EUの首都」とも呼ばれるベルギー。ブリュッセルにはEU本部やNATO本部が置かれ、ヨーロッパ政治・経済の中心地として世界中から人材が集まっています。フランス・ドイツ・オランダに囲まれた地理的特性もあって、古くから国際物流・貿易のハブとして発展してきました。

街並みは中世ヨーロッパの雰囲気を色濃く残しつつ、国際都市としての機能も兼ね備えており、日本人移住者からも「ヨーロッパらしい暮らしができる国」として人気があります。

一方で、日本人がベルギーで就職する難易度は決して低くありません。世界中から多国籍人材が集まる国であるため競争は激しく、「英語が話せるだけ」では差別化が難しい労働市場とも言えます。

本稿では、ベルギー就職の難易度と、仕事を得るためのコツについて解説します。

ベルギーの就職難易度

ベルギーで日本人が就職する難易度は、5段階評価で「2(普通)」と言えるでしょう。ドイツやイギリスのように日系企業が多い国と比べると求人数が減るためやや難易度は上がりますが、英語だけで働ける環境も多く、欧州HQとしての機能を持つ日系企業もあって日本語を活かしたチャンスも多く存在します。

ヨーロッパ就職難易度 Tier
難易度1 易しい ドイツ、イギリス 英語力と職歴があれば戦える
難易度2 普通 オランダ、デンマーク、ベルギーフィンランド 日系企業は少ないが就職自体は挑戦しやすい
難易度3 やや難 フランス、スペイン、ポルトガル、イタリア 等 現地語が求められやすい
難易度4 難しい ポーランドチェコ、スロバキア 等 現地語重要。ビザ申請のルールが難しい
難易度5 極難 アイスランド、モナコ 等 就職件数自体が少ない

日系企業の数だけで見るとロシアやチェコ以下ですが、東欧のように製造拠点としてではなく、販売拠点、欧州統括としての機能を持つオフィスが多く、現地語が話せなくても通用する求人が用意されていると言えます。

出典:海外在留邦人数調査統計
順位 国名 日系企業数 主な日系企業の業種・傾向
1位 ドイツ 1947社 📈 金融、メーカー(自動車関連)、機械、電子部品、物流
2位 イギリス 928社 📉 金融、商社、製薬、IT
3位 フランス 820社 📈 機械、商社
4位 ロシア 339社 📉 商社、建設機械、インフラ関連(撤退傾向)
5位 オランダ 700社 📈 IT、物流拠点、金融
6位 スペイン 404社 📈 自動車部品、建設、商社
7位 ポーランド 367社 📈 製造拠点、コールセンター
8位 イタリア 394社 📈 メーカー
9位 チェコ 279社 📈 製造拠点、ITアウトソーシング
10位 ベルギー 254社 📈 欧州本社機能、物流

ただし採用する企業側の視点に立って考えると、他のEU諸国同様スキルが同じであればEU人材を雇う方が手間がかからないため、現地人材以上のスキルやメリットを提示することが重要になります。その意味では、EU諸国の中では比較的容易な部類には入るものの、やはり日本での就職と比べるとハードルは低くない点を理解しておく必要があるでしょう。

経済、治安、医療等様々な面で高水準なベルギーにはEUのみならず世界中の優秀な人材が集まることでも知られているため、こうした多国籍人材との競争に戦い勝つには自身の専門性とスキルを磨くことが近道になります。

就職のためのスキル

2026年現在、ベルギー経済はEU圏内でも比較的安定しています。平均月収は4,000€前後と、ルクセンブルグやアイルランドを除いたEU諸国の中でトップクラスの水準です。

安定して強い業界として知られるのが「物流」「化学」「医薬」「食品」「IT」などで、特に物流に関してはヨーロッパ有数の港であるアントワープを抱えることから、フォワーダー、認証、物流や倉庫といった貿易に関わる業務が多数存在しています。

港湾都市としての利便性から日系企業の欧州統括機能がベルギーに置かれるケースも少なくなく、「営業」「営業アシスタント」「物流マネージャー」などで日本語人材が求められることもあります。

職種 英語 フランス語 / ドイツ語 / オランダ語 実務経験 年収レベル
営業 2年以上 €45,000~€70,000
営業アシスタント 未経験可 €35,000~€50,000
エンジニア 3年以上 €55,000~€85,000
IT 3年以上 €55,000~€90,000
物流 3年以上 €40,000~€65,000
経理・総務 3年以上 €45,000~€70,000
※ ◎=必須レベル 〇=あると有利 △=職種・企業による
※ 年収はベルギーの日系企業求人を中心とした目安です。業界・勤務地・語学力・経験年数により変動します。

特に日系企業や日本との資本関係を持つ会社であれば、日本本社や日系顧客との折衝を多く持つことから、日本語の話せる人材の採用を優先させる傾向にあります。

ベルギー就職の課題

ベルギーで日本人が就職するときの大きなハードルの一つに、受け皿としての日系企業の少なさが挙げられます。日系企業の数の比較では、ドイツでは約2000社、イギリスでは1000社であるのに対し、ベルギーには250社しか存在せず、日本語を活かした求人の絶対数が少ない傾向にあります。

(※ドイツとベルギーの人口比が約8:1のため、そもそも絶対的な求人数も限られている)

また、EUの求人は基本的に「空いたポジションを埋める」形式であるため、前任者が辞めない場合や、新規事業が立ち上がらない限り、中々日本語を活かせる人材の募集がかからないことがあります。

代替案としては、地理的、文化的にも近いドイツでの就職が挙げられます。2026年現在EUの国の中で日本との接点が一番大きい国はドイツであり、官民両面で近接したコミュニケーションが図られています。

在独日系企業での就職、日本と貿易機会の多いドイツ系企業など、日本人であることのスキルや経験を活かせる場面も少なくなく、また就労ビザ取得も比較的容易な傾向にあると言えるでしょう。

EUという国境を越えた共同体が立ち上がり早30年。EU本拠地のあるベルギーとドイツはその中でも政治と経済の中心地として密接な連携があり、関わるチャンスが多い国の二つでもあります。日本人のスキルを活かしやすいドイツで、まずはEUキャリアをスタートしてみるのはどうでしょう?

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