【徹底解説】ドイツの日系企業に日本人が現地採用されるための条件とメリットは?

2021-01-24 | タグ:

海外転職を思い立った時、多くの日本人は次のステップの具体的なイメージがつかないのではないでしょうか。今回は、転職市場の中でも特殊な、しかし魅力たっぷりの「ドイツにおける日系企業現地採用」のためのイロハを徹底解説します。

ドイツの日系企業が狙い目なワケ

具体的な統計データこそありませんが、ドイツに生活する日本人の数は約50,000人と言われ、うち現地で就職した日本人の割合は5~10%程度、つまり2,500~5,000人程度と見積もられています。現地就職といえ、実際にはドイツ企業ではなく、そのうちの9割超が「ドイツ拠点の日系企業への現地採用組」となります。

それではなぜ9割の日本人は、現地のドイツ企業ではなく在独日系企業への就職を選ぶのでしょうか?以下に、日本人が在独の日系企業を選ぶメリットを示します。

ドイツ企業 ドイツの日系企業 日本の日系企業
語学要件

(独語・英語)

C1 B2

(独語はマストではないことも)

マストではない
日本人であるアドバンテージ
給料
有給 ◎~〇
グローバルな生活・仕事 ✖(職種による)
雇用の安定性

語学の障壁が低い

多くの日本人にとって、ドイツ企業への就職のネックとなるのが「語学の要件の高さ」です。具体的には、一般的に500人以上の「大企業」と呼ばれるドイツ企業にあっては、ドイツ語および英語でC1相当の実力を持っていることが応募のための前提条件として課されており、これをクリアできない日本人が多数です。

B1 B2 C1 (流暢)
IELTS 4.0~5.0 5.5~6.5 7.0~8.0
TOEFL iBT 42~71 72~94 95~
Cambridge Scale 140~159 160~179 180~200
(TOEIC) 550~784 785~944 945~

一方で在独の日系企業はどうかというと、英語はB2以上、ドイツ語は企業によってはマスト要件でない会社が多く、日本人にとって人気の高い理由の一つとして挙げられます。また企業によっては、ドイツ語研修のための費用などを負担してくれるところもあり、ドイツで働きながらドイツ語を身に着けたい日本人には魅力的なオプションです。

日本人であることがアドバンテージ

現地のドイツ企業で働く日本人の数が極端に少ない他の理由の一つに、「ドイツ企業にとって日本人を雇うメリットがどこにも無い」という点も挙げられます。

グローバルに企業展開するドイツ企業にとっても、まだまだ取引先やサプライヤーの多くは輸出入ともにヨーロッパが中心であり(ドイツ企業にとって、ヨーロッパが全体の60%程度)、日本を含めたアジアのマーケットとしての価値は、中国を除くとあまり高くはありません(参考:JETRO)。

そのため国際的なビジネスを生業とするドイツ企業にとって、まず国際人材として必要なのは、ヨーロッパ諸言語と文化を理解する欧米人、ついで中国人といった形になり、わざわざ高い給料を払って、新しく日本人を採用する動機も旨味もありません。それゆえドイツ企業に採用されている日本人というと、建築家や、研究職といった、特に日本のマーケットに留まらず、日本語も必要としない分野での人材に限られているわけです。

一方在独の日系企業の事情はどうかというと、日系企業という時点で既に日本や日本経済との繋がりを強く持っています。必然的に、日本の本社との連携・交渉が必要となり、日本人であること、あるいは日本で働いた経験があることが大きなアドバンテージとなってきます。

この「アドバンテージ」は、単なる職の探しやすさだけではなく、就職してからの昇給、雇用条件などにも影響を及ぼします。苦労してドイツ企業に入っても、日本のマーケットが育たなかったり、政治的、経済的理由で日本のマーケットがご破算になった場合、ドイツ企業の場合割とあっさりと首を切られてしまいます。

グローバルな業務が可能

ドイツに進出している日系企業の魅力の一つに、「欧州の統括機能を持つ」点が挙げられます。欧州の経済機能の総本山としてみなされているドイツゆえ、日系企業がその他欧州地域などに製品を販売する場合、ドイツを軸として、そこから他国へのビジネス展開を行っているケースが少なくありません(かつてはイギリスとドイツの二大拠点でしたが、イギリスのEU脱退に伴い、イギリスのハブとしての機能的魅力が衰えつつあります)。

そのため、業務は非常にダイナミックで、他の欧州各国への出張や交渉事を伴い、海外でグローバルな働き方を求める日本人にとっては魅力的な受け皿となっています。

雇用が安定している

ドイツは労働者保護の文化があり、他の欧州諸国と比べると労働者の雇用や地位は保護されています。とはいえ、ドイツ企業を日系企業と比べると、やはり雇用の維持に関しては不安定な要素が多いと言わざるを得ません。

例えばドイツ企業の場合、最初の半年(試用期間) ~一年(期限付き契約)というものがあり、その期間内に成果を残せないと首を切られることもあります。一旦「無期限契約」となると会社側もそうは簡単に首を切れなくなるのですが、そこに行きつくまでが割と難しく、最初の1~2年、労働者側はいわゆる「期限付き契約」で1年ごとに契約を更新するような形でしのぎます。

一方日系企業はというと、本社ほどではないにしろ、日本の人事習慣である「雇用の維持」が前提として存在しており、頑張った分だけ会社側も認めてくれて、おのずと長期雇用も現地のドイツ企業よりも安定している傾向にあります。会社によっては、一生ドイツで働いてそのまま現地の社長になってほしいという意向を持つ会社も少なくなく、実際に現地採用からたたき上げで出世の道を歩んでいる日本人も多くいます。

