空運、陸運、海運・・貿易手段によって納期や金額が大きく異なってきます。日本ではなじみのない、陸路による多国籍貿易も比較対象として、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

貿易実務において、物品を「どのように」出荷するかの見定めは重要です。すなわち、「支払い方法」「貿易条件」「輸送手段」などの見極めで、これらの選択を誤ると、納期に遅れたり、ビジネスの先行きに支障をきたすことになります。

ドイツの貿易シーンに使用される輸送手段は主に以下の4つで、島国の日本と異なり、鉄道やトラックによる他国への輸出が可能なことが特徴的です。

 距離スピードコスト輸送キャパシティ
コンテナ(海運)長距離🏍💰🧳🧳🧳🧳🧳
鉄道(陸運)短~中距離🏍🏍💰💰🧳🧳🧳
トラック(陸運)短~長距離🏍🏍💰💰🧳🧳
飛行機(空輸)中~長距離🏍🏍🏍🏍🏍💰💰💰💰🧳

海運(Seefracht)

船を用いて海上輸送にて物品を搬送する手段を指し示します。混載便となるLCL、コンテナ一つ丸々借り切るFCLなどの細かい区分けはありますが、一般的には大量ロットを長距離区間に運ぶ際に最もコストパフォーマンスの高い手段と言えます。また、トラックや鉄道と異なり、海を隔てた国への輸送が可能なため、アジア⇔欧州、アフリカ⇔欧州、北米・南米⇔欧州、といった欧州圏外への輸送には使用頻度の高い輸送手段と言えるでしょう。

弱点としては、スピードの遅さが挙げられます。欧州⇔日本では出航から到着まで1~2ヶ月程度で、加えてコンテナ船のアレンジ、場合によっては途中での乗り換えや立ち寄りの時間なども加算され、場合によっては3ヶ月近く費やされることがあります。また、コンテナ船はあくまで港と港を結ぶ運搬手段であり、集荷場所から港まで、荷揚げ港から倉庫までは陸運が用いられることとなります。

  • 大量ロットの運搬に効果的
  • 海を隔てた土地への運搬に用いられる
  • スピードの遅さがネック

鉄道運輸(Containerzug)

大量の物品を短~中距離に輸送する際に用いられることが多いと言えます。特に、土砂、鉱石、木材、自動車などが鉄道運輸を用いて輸送される物品の例と言えるでしょう。海運とは異なり、あくまで鉄道網の整備された場所への運送に留まりますが、ドイツにおける鉄道輸送の割合は2割と、比較的安定した割合を保っています。

  • 大量ロットの運搬に効果的
  • 鉄道網の配備された土地への運搬に限定される
  • トラック運搬より環境への負荷が少ない
  • EU国内、場合によっては中国など鉄道網の続く限り遠方への出荷も行われる

トラック運輸(LKW)

短~中距離便、特にドイツ国内や周辺各国への運搬には最適な輸送手段といえるのがトラック運搬です。統計ではドイツにおける運送の7割をこのトラック運輸が占め、ドイツの物流の根幹を担う役目を果たしていると言えるでしょう。上述のような海運や鉄道運輸を用いるときも、実際には集荷場所から港や駅まではトラックが利用されます。 

あくまで、一度に運搬できる量は1コンテナが上限である他、海を隔てた遠隔地への輸送には適しておらず、ドイツ周辺国家(最大でもEU圏内やイギリス)への輸送に用いられますが、そこから先への運搬には海運や鉄道が用いられます。

  • 便の手配が不要ですぐに出荷可能
  • 小回りが利く
  • 遠方への運送には不向き

空輸(Luftfracht)

飛行機を用いて遠隔地にも迅速に物品を届けられることから、急ぎの物品、重要な書類、冷凍品、細かい電子部品、軽いもの、少量の物品、サンプル品、といったものを運搬する際は適していると言えます。

一方で、高額である、大量の物品の運搬には適していない、という弱点を抱えているため、あくまで上述の通り飛行機便に適した物品を運搬する機能に即していると言えるでしょう。

  • 少量ロットの運搬に効果的
  • 海を隔てた土地への迅速な配達が可能
  • スピードの速さが長所
  • 高額であるため、大量ロットの運搬には適さない