ドイツに滞在する日本人の中には、それこそ永住権を求めて長期的な労働契約を求める人も、配偶者ビザで仕事を探す人も、ワーホリなど短期間に絞って仕事探しする人など、様々なタイプが混ざっています。

こうしたタイプ別に、日本人がドイツで仕事探しをおこなうコツというものはあるのでしょうか?アルバイトから長期契約まで、ドイツでの仕事探しのコツを解説します。

この記事を読んでわかること
・ドイツでの日本人の仕事探しのコツ
・状況(在留ビザ等)に応じた仕事探しの違い

ドイツでできる仕事探しの種類

ドイツで仕事探しといっても、いくつかのカテゴリが存在します。いずれの場合も「就労ビザ」を持っていることが前提となっており(※アルバイトやインターンの場合、条件を満たせば学生ビザでも就業が可能)、就労ビザを持たない場合企業側にスポンサーになってもらう必要があります。

一般的に、報酬額の少ないアルバイトやインターンでは応募のためのハードルは低く、無期限労働契約の締結される正社員としての難易度が一番高いと言えるでしょう。

就労ビザ必要条件仕事探しの難易度
アルバイト必要最低限の意思疎通能力
インターン必要ビジネス英語ORドイツ語★★★
パート必要ビジネス英語ORドイツ語★★★
正社員必要ビジネス英語ORドイツ語★★★★★

アルバイト

語学学校に通いながら、あるいはワーホリビザで滞在しながらドイツでアルバイトをおこなうことは多く行われています。未経験からの応募も多く受け付けられており、他の就業形態に比べると日本人が一番探しやすい方法と言えるでしょう。

最低時給は12.41€(2024年8月現在)、月収の上限は538€と定められており、アルバイトとして仕事をする場合、時給12.5€以上からのスタートが多いと言えます。

ドイツ語が話せる場合、minijob-jobboerseMinijob Zentrulのようなポータルサイトを用いて応募することが可能ですが(あるいは、ショップの張り紙などでも募集することが多い)、こうしたアルバイトはドイツ語が話せる人員が優先されるため、語学に不慣れな場合日本語を優遇してくれる日本食レストランなどでアルバイトすることがおススメです。

デュッセルドルフやフランクフルトなど、日本人駐在が多く滞在する都市には日本食レストランが多く軒を連ね、中には語学不問の募集もなされており、日本人にとって応募しやすい仕事先の一つと見なされます。MixBのような日本人向けのポータルでは、日々多くの求人情報が更新されています。

アルバイトの探し方
・日本食レストラン
・カフェやバー
・ベビーシッターや家事手伝い

インターン

インターンへの応募は、その職種でのキャリア形成を目指しているものの、まだ職歴がなく(あるいは乏しく)、見習いとして実績を身につけたいような人にふさわしいと言えます。正社員として長期的な採用ではなく、あくまで期間限定的な採用となるため、正社員と比較すると職探しの難易度は低いと言えますが、とはいえ職場で通じるドイツ語や英語の素養は必要となるため、アルバイトよりは難易度が跳ね上がります。

一般的に、ドイツでのインターンへの応募は以下のような就職ポータルを通じて行われます。その他、IndeedやStepstoneのような就職プラットフォームでも条件を「Praktikum」に絞れば検索が可能です。

インターンはあくまでその後の長期採用の入り口とみなされることがドイツでは多く、インターン後もドイツに滞在することを前提とした長期的なプランでの応募が重要になってきます。

インターン向けのプラットフォーム

パート・正社員

ドイツでパート、または正社員としての仕事を勝ち取ることは、数ある職種形態の中で最もハードルが高いと言えるでしょう。企業側も就労ビザ申請のスポンサーになる必要があるため、一気に書類選考などのフィルタリングが難化します。

日本で理料人や(日本語)教師としての経験などがある場合多くの邦人をかかえるドイツならでは、日本料理屋や日本語学校などでの正社員職が応募しやすい職として人気です。こうした職種に関しては、MixBなどの掲示板で公募がなされているか、実際の店舗などの張り紙を通じて応募する流れとなります。

日本人に人気の正社員職
・日本料理のシェフや日本語教師など
・ドイツの一般企業への就職
・ドイツにある日系企業への就職

オフィスでの業務、OLやサラリーマンとしての仕事を見つけたい場合、ドイツ現地での就職活動を行う必要があります。一般的なドイツ企業での就職活動はネイティブ並みのドイツ語、英語に加えて現地の人員と比べて遜色のない高いスキルが必要になることから、「日本人の仕事探し」という意味では在独日系企業への応募が推奨されます。

