日本人の転職はドイツで分が悪い?日本での職歴を活かすためのアドバイス

2019-04-29 | タグ: ,

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ドイツでの就職を志す際、ドイツにある企業側から重要視される項目の一つに「職歴」が挙げられます。ところがこの職歴、ドイツと日本との仕事文化の違いを念頭に置いておかないと、大きな誤解を招きます。

ドイツの就活時に、この「職歴」の持つ意味を、日本での意味のまま捉えてしまうことが原因で、上手くいかないことが多々あります。

今回の記事では、日本とドイツでのキャリア・職歴の考え方に関する違いに焦点をあて、ドイツにおける正しい「職歴」の理解について解説します。

ドイツと日本:職歴・キャリアステップの違い

日本の職歴・キャリアステップの向く方向性は、日本という国の文化・性格を投影するかのように、色々な部署の構造を知り、色々な仕事に対応できる、長期的な社員の「ジェネラリスト」としての育成です。

日本の代表的な人事制度として挙げられる新卒一括採用ですが、採用時点で、会社側はまだ誰をどこに配置するかを決めていません。まず人ありき、続いて個人に適したキャリアパスを用意し、それを通じて会社事情に精通するジェネラリストを育てる、というのが、日系企業の伝統的な方法論です。

それゆえ日本人の職歴は、同じ会社にいながら、たびたび違う部署や専門を経験することが少なくありません。

対して、ドイツの仕事文化の方向性は「スペシャリスト」の育成です。ドイツ人は通常、大学では一般的な理論を学び、大学院でさらに細分化された専門性を深め、それをもとに卒業後は特定の分野でのキャリアを極めていきます。

会社側は、通常空いた部署やポジションに人を当てはめていくような採用方法を採ります。日本の「先ず人ありき」の人事制度と対比をなす、「先ず仕事ありき」の人事制度なのです。

そのためドイツ人の職歴を見ると、会社は転々としていても、大学・大学院時代から一貫して専攻・経験職種は同じという、専門性の軸のぶれないものが目立ちます。

日独のキャリアステップの違いの一例

日本からの転職はなぜドイツで分が悪い?

さて、上記の職歴・キャリアステップに対する捉え方の違いを念頭において、日本人がドイツで就職をするという状況を考えてみましょう。

日本で経験する、営業、マーケティング、人事、など、いわゆる日本人の大半のサラリーマンの占める文系ポジションは、日本の会社、社会への特化型の職能です。

上述の通り、ジョブローテーションを通じて会社内でのネットワークや暗黙知を強化し、仕事の進みをスムーズにする、という考え方は、日本の仕事文化に独特なもので、ドイツのようにスペシャリストの育成を目指す文化圏にあっては、その強みが評価されません。

また、対外的なスキル、例えば「私は営業・マーケティングの経験があります」という職歴も、実際のところ、「私は日本市場に対して営業、マーケティングの経験があります」と置き換えて考えなくてはいけません。

日本の企業や市場に向けた営業やマーケティングの知識や功績があっても、それが「ドイツやヨーロッパへの営業・マーケティング」といったポジションで同じように発揮されるとは限らないと、ドイツ企業側は考えるのです。

人事や経理など、現地(ドイツ)のルールを知らないと対応が難しい職種の場合、日本における資格上のアドバンテージ(例えば公認会計士や弁護士)は全く同じようには使えません。知識やスキルとして応用することは十分可能ですが、日本国内と同等の待遇を受けるためには、現地(ドイツ)の資格を新たに取得する必要が出てきます。

もちろん、日本の大きな企業で仕事した経験、というのはドイツでの就活の際に一定評価がなされることもありますが、就職ポジションと日本で経験したポジションとで乖離がある場合、キャリアの階段がまた一からのスタートになることも珍しくありません。

そのためドイツでの転職は、日本で長年キャリアを培った人にとっては、正しい就活知識をもとに行わないと、鬼門なのです。

日本での「職歴」を正当に認めてもらうためには?

とはいえ、日本での職歴がドイツでも正当に活かせる分野や環境、というものがいくつか挙げられます。

一つ目は、専門職です。特殊な例でいえば、多くの日本人サッカー選手がドイツで活躍しているように、国境を越えてもその技能が活かせる職業の場合、日本での職歴がそのままプラスに反映され、転職成功というケースが見受けられます

その他、エンジニア、建築家、芸術家、音楽家なども、遠いドイツの地で成功を収めている日本人が少なくない分野です。

二つ目は、日本への営業や市場開拓を企図するドイツ企業への就職です。特に中小企業の場合、日本やアジアの市場の知識がないものの、コンサルタントを雇うほどの規模でもないため、日本人を水先案内人として採用し、日本市場開拓に向けるケースがあります。

この場合、主な取引先は日系企業になるため、過去の日本企業との営業や、マーケティングの知識が活かせます。ただし、ドイツ企業は合理的なので、撤退の判断も早く、数ヶ月、早ければ数週間経っても日本市場で満足な結果が残せそうにない場合、首を切られることもあります。

三つ目は、ドイツにある日系企業への就職です。

上述の、日本市場を開拓するドイツ企業の逆で、ドイツにはドイツ市場や欧州市場を開拓するための大手日系企業拠点が数多く、そういったところでは、主に日本本社とドイツ市場、双方の折衝役となる日本人が必要とされています。

こうしたポジションでは、日本組織の理解が必要とされる一方、ドイツ市場に対する興味、英語やドイツ語の知識などを持つ、国際的な場面で活躍できる日本人が渇望されています。

日系企業の場合、前職の日本人としてのジェネラリスト的な職歴も十分に評価してもらえるため、日本での経験が無駄になり、またキャリアを一から始めなくてはいけない、ということがありません。例えば、以下の体験談では、そうした日系企業→在独日系企業への転職の成功ストーリーを紹介しています。

昨今、優秀な海外人材を追い求める在独日系企業への就職は、日本の職歴をキャリアアップにつなげるための好例として挙げられるでしょう。

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