国内外を問わず、就職活動の面接の際には、必ずと言って最初に聞かれる項目は決まっています。それは「では、簡単に自己紹介をしてください」という質問です。
本来、CVに自身の経歴やスキルに関して書いてあるはずですが、人事担当者はどうしてわざわざ再度、自己紹介をさせてくるのでしょうか?ここでいう「自己紹介」とはどういった意味を持つのでしょうか?
今回は、ヨーロッパ就職活動で役立つ、「自己紹介」のコツについてまとめていきたいと思います。
自己紹介をする理由
就職活動において、自己紹介はいわゆる「アイスブレイク」の意味合いを持ちます。人事担当者の目的は、応募者を落とすことではなく、持てる力を面接で存分に発揮してもらい、活躍できる人材を見つけ出すことです。
そのため、最初に応募者の緊張をほぐすために、まずは一番簡単な「自己紹介」から始めさせると、日本国外を問わずやり方は決まっています。
つまり、ここでの受け答えは「すんなりできて当たり前」というのが人事担当者の共通認識なわけで、躓いたり、口ごもってしまうのはあまり好ましくありません。
単純に「自己紹介してください」と言われても、やりづらい部分があります。自己紹介といっても、婚活の際の自己紹介と、面接の際の自己紹介とでは、相手が聞きたい内容というものは根本的に異なってくるでしょうし、あまり的外れな部分を長々と説明されても人事担当者はうんざりしてしまいます。
一般的にヨーロッパで面接の際に「自己紹介をしてください」と言われた場合、以下のようなことを1~2分くらいでまとめられれば及第点と言えます。
- 大学の専攻
- 前職(インターンシップを含む)での専門
- なぜその国に来たのか、その国との繋がり
日本の就活でよくある「大学時代のアルバイト」「部活動」などは、ヨーロッパの就職活動では無視してかまいません(それらが、よっぽど現在応募しているポジションに密接に関係しているわけではない限り)。こうしたアクティビティは、ヨーロッパの人事担当者は直接業務に関係ないと考えており、単に自己紹介を冗長にすることになります。
以下、詳しく見ていきましょう。
大学での専攻
ドイツを含むヨーロッパにおいて、大学の専攻は就職活動と非常に密接な関連性を持ちます。基本的に、どの国も「プロフェッショナルの育成」を人事上の目下の課題としており、日本のように「文学部を卒業して人事になりました」「教育学部を卒業して営業になりました」ということは滅多に見られません。
ですので、「自己紹介をしてください」と面接で聞かれた際にまず最初に話すべきなのは、大学(大学院)で何を勉強したか、ということです。
- 大学のロケーション(日本の大学名を言っても、ヨーロッパの人事担当者は分からないことが多いため)
- 大学(大学院)での専攻
- 特に深堀りした分野
- 大学でのインターンシップ
- 大学時代の論文のテーマ、等
こうした部分について例えば以下のように簡潔に述べられるとよいでしょう。
„I graduated from the university in Tokyo, majored in Business Administration, especially focused on International Management. When I was a bachelor student in Japan, I did an internship in Shanghai for three months, and I consulted Japanese firms which aimed to expand to the Chinese market.”
前職(インターン先)での仕事・職歴
大学での専門を紹介し終えたら、続いて簡単に前職の仕事内容について紹介します。ここで、仕事の際に達成したことなどを深堀りして説明する必要はありません。そうした部分は後々人事担当者がより詳細を突っ込んできます。
そのため、以下のような内容を簡潔にまとめられれば良いでしょう。
- どんな会社(業種)で働いたか
- 何年くらい働いたか
- どんなポジション、役職、職種だったか
- どんな顧客を担当したか(営業職の場合)
ここで重要なのは、応募先の会社がどんな人員を欲しているのかを理解しておくことです。例えば、日本市場との取引をメインにするようなポジションであれば、自分が十分に日本市場のことを理解している部分を強調する必要がありますし、逆に日本色の薄いポジションであれば、他の国との取引をした経験や、海外でも活かせる仕事上のタスクに触れられるとよいでしょう。
その国(ヨーロッパ)に来た理由・繋がり
日本人が日本で就職をする際には触れることのない、この「なぜこの国に来たのか」という理由ですが、これも自己紹介の部分で簡単に説明できると自身の就職活動の一貫性が強調できます。
というのも、ヨーロッパの人事担当者にとって、その人がパフォーマンスを発揮してくれるかどうかも勿論大切ですが、それと同じくらい「どれだけその国にいてくれるのか」も重要だからです。
- 日本にいた際に、渡航先の国とどんな繋がりがあったのか(留学、駐在、等)
- なぜその国で就職したいと思うのか
特に、その国に既に住んでいた、留学した、働いた経験が過去にあれば、その点は自己紹介の際に強調できるとプラスに働きます。