このカテゴリでは、Career Managementのサービスを利用して、ドイツでの就職活動に成功した方々の事例をピックアップし、紹介していきます。
第三回となる今回は、新卒でデンマークに就職後ドイツに転職という、「ヨーロッパ→ヨーロッパへの転職」を経験した和田さん(仮名)のストーリーを紹介します。
学生時代に培ったドイツへの憧れ
和田さんは東京の大学で国際経済を専攻。元々海外の文化に興味のあったという彼は、在学中に様々な異文化と折衝する機会がありました。
その中でも和田さんの人生に大きな影響を与えたのが、ドイツでの半年の交換留学経験です。第二外国語でドイツ語を履修していた和田さんは、大学の短期留学プログラムを活用してドイツのミュンヘンに滞在、そこで自然と産業の調和のとれたドイツの生活風景に感銘をうけます。
「将来ドイツで働けるチャンスがあったらいいな」
ミュンヘンでの生活に刺激され、このような着想を得た和田さんは、日本帰国後も英語とドイツ語の勉強を続け、大学在学中に独学でドイツ語検定2級に合格しました。
そんなドイツへの情熱を胸に秘めて大学生活を過ごした和田さんですが、思いのほか早く海外渡航のチャンスが回ってきます。大学卒業後、知人の紹介でデンマークにある中小企業のポストに応募することができ、見事内定を得たのです。
デンマークと言えば、ドイツの北に面した国です。ドイツ語が通じる地域がある他、国としてもドイツ文化の影響を色濃く受けています。
そんなドイツにゆかりのあるデンマークからのオファーを、和田さんは二つ返事で引き受けることにしました。
こうして和田さんは日本の大学を卒業後、日本でのキャリアを経ることなく、直接デンマーク就職というチャレンジングな道のりを選んだのです。
デンマークでの2年の仕事生活
和田さんの場合、ヨーロッパ就職にあたって好条件がいくつか重なりました。まず、在学時代に語学の勉強に力を入れていたため、卒業時にはTOEICで900点のスコアを持ち、デンマークで新卒で就職するにあたっても十分な英語力を持っていたことです。
また、ドイツ留学時代に知り合った日本人の運営する会社だったため、人事の融通が利き、複雑な面接などもなくすんなりポジションを得ることができました。
新卒でいきなり海外就職というチャレンジングな就活を成し遂げた和田さん、ところが、最初のころこそ海外での仕事いうことで興奮していましたが、いざ蓋を開けてみると期待外れの部分が少なくありません。
始めに和田さんの心にひっかったのは、プライベートの過ごし方です。
通常、デンマークの仕事文化は「家族優先」で、17時にはみんな家に帰り、家族や恋人との生活を大切にします。日本のように同僚との交流はほとんどありません。
一方で、独身者のままデンマークに渡った和田さんには、仕事の後も特にすることがありません。土日は店が閉まっており、近隣に大きな町も娯楽もないため、手持ち無沙汰になってしまうことが少なくありませんでした。
デンマークの田舎町で和田さんは、暇を持て余すようになり、趣味としてやれることといえば近くの川沿いを散歩することくらいです。
また、仕事のほうも持ち前の語学力を活かして慣れつつあったものの、どことなく物足りなさを感じるようになっていました。
特に、和田さんは中学から大学まで体育会系の部活で鍛え抜かれて育ったため、商社マンのようなバリバリの営業もむしろ望むところだったのですが、デンマークでは全ての時間が春の小川のようにゆっくりと流れます。
「和田君は若いんだから、そんなに根詰めて仕事しなくてもいいよ」
と、難しい仕事は基本的に上司や同僚のデンマーク人に回され、和田さんの「ヨーロッパでチャレンジングな仕事がしたい」という望みがことごとく空回るような気がします。
結局、こうした環境で幾年か仕事を続けたものの、プライベートでの虚無感と仕事での物足りなさにミスマッチを感じて仕事を退職。和田さんは20代半ばにして日本に一時帰国することとなりました。
ドイツへの再就職
ビザの関係で一度日本に戻った和田さんですが、やはりヨーロッパへの憧れが捨てきれません。
特に、和田さんの心に今でも残っているのは、あの学生時代に半年を過ごしたドイツでの刺激のある生活です。実家の自宅に残してあったドイツ語検定の参考書を見返すと、当時ドイツで頑張って勉強したドイツ語の履歴が懐かしく思えます。
