貿易シーンで耳にすることの多い「出発予定」と「到着予定」。実務においてこれらの情報は法的効力を持つのでしょうか?
ETA –予定到着日
英語 Estimated Time of Arrival
日本語 予定到着日
ドイツ語 Voraussichtliche Ankunftszeit
ETD –予定出発日
英語 Estimated Time of Departure
日本語 予定出発日
ドイツ語 Voraussichtliche Abfahrt/Abflug
解説
ETDとETAは対をなす概念で、それぞれ予定されている(荷物の)出荷予定日、(荷揚げ地等への)到着予定日を指し示します。例えば海運であればフォワーダーの書類などに
ETD, Hamburg, 14th Feb
ETA, Tokyo, 30th March
といった形で記載されており、この場合「2月14日にハンブルグ港を出港する(予定)」「3月30日に東京湾に到着する(予定)」という意味合いを持ちます。ただし、ここで気を付けなくてはいけないのが、フォワーダーや売り手によって提供されたETD、ETAの情報はあくまで「予定(Estimated)」であり、必ずしもここに記載された通りのスケジュールで荷物が運搬されるとは限らないという点です。
特に、2019年のコロナ禍、2022年のロシアによるウクライナ侵攻、2023年のフーシ派による船舶攻撃等の影響で、世界的な物流ダイヤは頻繁に乱れており、フォワーダーから当初受け取った日時通りに滞りなく荷物が届くことは稀になりつつあります。海運の遅れの原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 出航自体の遅れ(特にLCL便で顕著)
- 天候不順
- 寄港地における渋滞
- 寄港地における手続きや荷役の遅れ
- コンテナの返送の遅れ
物流の遅れは出荷元や輸入会社の努力にかかわらず発生しうることなので、あくまでETD/ETAは「予定」であることを理解し、バッファーを設けたスケジュールを立てることが良いでしょう。また、コンテナ番号などを元にコンテナの現在地情報や到着予定日の変更などもオンラインで確認することができるため、頻繁に情報更新することをお勧めします。