メーカーにおける貿易実務と密接に関連するMOQの概念について解説をおこないます。特に、仕様の異なる国、また既製品ではない特殊な製品の開発・販売に際しては注意が必要です。
英語 MOQ (Minimum Order Quantity)
日本語 最低発注数量
ドイツ語 Mindestbestellmenge
解説
ドイツ語での正式名称はMindestbestellmengeですが、実際の貿易実務の現場では英語表記の短縮形であるMOQが用いられやすいと言えます。最低発注数量とは、買い手が発注できる最低数量のことで、個数以外にも数量、㎡、㎥、㎏などが用いられることもあります。
具体的には、電子部品メーカーの見積書などにMOQ=100Unitsと書かれた場合、最低でも買い手は100Units以上で購入することが前提条件となるという意味合いで、50Unitsや90Unitsといった少量での発注はできません。MOQを設ける理由としては、発送の手間、書類のフォーマット、梱包方法など様々なものがありますが、「あまりに少ない量での発注であると損益分岐点を下回る」ことがメインに挙げられるでしょう(そのため、既製品ではなく受注生産品などで特に多く見受けらえる表現となります)。
もっとも、受注生産ではなく既製品の出荷であったとしても、こと貿易となると、一つの物品の出荷には書類作成、フォワーダーの手配、通関処理等多くの雑務が要されることとなることから、メーカーとしてはやはり一度にまとめて発注を受けるのが効率的と言えます。そのような非効率なオーダーの人件費をまかなうため、MOQのような厳格なルールは設けずとも少量発注には追加の手数料を設けているメーカーも多く見受けられます。
また、MOQを大きく設定しすぎると、コンテナに積載できず今度は買い手の非効率化に繋がります。その場合、年間MOQといったようなルールを設け、製造は一度におこなうが、引き取りは年のうちで分割しても構わない、といったやり方を取ることとなります。