パートナーがドイツで仕事をすることになった、留学することになった、研究員として学術機関に招かれた…などなど、様々な理由でドイツへの移住が決まったとき、生活を共にしている家族も一緒に滞在できるのかというのは大きな課題です。

一般に「配偶者ビザ」と呼ばれるビザを申請しようとする場合には、以下のようなケースがあるでしょう。

配偶者ビザ申請の主なシナリオ

👪 日本企業の駐在員として渡独する家族に同行する(日本 → ドイツ)

👪 個人でドイツで滞在する家族に同行する(日本 → ドイツ)

👪 すでにドイツに滞在している日本人パートナーと家族になる(日本あるいはドイツ → ドイツ)

  1. 日本企業の駐在員として渡独する家族に同行する(日本→ドイツ)
  2. 個人でドイツで滞在する家族に同行する(日本→ドイツ)
  3. すでにドイツに滞在している日本人パートナーと家族になる(日本あるいはドイツ→ドイツ)

ドイツには、就労、研究、就学、研修、技術専門職など、滞在許可証の種類が細かく規定されています(参考:Visa-Navigator)。パートナーのビザに依らず、自身で就学し学生ビザを取得する、あるいは就労先を見つけて就労ビザを申請する場合もあるでしょう。

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ドイツでのビザ申請のルートはたくさんあるんだね

フェリ

今回は特に、学校や企業に在籍しない純粋な「配偶者」としての立場でのビザ取得について解説していきます

配偶者ビザとは

ドイツ語で滞在許可はAufenthaltstitelと呼ばれます。有効な日本国パスポート所有者は、観光ビザでドイツに入国後90日間は滞在できますが、その期間を超えて滞在する場合には、どのような場合であってもこの”Aufenthaltstitel”が必要となります。

ここでは、家族であるパートナー(妻あるいは夫)を主なビザ取得者とし、それに付随して発行される家族の滞在許可のことを「配偶者ビザ」と呼ぶことにします。

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入国から90日以内って、かなり時間的にタイトなスケジュール。。

フェリ

実際には、90日以内に申請が終わっていれば仮ビザを発行してくれるケースがほとんどよ。その期間中は出国や引っ越しが難しくなるので注意が必要だけど

具体的な申請手続きについて、5つのステップ

配偶者ビザ申請の主な流れは以下の通りです:

配偶者ビザ申請ステップ
1️⃣ ドイツへ渡航
(観光ビザで入国可能)
⬇️
2️⃣ 賃貸契約&入居確認書
Wohnungsgeberbestätigungを入手
⬇️
3️⃣ 住民登録
Einwohnermeldeamtで登録
⬇️
4️⃣ 医療保険申し込み
Krankenversicherung
⬇️
5️⃣ 滞在許可申請
Ausländerbehördeにて

この流れは、ドイツ移住の主な理由となるパートナーがビザを申請するときも同様です。配偶者は、パートナーと同時にドイツへ行く、後から渡航し合流する、どちらの場合も考えられますが、いずれにせよ以下の条件が過不足なく揃っていることが、パートナー及び配偶者双方のビザ申請で必須となります。

必要となる条件
✔️ ドイツでの住民登録
✔️ 医療保険への加入
✔️ 収入の証明

住居を定めずに渡航した場合は、まずは家探しからスタートすることになります。住民登録には、アパートの貸主または管理会社から発行された入居確認書​​​​​​が必要です。とにかくドイツでの住居が定まっていることが、ビザ申請の第一歩なのです。

