ドイツの有給休暇は年間何日?労働先進国ドイツに見るワークライフバランス

2019-04-27 | タグ:

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ワークライフバランス、私生活の充実と仕事の両立とが、日本においても昨今取りざたされています。2019年のゴールデンウィークは、異例の10連休となり、政府の休暇取得向上のための姿勢がうかがえました。

労働者天国と呼ばれる西欧・北欧諸国では、すでにこうした日本の動きに先駆け、労働環境の改善や、私生活の充実プログラムを推進しています。

今回は、ワークライフバランスを語る上でもとりわけ重要なテーマの一つ、「有給休暇」にスポットライトを当て、ドイツと日本における有給文化の違いを解説していきたいと思います。

ドイツと有給休暇

ドイツでの仕事文化を日本のそれとを比較した際、大きく目を引く違いの一つに、有給休暇の日数と、その消化率が挙げられます。

最近では改善の兆しがみられますが、日本の一般的な会社風土の中では、まだまだ社内での有給の申請は様々な理由で困難なケースが少なくありません。

一応、名目上は労働基準法により、勤続年数と年間の労働日数をベースに付与される有給が義務付けられているものの、実情で、その規定通りに有給が消化されているかというと、やや疑問が残るでしょう。

一方、ドイツ社会ではどうかというと、有給の日数は、一般的な週5で働く会社員の場合、年間最低20日と義務付けられています。ただし、これはあくまで法定最低基準として設けられている日数ですので、企業によってはいくばくかの有休を加算し、最大で年間30日程度になるところもあります。

これに加え、ドイツには年間で10日前後(州によって異なる)の祝日が設けられているため、祝日の前後に有休を使い、毎月4~5日規模の連休を作る人もいます。

ドイツの有給申請の方法と実体

さて、気になってくるのが、公には年間20~30日の有給休暇が与えられているものの、実際のところ、それらを使い、旅行に行ったり、実家に帰ったり、ということがしやすい雰囲気なのでしょうか、という点です。

例えば、日本エクスペディア社の調査によると、日本の有給消化率は支給日数20日に対して消化日数10日と、調査を行った19ヵ国のうち最低の消化率50%を示しており、実態が支給日数と乖離し、有名無実化しているケースが少なくありません。

一方、ドイツの場合、支給日数30日に対し、消化率100%と、実に支給された有給休暇30日を、年内に全て使い切っている様子がうかがえます。


Source: Adapted from 日本エクスペディア

ドイツという社会は、プライベート・家族の時間を大切にするため、有給取得に対して非常に寛容で、取引先も相手が有給休暇中、家族と旅行中と分かれば、それ以上の追撃をかけてきません。

むしろ、日系企業やアメリカ系企業から言わせると、ドイツ人は忙しい時にも平気で有給を使って旅行に行ってしまうため、たまには自重してほしい、という声が出ています。

また、こうした、有給のとりやすさや、家族との過ごしやすさは、OECDの算定した世界ワークライフバランスランキングにも反映されており、調査を行った35ヵ国のうち、ドイツのワークライフバランス指標は世界8位でした。

韓国やトルコと並び、世界ワースト5位にランクインしている日本と比較すると、その違いは顕著で、名実ともに、ドイツの有給は先進国屈指の取りやすさということが言えるでしょう。


Source: Adapted from OECD

ドイツの有給休暇はなぜ多いのか?

さて、日本とドイツの有給休暇の日数、およびその消化率とで、なぜこうも違いが生まれてくるのでしょうか?

理由の一つとして挙げられるのが、日本とドイツの休暇に対する捉え方、態度です。

ドイツの場合、社会全体がすでに休暇(Urlaub)という文化を受け入れており、日本のように「周りが休まないから私も休めない」といった圧力が存在しません。それゆえ、「有給はとって当たり前」という雰囲気が昔から流れていることが、原因の一つとして挙げられるでしょう。

また、性格的な側面も強く影響しているといえます。例えば、心理的障壁に焦点を当てた学術調査によると、日本とドイツの企業文化の中で、以下のような違いが強く見受けられ、しばしばジョイントベンチャーなど日独共同作業の障害になる、ということが分かりました。

日本 ドイツ
個人主義vsグループ グループ主義 個人主義
ルールの守り方 場の雰囲気を読む 規範重視
ワークライフバランス 公私混同が多々 公私の分別をわきまえる

Source: Adapted from (Brennen et al, 2000)

日本社会では、場の雰囲気を読んで、有給取得を言い出せない、という場面がしばしばありますが、ドイツ社会においては、契約書に明文化されている有給の取り決めは絶対であるため、繁忙期であってもこれを使用する権利が社員にはある、という考えを持っています。

このように、社会的、および個人の性格的違いなどから、ドイツと日本の有給取得率の差が生まれているといえるでしょう。

日本でも有給消化の義務化、ワークライフバランスの向上が喫緊の課題の中、ドイツ社会での有給の取りやすさは、一つのお手本になるのではないでしょうか。

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