今日において数多くの日本人が様々な理由でドイツ生活を送っています。留学、駐在、ワーキングホリデー、現地採用の会社員など立ち位置は様々ですが、中にはフリーランスという立場で生活する日本人も少なからず存在します。今回の記事ではそんなフリーランスを目指す方々が、まずスタート地点に立てるためのビザ取得の方法と取得後の注意点を詳細に解説していきます。
申請場所
フリーランスビザ(Aufenthaltserlaubnis für eine Arbeit als Selbständiger)申請場所は、自分が住民登録を行っている都市の外国人局(Ausländerbehördeo)です。すでに何らかの滞在許可証を持っている場合は、引っ越していない限り、その滞在許可証を取得した場所と同じです。後の項目で詳しく説明しますが、申請のためには複数の書類を用意し、事前予約した日時に局を訪問して申請します。
事前予約はオンラインやメールでも可能ですが、返信には通常かなり時間がかかります。直接窓口へ足を運びアポを取ることも覚悟しておくべきでしょう。基本的にどの局も混雑していますので、営業開始時刻の30分前から並ぶような心づもりでサービスセンターへ行き、アポ取りに加え、管轄都市での申請に必要な書類を確認してください。
申請条件
基本的には以下の2点が条件です:
- 2社以上の仕事の提供先の証明
- 自己資本および他人資本による資金調達に関する文書(例:銀行取引明細書、融資契約、銀行発行の証明書)
まず一つ目の仕事を提供する者の証明ですが、フリーランスビザを取得する場合は、取得前に『仕事がきちんと毎月あり、一定の収入が見込める』ことを示さなければなりません。ビザ取得後にクライアントを探す、という流れは承諾されません。
逆に言えば、クライアントさえいれば証明自体は難しいことではありません。クライアント(Auftraggeber)に一筆書いてもらうようにお願いしましょう。網羅していなければならない内容は以下です:
- XXX氏(申請者)にフリーランサーとして仕事を依頼したいという文章
- 概算の毎月の報酬(例:2,500 – 3,000 EUR)
- XXX氏でなければならない理由
- a. 母国語:日本語
- b. ドイツ語:堪能
- c. 〇〇分野での研修経験済み(Ausbildung)
- 上記の能力により、ドイツ人の仕事を奪わない特殊な能力だということの強調
- 具体的な職業名の指定(例:スポーツジャーナリスト、通訳など)
- 社長のサインと社印
上記の項目を網羅した書類(A4一枚で十分)を2社以上から入手する必要があります。とは言え、初めての作業の上にスケジュール的にも余裕がないという方も多いでしょう。もしクライアントがフリーの雇用に経験がなく、このようなドキュメント作成も初めてという時のために、以下にテンプレートをご用意しましたので、参考にしてください。
二つ目の資金調達に関する文書です。こちらに関して、銀行など資本を調達できる準備が整っている場合は、書類の準備はその出どころにお願いしましょう。特にオフィスを立てるわけでもなく、資本が必要ないという方は、口座残高の証明だけで大丈夫です。残高の最低金額が記載されているわけではありませんが、10,000 EUR未満でも、例えば3ヵ月程度の生活費さえあれば審査に通る可能性は十分です。とは言え、予め外国人局で確認できるのであれば、それが理想的です。
必要書類
次に必要書類をリストアップします。
- 申請書(Antragsformular):HPからダウンロード、なければ窓口で入手
- 有効なパスポート
- 証明写真
- ビジネスアイデア(Geschäftsidee)
- シフト数やタイムスケジュール
- 履歴書(卒業証明書など含む)
- フリーランス/起業家としての経験に関する参考資料と情報
- 資本に関する書類(口座残高証明、融資契約書など)
以上が基本的な必要書類です。このようにリストアップされても、イメージが湧きづらい項目もあるため、以下に難しい項目を解説していきます。
ビジネスアイデア
フリーランスになることでどのようなビジネスを行うのか具体的に書きましょう。文章量的には150単語程度で問題ありません(A4一枚)。下記ポイントを含めて簡潔に分かりやすくドイツ語で書きましょう。
- なぜその市場で働きたいのか
- 例:自分の大学での専攻と職業体験のキャリアを生かせる
- 例:その市場は拡大していて、自分のような能力を持った人材が必要となってくる
- 自分の能力をどう生かせるか
- クライアントの存在
- ドイツのその都市を拠点として活動する必要がある
こちらもテンプレートをご用意しましたので、必要に応じてご活用ください。
シフト数やタイムスケジュール
フリーでどのようなビジネスを行うかによって書き方が異なるところです。シフトのようなものがあるのであれば、それを書きましょう。月何回、どのクライエントのために仕事をするかなどがポイントです。ただし、申請条件のところのクライアント執筆の証明書内に、勤務頻度など似た内容が記載されている場合は、こちらの書類は作成不要です。
履歴書
ドイツでの履歴書の書き方は、こちらの記事をご覧ください:【テンプレート有】ドイツ語での履歴書の書き方と注意点
フリーランス/起業家としての経験に関する参考資料と情報
過去に経験がある場合は、ウェブサイトのリンクなど活動をまとめて掲示しましょう。過去に経験がない場合はなしで申請を進めます。
最後に
各都市で微妙な違いはあるかもしれません。窓口やオンラインでの情報収集も手を抜かずに行いましょう。必要かどうか分からない書類がある場合も一緒に提出することをお勧めします。大は小を兼ねると言う通り、一つでも書類が欠けていれば遅延に繋がります。
またビザ取得後も、確定申告や保険の支払いといった初めての作業が増えることでしょう。そちら2点に関しては次の記事で詳細説明をしていきます。