配偶者ビザ申請に必要な書類

申請の流れをおさえたところで、次に必要なのは書類です。

必要書類 取得可能な国 説明
日本 ドイツ
滞在許可申請書(所定の申込書) ✔️ ドイツでの居住地を管轄する外国人局ごとに書式が異なります。オンラインでも入手可能ですが、現地で確認して取得するのが確実です。
住民登録証明書 ✔️ 配偶者ビザ申請でも最初のステップは住民登録。必要書類は申請書、パスポート、入居確認書、パートナーのビザ類など。登録には事前予約と約€100の手数料が必要です。
パスポート ✔️ ✔️ 有効なパスポートが必要。残存期間が1年未満の場合、渡航前に更新をおすすめします。
申請用の写真(縦45×横35mm、正面撮影) ✔️ ✔️ 日本と同じサイズ(45×35mm)の証明写真を使用可能。正面・無背景が必須です。
結婚証明書 ✔️ 日本またはドイツで発行された原本が必要。翻訳・アポスティーユが求められる場合があります(下記参照)。
パートナーの収入証明 ✔️ ドイツでの雇用契約書など、給与条件が明記された書類が必要です。
医療保険加入証明 ✔️ パートナーの保険に付帯加入が可能。申込み済みの書類で登録可、ビザ申請時には保険証または加入確約書を準備しましょう。
参考:新たにドイツに渡航する者に同行する家族

「結婚証明書」。必要書類のなかで、最も準備に手間取る可能性があり、次の項目で詳しく解説します。

結婚証明書とは

ドイツ大使館/総領事館のwebサイトにおいて、新たにドイツに渡航する者に同行する家族のページでは、結婚証明書について「日本の戸籍謄本に日本国外務省のアポスティーユ(アポスティル/Appostille)が付された後 、認証翻訳されたもの」とあります。

ドイツでは婚姻証明書(Heiratsurkunde)と呼ばれる書類がありますが、日本では正確に該当する書面はありません。日本では婚姻届を提出すると、夫妻それぞれが育った家族の戸籍から離れ、夫と妻の2人で新たな戸籍が作られます。同一の戸籍に2人の氏名が記載されていることが、公的な結婚証明と言えるでしょう。そのため、この戸籍謄本にアポスティーユ(外務省の公的確認のこと。提出先国の総領事認証と同等の効力を持つ)をつけたものが、「結婚証明書」となるのです。

アポスティーユについては、東京あるいは大阪の外務省分室に郵送で申請できます(※現在はコロナ対応のため郵送での申請が推奨されています)。戸籍謄本(原則として発行より3ヶ月以内)、申請書、返信用封筒を同封して送付するだけです。送付先など詳しくはこちら。アポスティーユ – ドイツ外務省

では、「認証翻訳」とは何か。日本の戸籍謄本はもちろん日本語ですから、ドイツ現地での手続きでは理解されません。あらかじめドイツ語に翻訳しておく必要があるのですが、その実務を遂行できる翻訳者が公的に定められています。その翻訳者が翻訳したものでないと認めません、ということです。担当できる翻訳者の一覧はこちら。認証翻訳 – ドイツ外務省

以上のように、

結婚証明書準備ステップ
1️⃣ 戸籍謄本を取り寄せる
2️⃣ 外務省のアポスティーユをつける
3️⃣ ドイツ語の翻訳をつける

この3ステップで、ようやく配偶者ビザ申請に必要な「結婚証明書」が用意できるのです。

夫婦ともにドイツにいる場合は?

日本に暮らしていてドイツ行きが決まった(日本→ドイツ)となれば、結婚証明書を日本で準備することが可能ですが、すでにドイツで生活している日本人同士の場合(ドイツ→ドイツ)はどうでしょうか。

ドイツで行う結婚の手続きについては、ここでは詳細に言及しませんが、結婚ののち既存のビザから、配偶者ビザへの切替の手続きをとることになるでしょう。

まず婚姻届は、日本大使館あるいは総領事館に直接出向いて届けます。その後、日本で新しい戸籍が作成されるまでには4~6週間ほどかかります。2人の氏名が記載された新しい戸籍謄本の取り寄せ、アポスティーユの申請は、日本にいる親族など代理人でも可能です。しかし、委任状を作成する必要があるのと、やはり遠隔でのやりとりに時間がかかることは想定しておいたほうが良いでしょう(参考:申請手続きガイド 3 申請方法・必要書類|外務省)。

