ドイツ企業の働き方の効率は、北欧諸国と並び、世界でも優れた類に属すると言われています。有給は年間でたっぷり20日~30日支給され、ワークライフバランスの充実した仕事社会、というイメージを持つ日本人も少なくありません。

こうしたイメージが先行する一方で、アメリカやイギリスといった英語圏に比べると、まだまだドイツの仕事文化は日本に理解されているとは言い難く、渡独後、ドイツで働き始めてから期待値とのギャップに驚かされるケースが多々あります。

今回のコラムでは、ドイツ企業での業務を朝、午後とに分け、具体的にどのような体系で仕事が進められているのかを解説していきます。

ドイツの企業と業務の開始

一概にドイツ企業と言っても、職種、業種によって労働開始時間、残業時間はまちまちです。

例えば、社外の顧客を相手にするカスタマーサービス業や、時間通りに工場のラインを動かす製造従事者などにとっては、時間通りに仕事をスタートすることが鉄則です。こうした部門は、パフォーマンスというより仕事への従事によって成果が評価されます。

一方で、営業、マーケティング、プロジェクトマネージャー等、比較的自分のテンポで仕事を進められる職種にとっては、早めに来て早めに帰ったり、遅めに来て遅めに帰ったりと、ある程度フレクシブルな仕事が受け入れられています。

こうした部署には、日本でいうタイムカードのようなものが存在せず、自己裁量で良いとされているケースが少なくありません。逆に言えば、成果が出ないと、頑張って仕事をしても「良い社員」とはみなされません。

こうした、業種、部門ごとの違いがあるため、一概に「何時から何時まで働く」ということが言えませんが、一般的には8時(9時)に仕事をスタートし、お昼に1時間の休憩をはさみ、17時まで就業、という働き方が多く見受けられます。

朝の仕事風景

ドイツの社会は、公の場で食事をすることに寛容です。オフィス内で朝ご飯を済ませるものも少なくなく、朝の7時~8時ごろは、キッチンでサンドイッチを作ったり、カフェを片手に同僚と談笑するドイツ人の姿が見受けられます。

ドイツのベーカリーは朝早くから営業しており(特に、駅に併設しているものなど)、こうしたところで朝食を購入してオフィスにやってくるドイツ人も少なくありません。

ドイツのベーカリー

日本のように、仕事開始時間と同時に電話が鳴りだす、というよりは、社内も社外も各々のペースで仕事を進めているため、朝方もあまりギスギスした雰囲気を醸していません。社内で会議がある場合も、そのため、朝の早い時間は敬遠されがちで、社内に人が集まり始める10時以降ごろが好まれます。

ちらほらとオフィスにやってくる同僚に対しては、「Morgen」「Moi」など割とフランクな挨拶が一般的ですが、CEOや部門長などポジションに格差のある場合、形式ばった「Guten Morgen」の挨拶が使用されます。

通勤

通勤に関しては、ドイツでは車通勤が最もポピュラーですが、会社の立地によっては電車、市電、地下鉄なども利用され、夏場の天気の良い日などは、運動がてら家から30分~1時間かけて自転車で通勤する、というドイツ人社員もいます。

特に、営業職などは会社の社有車を私用で使うことが許されているケースが多く、車通勤の途中で子供を幼稚園に送ったり、保育園に送ったりと、社有車の後部座席にベビーチェアが置かれている、といったほっこりするような光景も目にされます。

また、ドイツ企業で特徴的なのが、社員は必ずしも出社する必要がない、という点です。特に、営業職は各々に担当地区が割り振られており、会社から離れて、そういった地区に一定期間滞在、出社は週に1回程度、といった採用文化が一般的です。

朝の駅構内の様子

上述の通り、ドイツ企業におけるプリンシパルは、どれだけ働いたか、ではなくどれだけ成果を出したか、なので、こいつは何時から何時まで働いたのか、と目を皿のようにして見張っている意味がないためです。

業務開始

朝の団欒がひと段落すると、本格的な業務開始となります。やはり部署にもよりますが、仕事の初めに行うことは、メールのチェックです。特に海外との折衝があるような部署では、夜中の間にアメリカやアジア諸国からのメールが溜まっていることも少なくなく、これを午前中に片付ける必要があります。

業務開始(7時~9時前後)から一時間程度は「朝の業務」として、メールのチェックなどに時間を費やすことが多く、本格的に社内に動きが見え始めるのは10時頃を過ぎてからが多いです。

次回のコラムでは、ドイツ企業における業務、部門ごとの折衝などについてまとめていきます。