ドイツの経費申請ルールは厳格なことで知られています。会社のために交通費や交際費を払ったとしても、申請を間違えたり、妥当性が説明できなかったり、レシートを保存していなかったりすると、会社や税務署から経費認定されず、最悪のケースは自己負担となることがあります。
主な出張中の経費申請の一覧
出張中に発生する経費のほとんどは「実費」清算です。つまり、かかった金額を会社のクレジットカードなどで支払うか、クレジットカードが使えない場合は一度自身で払っておいて後から銀行口座に返金してもらうシステムです。
1 日当・出張手当・・定額
2 交通費・・実費
3 ホテル代・・実費
4 交際費・接待費・・実費
どの範疇まで経費精算できるか、どこまでの金額が認められるか等の判断基準として、ドイツでは二つの判断軸が存在します。
一つ目は会社の判断。雇用契約書や出張規定などに明記されているか、出張の際に総務部などに相談の上決定されます。一般的な雇用契約の場合、出張交通費は「公共交通機関」、妥当でかつエコノミークラスや2等車のような経済合理性のあるものを用います。もっとも、2等車が埋まっていたり、飛行機が遅延して代替が必要な場合など、判断を会社に委ねることがあります。
二つ目はドイツの金融監督庁の判断。後述の通り、一日に得られる日当やホテル代には金融監督庁の定める「目安」が存在しており、それを基準に計算する方法です。その額を超えて支給されると、差額は課税対象となるのです。
多くの会社では、上記の二つの軸を組み合わせて運用することが一般的です。すなわち、金融監督庁の公示している数値を目安に、社内の日当やホテル代などの上限が定められています。そうすることによって、税金の処理など余計な手続きを軽減することができるからです。

出張経費として申請可能な代表的なもの
出張時に経費申請可能な代表的な費用をまとめていきます。
1 日当・出張手当(定額)
日当の支給は会社の義務ではありません。
ただし、基本的には社員の福利厚生のために日当手当を設けている会社がほとんどでしょう。日当の目安としては、毎年ドイツ連邦金融監督庁が公開しているリスト(2026年版はこちら)を参照します。
上記の額はあくまで「非課税」になる額ですので、会社側の判断(雇用契約書などに明記)に委ねられます。これ以上の額が支払われることも可能ですが、その場合非課税枠から外れることとなります。
出張手当はあくまで「居住地とは異なる国」で追加で負担することとなった生活費(主に外食費)などを担保するシステムなので、3ヶ月を超える滞在者には支給することができません。また同様の考え方に基づき、ホテル代や交際費によって朝食やディナーが賄われた場合、以下の割合が減額されます。
| 食事 | 減額率 |
|---|---|
| 朝食 | 20% |
| 昼食 | 40% |
| 夕食 | 40% |
一つ例を出しましょう。ドイツからシンガポールへ出張へ行った時の一日の日当は71€ですが、ホテル代の中に朝食が含まれていて、夕食はクライエントとの交際費で賄われたとすると、71€のうち20%(朝食代)+40%(夕食代)の計60%を減額する必要があり、実際に貰える日当は28.4€となります。
計算例:ドイツ → シンガポール出張
1日あたりの日当計算
| 減額項目 | 減額率 | 減額分 |
|---|---|---|
| 朝食(ホテル込み) | - 20% | - 14.20 € |
| 夕食(交際費) | - 40% | - 28.40 € |
|
合計減額率
60%
|
実際に受け取る日当
28.40 €
|
2 交通費(実費)
交通費を経費申請する場合はその妥当性が問われることとなり、妥当性を示せない場合その差額が課税対象となります。そのため、会社としても通常は「経済合理性の最も高い」公共交通機関の使用を推奨します。
経済合理性の高い移動方法
- ICEであれば2等車
- 飛行機であればエコノミー
- タクシーと電車の選択肢があれば、通常は電車
もっとも、妥当性の判断はケースバイケースのため、やり方が不明であったり慣れないうちは、会社に都度確認するか、会社を通じて予約してもらうほうが無難でしょう。
例えば
- 電車で行ける距離だが重たい荷物を抱えていてタクシーを利用したい
- 2等車が満席
- 健康上の理由で特殊な座席が必要、等々
※交通費の清算は実費ですが、自家用車を用いて出張を行った場合は定額支給が可能となります。

3 ホテル代(実費)
交通費同様、ホテル代も「妥当性」が必要となります。金融監督庁の公示している宿泊費目安の予算内で泊まれるホテルを探すことが無難と言えます。
明らかに不自然なリゾートホテルやスイートルーム、仕事と関係のない場所での宿泊、こうした申請内容は会社、または税務署のいずれかから指摘を受ける可能性が高いので注意しましょう。

4 交際費・接待費
ホテルや交通費同様、交際費にも「妥当性」が重要となってきます。不当に高いレストランや、不自然に多い接待などは税務署の疑義を招くので要注意。またレストランを用いての接待の場合は以下のような詳細を明記する必要があります。
- 誰と(会社名+名前)
- 何の目的(商談など)
- 場所
- 日付
また、日本では頻繁に見受けられる贈答品に関しても、ドイツでは「年間受け手一人に対して35€まで」というルールが設けられており、これを超えると課税対象になるので気を付けましょう。
出張経費申請時に必要なもの
実費精算(ホテルや交通費)に関しては請求書(領収書)の提出が必須です。可能であれば原本で、オンライン形式で原本が存在しなければPDF形式などでまとめて、出張後可及的速やかに経理部に提出します。
領収書のフォーマットに必ず記載しなくてはいけない内容が以下の通りで、これらの情報が不明瞭だと弾かれてしまいます。
- 金額
- 日付
- 支払先(ホテル名など)
- VAT(付加価値税)記載
ただし、金額が領収書通りでなくてもOKな例外がいくつかあります。
まず、海外でどうしても上記のような領収書が揃わない場合。例えばフィリピン出張時にタクシーを拾えず、流しのトゥクトゥクを拾ったとします。その場合は領収書が出てきませんが、合理的であると判断できれば自己申告書の提出をもって承認されるケースが多いです。
後はチップを支払った場合。チップは領収書には記載されていませんが、ドイツの慣習として妥当だとみなされるので、こちらも自己申告でOKだとみなされます。タクシーやレストランなど、不自然に多すぎない範囲で申請する必要があります。
現地在住の就職コンサルタントがあなたのドイツ就職を全面サポート。まずは無料登録からお気軽に。コンサルタントからご連絡させていただきます。

