ヨーロッパやアメリカなど、海外の企業に無事就職したものの、試用期間中に雇用を打ち切られたり、試用期間満了後も様々な問題を抱えてリストラされる日本人が少なくありません。
海外でせっかく就職先を見つけても、なかなか正社員として定着できづらい理由を5つ挙げていきます。
この記事のターゲット:
- 海外での仕事に興味があるが、リストラが心配
- 海外で就職したが自分のスキルでリストラされないか不安
日本人が海外で仕事を見つけことの難しさ
そもそもリストラ云々の前に、海外で仕事を見つけること自体の難易度が低くはありません。日本人が海外で就職することの難しさに関しては(主にドイツを引き合いとして)以下のようなブログ記事で今まで扱ってきました。
要するに、海外(特に欧米)の企業からしたらわざわざ日本人を雇うメリットが薄いというのが最大のポイントです。
海外の企業が日本人を雇うことのデメリット:
- 就労ビザの取得に時間がかかり、すぐに働き始められないことが多い
- 就職先の国に健康保険や住所が無い場合、一から揃える必要があり手間である
- その国の母国語を話さない場合、意思疎通の点でネイティブに劣ることが多い
- その国での就労経験が無いことが多く、役立つかどうかの見極めが難しい
「英語(あるいはその国の言葉)が話せる」というのは、日本で働くのであれば大きなアドバンテージですが、海外で就職する場合ただの「スタート地点」であり、話せたからといってプラスにはなりません。海外企業からしたら、英語や第二外国語が話せることが大前提で、それプラス特殊なスキルを持った日本人でないとそもそも雇うメリットが薄いのです。
多くの日本人はその英語や第二外国語の習得にかなりの時間を割くこととなり、語学+専門スキルを満たした人材の数が少なく、それが海外での日本人の就職の難しさに直結しています。
海外でリストラされずに仕事を続けることの難しさ
技能や成果が評価されて無事海外で内定を得たとしても、今後は絶えず「リストラ」の恐怖におびえることとなります。いまだに終身雇用や長期雇用の面影の残る日系企業と異なり、海外の企業(特に欧米系)のパフォーマンスを残せない社員への態度は非常に冷淡です。
場合によってはその日にクビを通告され、明日から会社に来なくても良い、といったケースも存在します。以下に、日本人が海外企業でリストラされやすい5つの理由をまとめていきます。
1.試用期間の壁
国によりますが、ドイツを含む西欧企業では、労働者の雇用が法で保障されています。つまり企業側は、一度採用してしまうと簡単には首を切れないのです。
一見聞こえがいいように思えますが、その分企業側は採用の際に慎重になります。具体的には、面接後に試用期間(6ヵ月が一般的)を挟み、そこで実務の評価をおこなう、といった形です。
海外企業で仕事を得たものの、この「試用期間の壁」が越えられないケースが少なくありません。つまり、海外企業でリストラを経験する場合、この初期の半年~1年の間に見切りを付けられてしまい本契約に進めない、というケースになります。
試用期間でリストラが発生しやすい理由:
- 本格的な労働契約となる前の場合、企業側はリストラがしやすい
- 労働者側は短期間で結果を出さなくてはいけない
- 試用期間は慣れるのに精いっぱいでパフォーマンスに直結しない
2.プライベートや仕事外の付き合いが希薄
日系企業の良い面でもあり悪い面でもあると言われているのが、仕事以外でのつながりの部分です。時には社員としての垣根を越えて、社内で飲み会をおこなったりイベントを開催するのが日系企業の特徴です。
対して、海外企業(特に欧米)の多く公私混同を明確に避け、仕事外での従業員との繋がりをほとんど持ちません。あくまで仕事は仕事、私生活は私生活、と割り切っています。
この考え方は、知人の少ない地方に就職した日本人などには現地の文化に溶け込む上での障壁となりえます。
そのため、仕事上では上手くいっていても、結局私生活での悩みを打ち明けられる相手が見つからず、ホームシックになったり精神的に病んでしまい、最終的に鬱や会社でのパフォーマンスの低下に繋がります。
プライベートの問題:
- 新しい国で友人や家族が無く孤独を覚える
- 新しい国の文化に仕事以外で触れられないのでキャッチアップしづらい
- 仕事での愚痴を言い合える仲間がいない
3.言語の壁
海外に就職した多くの日本人が訴えるのは、言語上のトラブルです。
上述の通り、海外就職する時点である程度のレベルに達しているのが前提ですが、それでも、語学学校や大学、資格試験で培った言語レベルと実務上のレベルとには、差が生じることが少なくありません。そのため、書類上は採用をパスしても、実際に働き始めてみて思うように業務内容が伝わらず、リストラに繋がるケースとなります。
目安として、職場で問題なくその国の言語を操るには、大学や語学学校のC1レベルのレベルに加え、2~3年程度の実務経験が必要だと言われています。
言語の壁の具体例:
- 現地の社員の発音が全く分からず、いつもミスを起こす
- 分かっていない単語を分かったと言ってしまい、大きなトラブルを招く
- 資料を読むのに日本語よりも数倍の時間がかかり、効率に影響を与える
4.成果主義
海外企業、特に欧米では仕事評価は成果主義、短期間で結果が出せないと簡単に見切られてしまう文化が根強く残ります。
日系企業の場合、過程を重視し、うまくいかなかったら上手くいかない理由を社内で共有して次に活かすような発想がなされますが、海外企業の場合では過程はあまり重要視されず、結果が求められます。
こうした成果主義vsプロセス主義のような考え方の違いから、一旦海外の企業に入社しても、居心地の悪さを感じ、現地の日系企業に転職する日本人が一定数います。
海外企業の成果主義:の問題
- いくら頑張っても成果が出ない社員はリストラに繋がる
- 市場構造や金利など、自分のスキルとは関係のないところで生じた問題も成果の一部と判断されることが多い
- 他社や同僚との競争により過剰労働が常態化する
5.マーケットの縮小
海外企業が日本人を雇う場合、日本市場を任せるケースが少なくありません。例えば、日本市場に輸出をしたい、日本に支店があるからそのカスタマーサービスをおこないたい、といった形です。
個人の技能とは関係なく、本社の意向などで時にこうした方針が180度転換され、日本市場から撤退することもあります。
また本社の意向だけでなく、そもそも商品やサービスが日本向けでなかったり採算が取れないなど、海外市場規模を縮小するというのは海外企業では頻繁におこなわれます。
こうした場合、雇われていた日本人は仕事を失ったり、他部署に配置転換になったりし、いわば「お荷物扱い」されてしまうケースが過去には発生しています。
こうした海外でのリストラを防ぐには?
リストラの発生する要因は、企業の求めるパフォーマンスと労働者の提供できるものの不一致で生じます。一方、日本人が海外企業に入社すると、文化差や言語のハードルの高さから思った通りのパフォーマンスに繋がらず、リストラに繋がります。
そういった事態を避けるためにも、最初から自分の価値を正当に判断してくれる海外企業への入社がおススメです。当社のようなドイツのリクルート企業は、現地の優良日系企業と幅広いネットワークを構築、応募者のスキルや言語レベルに見合ったポジションを紹介します。
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