有給が多い

ドイツでは、大体平均して年に30日の有給が認められており、有給の消化率も100%近いものとなっています。ドイツに進出している日系企業は現地の労働習慣に準じる必要があるため、必然的に似たような有給日数と有給消化率を労働者側に提供しています(参考記事:ドイツの有給休暇は年何日?)。

ただし、実際問題日系企業であるがため、繁忙期には有給の消化が難しかったりと、現地の純ドイツ企業に比較すると若干縛りが多くなっていますが、それでも日本本社での仕事と比べて有給が取りやすく、プライベートの生活を安定させる社会的基盤が根付いていることは事実です。

Source: Adapted from 日本エクスペディア

ドイツの日系企業に採用される条件

ドイツの日系企業に採用されるための条件は、日本国内での転職やドイツ企業への転職とは随分異なった様相を呈しています。語学要件、職歴、スキルの3つの切り口から、どのような条件が必要とされるのかを見ていきましょう。

語学要件

上述したように、ドイツ企業における語学要件は、多くの日本人にとって非常にハードルの高いものとされています。一方日系企業においては、英語が業務レベルで支障なく話せればボーダーラインはクリアと見なされることもあり、ドイツ語に至っては企業によっては必須要件ではありません。

例えば、以下の図はドイツの日系企業に内定をもらった日本人の英語・ドイツ語レベルですが、表の示す通り、半数近くがドイツ語が全く話せないままでの現地就職となっています。

ドイツ日系企業に内定した日本人の語学力

職歴

職歴に関して言うと、必ずしも前職と同じ職歴であることは要求されませんが、少なからず日系企業で以前に働いた経験があると、大きなプラスの要因となります。というのも、ドイツに根を下ろす日系企業の場合であっても、やはり日本的な文化を踏襲しており、本社とのやりとりや同僚との仕事の折衝は日本式やり方に基づいて行われます。

そのため、日系企業での勤務経験と社会人としての最低限の素養が、職歴に関して言えば求められるところとなってきます。

ちなみに以下は、ドイツ転職前と後の職種の比較図です。日本での前職の職種は営業が圧倒的に多く、ドイツ転職後は海外営業、マネジメント、物流関連、とより多岐にわたる職種に広がっています。

ドイツにおける日本人就職者の職種

その他、ドイツの日系企業に就職した日本人の職歴や学歴のデータに関しては、以下の就職レポートを参照ください。

Report_2020

スキル

最後に、具体的に求められるスキル・技能ですが、ドイツ市場が活躍の場となる場合、日本における資格が用をなさないケースが多々あります(特に士業系の資格は、法律の違いから日本でのみ通用するところが多く、互換性がない)。

逆に日本でもドイツでも通用するスキルと言えば、上述したような「語学」のスキルに加え、「Web周りの職種」「Engineering」「Big Data」「Machine Learning」「医療系職種」「統計処理」という理系の非常に限られたものになってきます。

そのため必須スキルとしては、「エクセル・パワポ・ワード」のようなオフィスアプリケーションの知識であったり、ドイツ国内の営業であれば運転免許証(日本の免許証を持っている場合、書き換えが可能)、といった必要最低限のものになってきます。

むしろスキルという面では、上述のようなハードスキルよりも、日本本社とドイツの同僚との間に立って折衝する役割といったソフトスキルが要されることが多く、特に「異文化コミュニケーション」「チームワーク」といった部分での需要が多いです。

ドイツの日系企業に採用されるための応募プロセスは?

会社の規模や性質にもよって異なりますが、オーソドックスなのは「求人サイト」「リクルーター」の2パターンになります。

リクルーターの活用

在独の日系企業はジャンルが特殊なこともあり、応募者のルートとして一番多いのが、当社のような現地のリクルーターを活用する方法となります。その場合、以下のような申し込みフォームから個人情報を送信すると後日リクルーターから連絡があり、最適なポジションの紹介などがあります。

当社のプロセスを例にとると、まず履歴書をアップロードします。英語またはドイツ語での履歴書のアップロードとなります。履歴書の書き方が不明な場合は、以下の記事を参考にしてください(参考記事:ドイツ語履歴書の作成・テンプレート

続いての画面で、個人情報を入力します。重要な点は、連絡のつく連絡先(メールアドレス、携帯番号)を入力することで、これがないとリクルーター側が連絡をとれず、その先の就活プロセスに影響を及ぼします。

最後に、その他必要書類を添付します。ここで言うその他必要書類とは、語学の証明書や大学の成績証明書などで、具体的にどのような書類が求められるかは、以下の記事を参考にしてください。(参考記事:出願時に求められることの多い7つの必要書類

こうしたデータを送信後、後日リクルーターとのアドバイス面接を通じ、最適なジョブポジションの紹介がなされます。当社リクルーター面接では固くならず、お気軽に不安点や悩みなどもお聞かせいただければお答えいたします!アドバイスから応募先の紹介、内定まで当社のサービスは、応募者に対し全て無料で提供されています。

求人サイトの活用

LinkedInやIndeed、Step Stoneなど、オンラインの求人サイトを活用するのもドイツの転職市場では一つの手段です。ただし、上述した通り、在独日系企業はドイツにある多国籍企業の中でも特殊な立ち位置におり、こうした求人サイト上に掲載されるポジションはごく限られたものしかありません。

また、一社ずつJob Descriptionを読んで自身の経歴とマッチするかを調べなくてはいけないのと、一社ごとに履歴書を提出し応募しなくてはいけないため、手間がかかることが難点です。

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