応募要件ドイツ企業在独日系企業(総合職)在独日系企業(アシスタント職)
英語力B2~C1B2~C1B1~C1
ドイツ語力B2~C1B2~C1(マストではないケースもあり)マストではないケースが多い
大学時代の成績勘案される(GPAで3.0以上が魅力的)やや勘案されるあまり勘案されない
大学時代の専攻科目勘案されるあまり勘案されないあまり勘案されない
過去の職務経験重要やや重要あまり重要ではない

以下に、いくつかの方法を用いた正社員の仕事の探し方を紹介します。

リクルートサイトによる応募

一般的な応募方法の一つは、日本で言うリクナビやマイナビのように、自身でウェブサイト上の求人を介して、自身で条件にあいそうな企業を探し、応募するやり方です。

例えば、以下のようなサイトがドイツでは大手のリクルートサイトで、この中から、自身のスキルや学歴、語学力などでフィルターをかけ、ポジションを発掘していく形になります。

後述するリクルーターを通じた応募方法との最大の違いは、リクルートサイトを通じて応募する場合、履歴書やカバーレターのチェック、面接の準備、担当者とのやり取りなどを、全て自力で行う必要がある点です。

また、リクルーターを通じての転職と違い、様々な情報が掲載されているため、自身で取捨選択をし、どの会社に応募するべきなのかを見定めなくてはいけません。

就職・転職エージェントを通じた応募

当社、Career Managementのようなエージェントを通じた応募も、ドイツにおける就職・転職では一般的です。

メリットとしては、上述の就職サイトのように、自身で無数の情報の中から適した企業を探し当てる必要がなく、転職エージェントとの面談を通じ、すでに転職リクルーター側でスクリーニングをした案件を紹介してもらえるところのあります。

また、ドイツでの就職に自信がない場合でも、コンサルを通じて面接時のドイツ語(英語)での受け答え等、アドバイスをもらえる会社も存在します。

デメリットとしては、ドイツの転職市場に出回っているすべての案件を網羅しているわけではない、という点です。そのため、上述のような就職サイトの合わせ技で就職活動を行ってみるのも一つの手です。

企業サイトからの直接の応募

すでに頭の中に具体的な企業名がある場合、その会社のHPを訪れると採用向けWebページが公開されています。特に大企業の場合、年に何百人もの応募を行うため、部署ごとに採用のページが設けられていたり、一つの会社内だけで多くのポジションが存在しています。

ただし、こうした企業のHPから応募する場合、担当者の顔が見えにくく、上述の転職エージェントを通じた採用方法と比べるとかなり「デジタル」なやり方になることが否めません。つまり、履歴書やカバーレターに書かれた数字や実績が物を言う世界になってきます。

大学構内の求人張り紙など

ドイツにあっても、アナログな求人方法が根強く残っています。居住都市の大学、専門大学などの構内を訪れてみると、地元企業の求人広告などが貼られており、これらも就職の際のソースにすることが可能です。

特に、インターネット上で求人広告を掲載しているのはドイツの中でも大手であることが多く、選考プロセスも複雑で、応募に時間がかかることも少なくありません。一方で、こうしたアナログな手段で行われている(特に地元中小企業などの)採用案件は、競争率も比較的低く、穴場であるケースが多いでしょう。

ただし一般的に、こうした大学内の求人貼り紙は、その大学に通う学生をターゲットにしていることが多く、外部者が応募して興味を示されるかどうかは各案件によりけりです。

知人などによる紹介

最後に、Vitamin Bとして知られるいわゆる「人づて」の職の紹介です(「B」はBeziehungの頭文字)。以下のリサーチが示す通り、少なくない割合のドイツ人が、人づてに職を得ています。

Vor Jahren schon zeigte eine Studie der EU-Kommission: Rund ein Drittel aller europäischen Arbeitnehmer zwischen 16 und 29 Jahren finden ihre Jobs über persönliche Kontakte「16歳から29歳までのヨーロッパ人のうち、3人に1人は人づてに職を得ている」

(Quotation: Karrierebibel)

ただし、こうした人づてに職を得る場合、すでにドイツで人脈などが構築されていることが前提となり、就活目的でドイツに来た、という場合にはこの人脈を活用しての就職活動は難しいかもしれません。