ドイツ就職で求められる語学力(ドイツ語・英語)について

2019-04-19 | タグ:

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昨今、日本の会社でも就職活動の際に求められる英語力のレベルが上がってきています。海外駐在を前提とするような大手メーカーや商社などでは、TOEIC800点~900点といった社内基準を設け、それに加えてもう一つ言語が使えればアドバンテージ、といったところも少なくありません。

例えば、TOEIC社の調査によると、会社の国際部門の社員にはTOEIC700点以上を求める、という日本の会社が全体の過半数を占めています。

多言語能力が求められるのは、何も日本における就活だけではありません。ここドイツにおける就職活動でも、語学力は高く評価され、採用面接の査定に大きな影響を及ぼします。

ドイツ就活で求められる語学力

ドイツで就職する場合、感覚的にドイツ語が求められてきそうなのは想像がつきやすいと思います。

ドイツ人、特に企業勤めをするような層の人々は英語に堪能ですが、とはいえやはり社内の会議やメールのやり取りはドイツ語で行われることが多く、そうした基礎となるコミュニケーションのためにはドイツ語が不可欠となります。

ただ、ドイツ語ができたからと言ってドイツで就職ができるかというと、必ずしもそうではないことに注意しなくてはいけません。ドイツにおいてドイツ語が話せるというのは、日本で就活する際に「日本語ができます」というのと同じような感覚で、つまりアドバンテージというより、就活戦線において、人と同じスタート地点に立ったようなものだと見なされます。

もちろん、求められる語学力の質は、職種や働く環境によって大きく異なります。中には、ドイツ語のみ、英語のみで採用してくれる会社も探せば存在します。それでもやはり、ドイツ語+α(他言語)、というのが、一般的なドイツ企業で応募者に求められるクライテリアです。

それでは、具体的にそれぞれの言語でどのくらいのレベルの言語能力が求められてくるのか、具体的に解説していきたいと思います。

英語

日本での就活において英語力が求められるようになっているのと同様、ドイツ企業でも英語力は高い水準で求められます。例えば、ドイツの求人募集などを見ていると、以下のような文言がよく見受けられます。

  • Sehr gute Kenntnisse in Deutsch und Englisch
  • Gute Deutsch- und Englischkenntnisse in Wort und Schrift

Sehr Gutとは、基本的にはC1レベルの英語力を指します(C1とは、CEFRによる言語能力指標で、C2が最高水準、A1がビギナーレベル)。算定の仕方は機関ごとに斑がありますが、TOEFLでいうところの100点以上、あるいはIELTSで7.0以上くらいの水準が一般的にC1(Sehr Gut)レベルと見なされています。

例えば、日本の英語4技能 資格・検定試験懇談会による解釈によると、C1レベルの言語レベルとは、以下のように見なされています。

いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細な文章を作ることができる。

 

残念ながら、日本企業で一般的に通用なTOEICの点数はドイツでは英語力の証明として認められるケースは少なく、上述のIELTS、TOEFL他、Cambridgeなど、スピーキング、リーディング、リスニング、ライティングの4項目を満たす試験が望ましいです。

C1レベル、というのはあくまで理想条件であり、中にはB2レベル、場合によってはドイツ語のみでも受け付けてくれる企業は存在しますが、就活戦線に勝ち残るためにも、最低限B2~C1レベルの英語力は身に着けておきたい、というのがドイツ就活事情における英語力の要求事項です。

参考までに、以下各試験におけるB2~C1と見なされるスコアです。

B1 B2 C1 (流暢)
IELTS 4.0~5.0 5.5~6.5 7.0~8.0
TOEFL iBT 42~71 72~94 95~
Cambridge Scale 140~159 160~179 180~200
(TOEIC) 550~784 785~944 945~

 

参照元:

ドイツ語

英語が応募者に対する「アドバンテージ」であるならば、ドイツ語はいわば充足しておかねばならない「必要最低知識」と見なされることが多々あります。

理系の研究所など、多国籍グループの職場などでは英語のみでも応募が認められるケースもありますが、基本的に、英語同様、ビジネスの場面で通用するように、B2~C1レベルのドイツ語力があることが望ましいでしょう。

英語同様、ドイツ語レベルを証明するためにも、一番簡単なのが試験に合格することです。具体的には、以下のような試験が、ドイツ語力を証明するために用いられます。

  • TestDaf
  • Goethe-Institut
  • TELC
  • DSH

上記のうち、TestDafとGoetheの試験に関しては、日本にいながらでも受験することが可能です。DSHというのはドイツで大学・大学院に通う際に受験するドイツ語試験のことで、こちらでも代用可能ですが、基本的には学生向け試験です。

その他外国語

英語、ドイツ語に加え、その他諸外国語の知識があればやはり有利に働きます。すでに日本語に精通している場合、多かれ少なかれアドバンテージとなりますが、ドイツの会社で日本語を使用する機会はそこまで多くないため、日本語が使える、という技能は、企業によっては宝の持ち腐れになりやすいです。

その他、ドイツの会社で人気の語学と言えば、中国語、スペイン語、ロシア語などで、特に昨今ドイツ企業は中国市場の開拓に大きく力を入れているため、日本語+中国語などの語学力があればアジア市場を任せられる人材として高く評価されます。

英語のみで応募できる会社

さて、色々とドイツの企業で求められる語学力について述べてきましたが、結論としては「英語」「ドイツ語」の2つの語学においてビジネスレベルは一般的、かつその他言語があれば+α、といった形で、ドイツ就活市場では高い評価をくだされます。

ビジネス英語はともかく、日本からの応募を考えている人々にとって、「ドイツ語ビジネスレベル」という要件を満たすのはそう容易ではないと思います。それでは、この「ドイツ語ビジネスレベル」を満たせない場合、ドイツでの就職はあきらめたほうがいいのでしょうか?

実は、ドイツ語力がビジネスレベルに満たなくても、ドイツで就職する方法はいくつかあります。

一つ目は、上述の通り、R&D機関やシンクタンクなど、世界中の研究者を集めた組織で働くことです。

この場合、企業側もドイツ語のできない各国の研究者、技術者に対応するため、英語のみでの受付をおこなっているケースがあります。

二つ目は、ドイツにある外資企業、特に日系企業などの募集要項を確認してみるやり方もあります。というのも、ドイツに進出している日系企業などの場合、大抵、直属の上司となる日本人はドイツ語ができず、社内公用語は英語となっているパターンが多いです。

そういった社風に惹かれてか、社内にいるドイツ人たちも、オフィスで英語をつかう仕事に興味があったり、あるいはそもそも日本文化に興味があったりと、我々にとって親しみやすい同僚であるパターンが多く、打ち解けやすい傾向にあります。

また日系企業の現地オフィスは、単なる出先機関ではなくローカライズの必要性が求められる傾向にあったり、欧州統括のような複雑化した機能を持つようになったりと、自然と求められる人材の質も高まってきています。

そのため、もしドイツ語に自信が無く、かつドイツでの仕事に魅力を感じている場合、このように、ドイツに進出している日系現地法人での採用、というのが新しい可能性として挙げられます。

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