール)、産品の構成要素を価格換算し原産性の担保とする(VA(Value Added )ルール)、などの基準を満たす産品が該当します。

極端な例ですが、例えば中国から日本に輸入した冷蔵庫を、パッケージだけ自社ブランドに梱包し直してドイツに出荷する場合、冷蔵庫が日本の原産地証明を取得することは極めて困難と言えるでしょう。

原産地証明を申請する国や出荷先の国に応じて原産地証明の申請方法は異なりますが、オーソドックスなものとしては商工会議所(Handelskammern)などの第三者機関が発行する「第三者証明」、自社において発行する「自己証明」などが挙げられます。

特に、物流部や、営業と物流部の中間に入ってコントロールをおこなう営業アシスタントは、往々にしてこの「原産地証明」の書類を営業や、貿易相手国の顧客に要されることとなります。