そして、最後のステップとなる認証翻訳は、日本で翻訳してからドイツに戸籍謄本を送付してもらうか、送付後にドイツ居住の公認翻訳士に翻訳を依頼するか、どちらでも可能です。

詳しくは、在ドイツ日本大使館のサイトを参照してください(参考:領事情報 | 在ドイツ日本国大使館)。

いざ、外国人局へ

さて、上記の書類がすべて用意できたら、やっと外国人局へ出向いて申請です。こちらも事前予約が必要ですので、書類が揃う目処がたったらすぐに予約をとるほうがいいでしょう。

不足書類があれば再度赴くことになってしまうので、念入りな準備が肝要。外国人局では書類をすべて手渡して、あとは待つだけです。申請書類に問題がなければ、このタイミングで6ヵ月(目安)ほどの有効期間の仮のビザが発行されます。その後、外国人局からPIN番号IDが記載された手紙が届きます。

転職ペンギン

たくさん書類があるけど、不備がないか不安

フェリ

一発で不備ゼロで通ることは中々少ない印象ね、場合によっては二度三度と足を運ばないといけないことも・・

ついに配偶者ビザの取得

PIN番号が記載された手紙が届いたら、「あなたのビザの用意ができましたよ」ということ。改めて外国人局の予約をとってください。この際に現住所の郵便受けに自身の名前が記載されていないと、あて先不明で手紙が届かないので注意が必要です。

そうして外国人局に出向くと、正式な配偶者ビザを受領できます。申請時に短期間の仮のビザが発行されるとはいえ、入国から観光ビザの期限である90日以内に完了することを目指して、この一連の手続を行う必要があるのです。

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手紙が届いたらようやく念願のビザ取得!

フェリ

パートナービザでドイツに滞在しつつ、日系企業で働く女性の数も少なくないわ!

商社、有名メーカー、貿易アシスタント・・

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ワンポイントアドバイス

以上、申請の流れと書類を見てきました。初めての、そして外国での行政手続き。留意点などはあるのでしょうか。

1)入国時に持っておくと良いもの

観光旅行やビジネスなどで外国に入国するとき、滞在期間の確認とともに、日本へ帰るフライトのチケットを確認されることがあります。しかし、移住でドイツに入国する場合は、日本に戻るチケットは手元にないことが多いのでは。

入国審査では、パートナーがドイツで仕事をしており、自身もドイツに居住することを伝える必要があります。入国審査官がどこまでチェックするかは担当者次第ですが、パートナーのビザのコピー、あるいはまだ発行されていない場合は、パートナーのパスポート、住民登録証明書、雇用契約書、医療保険加入証明書など、渡航理由の証明とビザ申請中であることを証左するためにも、全てコピーを手元に用意しておいたほうが安心です。

2)入居確認書への氏名の記載

先述のとおり、住民登録に必要な入居確認書には、もちろん配偶者名の記載があることが求められます。パートナーが先に渡航し配偶者はあとからドイツへ向かう場合でも、パートナーが入居する際に、2人の名が併記された確認書をもらっておくことをお勧めします。

3)医療保険の加入申し込み

パートナーが加入している保険への加入申し込みは、郵送で可能です。あとからドイツに合流する予定でまだ日本にいるとしても、パートナーとメールでのやりとりなどで申請用紙に記入して、前もって申し込みをしておくことも一案。ビザ申請までの時間のロスを防ぐために、できることは早めにやってしまいましょう。

4)パスポートの残り期間

当然ですが、日本国パスポートの有効期限を超えてのビザは発行されません。パスポートの切替え申請ができるのは有効期限が1年未満になってからですが、海外への長期滞在などの理由による場合は、1年以上の残り期間があっても申請が可能です。ドイツで取得する配偶者ビザの有効期間は、もちろんパートナーが保持するビザの期間に従います。同等の期間を付与されるよう、パスポートの残り期間の確認を忘れずに。

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