生活水準の高いヨーロッパ・・その中でも特に高い生活水準と給与で知られる国がフィンランド。NokiaやWoltといった世界的な大企業を持ち、国の幸福度ランキングで9年連続で1位を取るなど、ワークライフバランスの取れたお手本のような国に思えます。

もっとも、そのように誰もがうらやむフィンランドですが、日本人としての就職活動となると一筋縄ではいかないことで知られています。実際にフィンランドに長期滞在している日本人の数はわずか2000人。同じく日本人の人気就職先で知られるドイツやイギリスと比べると20~30倍近い差がついています。

なぜこうもフィンランドでの就職は難しいのでしょうか?本記事では、日本人がフィンランドで働く上で障壁となる課題、その解決策について触れていきます。

Finlandの田舎

なぜフィンランドでの就職が難しい?

日本人がフィンランドで就職するためには、現地企業の内定を得て就労ビザのスポンサーになってもらう、というステップを踏むだけです。もっともこの「現地企業の内定を得る」ことのハードルが高いことで知られています。

1. EU人材優先システム

国の施策として、フィンランドではEU人材の採用を優先しています。内定を出すにあたって、国は「EU人材で代替できなかった理由」を述べる必要があるため、日本人のような非EU人材への審査は慎重です。仮に同じスキルだとしたら、企業としても就労ビザが不要なEU人材のほうを優先して採用したい事情があるため、日本人として採用されるには極めて高度なスキルを持つ場合や、その応募者にしかできない職務がある場合などのケースが挙げられます。

2. 労働市場が小さい

フィンランドは人口550万人という小さな市場です。日本で言うと北海道と同じくらいの人口規模の市場であり、そもそも求人のチャンスが限られているという弱点を持ちます。そんな中で、英語のみで応募できる求人の数は限られているわけですが、幸福度世界一のフィンランドには世界中からも多くの応募が集中します。英語力やスキル堪能な候補者としのぎを削って、内定を勝ち取る戦いとなると言えます・・。

フィンランドの風景

3. 語学の壁

英語の求人数が多いとはいえ、やはり標準語であるフィンランド語が求められるシーンは少なくありません。ITやスタートアップは例外としても、メーカーや地場産業では多くフィンランド語が用いられています。ドイツ語やスウェーデン語のように、英語と同じゲルマン語族に属する言語と違い、フィンランド語はヨーロッパの中でも隔絶された言語体系で知られ、日本人にとっての習得難易度は世界トップクラス。

4. 受け皿となる日系企業が少ない

現地に進出している日系企業が日本人の採用受け皿になることが多いのですが(アメリカ、イギリス、ドイツなどの例)、フィンランドに進出している日系企業数はドイツの10分の1以下。また、現地日系企業を対象に活躍できるポジションも少ないため、日本語を使える、あるいは日本の仕事文化を知っていることがポジティブに働きずらい環境と言えます。

5. 就職文化の違い

フィンランドの就職文化は即戦力採用です。すでにスキルや人脈がある状態でのスタートを期待されるわけで、新卒をゆっくり育てていく文化ではありません。日本である程度のキャリア経験があったとしても、その知識はフィンランドで使えないことが多く、そうした場合即戦力としては判断されないことが多いです。

フィンランドで就職するチャンス

もっとも、このように就職難易度の高いフィンランドで就職する手段がないわけではありません。

1)専門職ポジションを狙う

非EU人材を受け入れる条件を備えているのは、理系専門職であることが多いと言えるでしょう。特にエンジニアや医師、キャリアを積んだ建築家やデザイナーはフィンランドに限らずどの国でも不足傾向にあり、非EU人材という人事上のデメリットを持っていたとしても企業としては採用したい人材と言えます。

2)スタートアップやITを狙う

スタートアップやIT系企業は比較的英語のみのポジションを用意していることで知られています。特にアジア諸国とビジネス展開をしている会社では定期的にアジア市場向けの人材を募集していることがあり、うまく嵌れば日本語スキルを活かして就職することが可能です。

3)インターンシップを狙う

いきなり正社員のポジションが難しい場合、給与等の希望条件を下げてインターンのポジションからスタートすることも一つの手段です。この場合、フィンランドの生活費に耐えられるほどの給料を得られないこともあるため、ある程度まとまった貯金をもって就職できるかどうかがカギになってきます。

半年~1年のインターン期間で実績を積むことができたら、正社員への門戸が開かれることがあります。

こうした手法は、フィンランドのように高技能人材に特化した採用が多い国での就職に有効です。もっとも、全ての候補者がこのような条件を満たせるわけではありません。そんなときはどうしたらよいでしょうか・・?

どうしても就職したい場合は・・?

手段を尽くして頑張ってみたもののフィンランドでの就職活動が難しく諦めてしまった人には、お隣のドイツからキャリアをスタートしてみることをおススメできます。働きやすさ、ワークライフバランス、英語の通じやすさや医療水準など、フィンランドとドイツは非常によく似た福祉国家であることで知られることから、北欧的な理想の働き方を実現できる環境と言えるでしょう。

そしてドイツ労働市場の最大の魅力は、ヨーロッパ最大の日系企業進出先で、日本語人材の需要が比較的大きい点です。ドイツで生活する日本人の数は約6万人と、フィンランドの30倍近い母数を誇ります。

上述のように本来EU諸国はEU人材を優先して採用する事情がありますが、こと日本とのビジネスや現地日系企業での採用となると、必然的に日本のビジネスに精通した人材が重宝されるようになるのです。そのためドイツでは、理系職だけでなく、営業、経理、物流、購買等文系職への門戸も広がっています。ジョブ型のキャリア国家で、自身の格となるスキルが身に付きやすく、将来的にヨーロッパで生き抜くためのキャリア形成をおこないたい人にはぴったりです。

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