「もう一度ヨーロッパ就職を経験したい。思い残すことがないよう、ドイツ就活にチャレンジしたい」
こうした覚悟を胸に、親を説得した和田さんは、最後のヨーロッパ就職のチャンスということでドイツでの就職活動を開始します。
はやる気持ちを抑えられず、インターネットでCareer Managementのサイトを見つけた和田さんは、早速その日のうちに、半ば勢いに任せてドイツにある日系企業コンサル系の企業に応募します。
この思い切りの良さが、和田さんの就活を決定づけました。
和田さんの履歴書を見たCareer Managementの社員が、ちょうど折よく上がったコンサル系の案件を紹介するために和田さんに連絡を取ります。その後、すべてがとんとん拍子で進み、就職活動を開始してわずか2週間のうちにドイツ日系企業での内定まで決まってしまいました。
和田さんのケースでは、以下のような要因がプラスに働き、内定まで多くの時間を要しませんでした。
- 英語がビジネスレベルで話せた
- 独学で勉強していたため、ドイツ語がある程度話せた
- ヨーロッパでの就職経験があった
- ヨーロッパで長期間生活した経験があった
また、以前働いていたのがデンマークというのもプラスに作用しました。Hofstedeなどの国ごとの文化的差異マップによると、ドイツとデンマークは世界でも有数の文化の近しい国通しにカテゴライズされ、ドイツで改めて仕事を始めるにしても、そこまで文化的な軋轢を覚えることが少ないと言われています。
前回の体験談では、「電話を通じて」の面接を紹介しましたが、今回の和田さんのケースでは、人事担当者がドイツから日本に出張する用事があり、それに合わせて日本で面談をおこない、内定を勝ち取った形です。
安藤さんが当社、Career Managementとのコンタクトを開始したのは、前職を退職した直後の10月のことです。できれば年内に就職先を見つけたい、という安藤さんの要望に応えるため、就職活動はタイトなスケジュールで行われました。
出典:日本にいながらドイツへの転職活動を成功させたサクセスストーリー
そんなわけで、和田さんは二度目となるヨーロッパ就職を、今度は念願のドイツでおこなうことになったのです。
ドイツとデンマークでの仕事の違い
和田さんのドイツ就職から、すでに2年が経ちました。
当初の夢であったミュンヘンでの就職こそ叶いませんでしたが、和田さんは現在、ドイツ屈指の港町であるHamburgで刺激的な仕事生活を送っています。
日本から欧州への輸出入のハブとなるHamburgには、多くの日本語を必要とする業務が存在しており、和田さんも日本語に加え、英語とドイツ語の知識を活かし活躍しています。
「デンマークでの生活は、時間が非常にゆっくりとしたものでした。家庭持ちの人には良いのかも知れませんが、僕のような独身者には退屈することが少なくありません。一方で、ドイツでの仕事は非常にスピーディで、大変なことも多いですが、常に成長とやりがいを感じています」
デンマークとドイツの仕事生活と比較し、和田さんはこう語ります。
グローバライゼーションの影響で、欧州各国の大学も英語のプログラムを設けたり、英語での採用を積極的に行うようになっています。ドイツに拠点を設ける日系企業は、ドイツの大学を卒業した学生だけでなく、こうした「欧州各国の文化」に知悉した日本人人材を広く求めており、その傾向は年々高まっています。
今回の和田さんのケースは、デンマークからドイツに渡り、仕事のやりがいを見出した成功例として挙げることができるでしょう。
さて、上述のような経緯から、元々ドイツの日系企業には「現地の文化に精通した」日本人を欲しがる土壌がありました。現地というのは、単にドイツだけではなく、欧州各国の文化も含まれます。いったいなぜでしょうか?それは、ドイツの日系企業の持つ機能と密接に関係していますが、歴史的に欧州経済の中心であるドイツには、長らく日系企業が「欧州拠点」を置く傾向があったためです。
出典:ヨーロッパ留学後の人気就職先、ドイツってなんでおススメ?
デンマーク以外にも、Career Managementではチェコやポーランドなど欧州各国の大学を卒業したり、働いた経験のある応募者の方を手広く紹介しています。ドイツでの就職を考える際は、是非応募を検討してみてください。