ドイツはジョブ型の社会として知られており、職人仕事にしてもホワイトワーカーにしても、就職市場においては経験者が好まれます。その道の経験が全く無い場合、ドイツでは仕事を探すのは困難であり、応募できるのは未経験可の職種に限られてくる場合が大半です。

ドイツではどのような未経験応募可の職種があるのでしょうか?

🎯 本稿のターゲット
  • ドイツでの職歴がないけど就職したい方
  • 未経験の職種にドイツでチャレンジしたい方
  • 未経験から応募可能な職種を知りたい方

ドイツ就活市場における「未経験」の定義

未経験、の定義には2種類あります。「知識はあるけど実務経験が無い」そして「知識も実務経験も無い」です。前者の「知識はあるけど実務経験が無い」は新卒学生などを対象にしていることが多く、インターンシップや学生アルバイトといったポジションが可能性として出てきます。

ドイツ就活市場の習慣として「ドイツで職歴を持たない人間」は実務経験なしと見なされることが多いです。例えば日本ではバリバリの営業マンとして法人営業の経験があっても、ドイツでは「実務経験なし」と考えられてしまうということです。その場合、折角実績があっても学生と同じ「未経験」のテーブルからスタートする可能性も考えられます。

表現 意味 学位無し 実務経験無し
Quereinsteiger 異業種からの転職者。資格や専門経験がなくても応募可能な職種 OK OK
Berufseinsteiger キャリアの入り口。インターンシップやジュニアマネージャーなどを対象にすることが多い NG OK
ohne Berufserfahrung 実務経験なし。Berufseinsteigerと似た表現。 NG OK
angelernt 訓練で習得可、見習いでもOKという意味で、未経験者にも門戸を開いている職種に使われる OK OK
※実際の求人では企業ごとに条件が異なるため、詳細は募集要項で必ず確認を

日本とドイツではビジネスの文化・習慣・範疇が異なるため、日本で培った職歴や実績が本当に活かせるかが分からないというのがその主な理由であり、これが日本人がドイツで就職する際の一つのネックになってきます。

⚠️ 海外での職歴が評価されづらい職種
  • リテール営業
  • 法人営業(国内市場向け)
  • 経理・人事
  • マーケティング
✅ 海外での職歴が評価されやすい職種
  • ITエンジニア
  • 研究開発
  • 営業(海外市場向け)
  • データサイエンティスト

ドイツの就職市場には、「完全未経験(知識なし、実績なし)」からでも仕事を受け付けているものが少なくありませんが、必ずしもこれまでの自身のキャリアや実績を活かせるものとは限りません。特に、日本の文系職で長らく実績を残してきた経験がある人であれば、いきなり異なる職種・業界にジョブチェンジするのは抵抗があることでしょう。

職種 仕事内容 必要ドイツ語 月収(例)
介護補助員 高齢者・障がい者の日常介助、記録作成 B1~B2 €2,200 – 2,700
倉庫作業員 入出庫、仕分け B1~B2 €2,100 – 2,800
ガードマン 倉庫や美術館、オフィスの警備 B1~B2 €2,500 – 2,900
清掃スタッフ オフィス・ホテル・公共施設の清掃 A2~ €2,000 – 2,400
カスタマーサポート 電話・メール・チャット対応/簡単なトラブル対応 B1~C1 €2,300 – 2,900
データ入力 伝票・請求書の入力、帳票の整理 B1~C1 €2,000 – 2,600
リテール営業 店舗・小売顧客向けの製品提案、売場フォロー、目標管理 B2~C1 €3,000 – 4,000
※募集要件・月収はあくまでモデルです

もっとも、ドイツでの職歴がなくても自身の実績を活かしたり、自身の望む職業に就く道はいくつか存在します。以下にその具体的方法を解説します。

ドイツで未経験の場合の対処法

1 インターンシップに応募する

誰もが最初は「未経験」からキャリアを始めるわけで、当然数ある求人の中には未経験OKのものもあるはずです。実際にドイツの就活市場では、職歴が無い人への救済措置として「インターンシップ(長期)」が設けられています。

このインターンシップ制度の特徴は、給与水準は最低レベルであるものの、求職者は半年~1年ほど企業において実際の業務に従事することができるため、そこで「職歴」を築くことができるのです。

🎓 インターンの特徴
  • 給与レベルは安い(1,000〜2,000€
  • 職歴を築くことができる
  • 実務に携わることができる
  • インターン終了後、正社員採用のチャンスあり

もっともインターン生として採用されるためにはCVを送って書類選考を通過し、さらに面接をパスする必要があります。ドイツ語や英語スキルが求められるほか、業種や職種によっては大学関連する専攻を修了したという証拠が必要になることもあり、場合によってはうまくいかないこともあります。

2 キャリア向けの職業訓練を受ける

その分野における大学・大学院を卒業していないからインターンシップのポジションを見つけられない・・でもなんとかお目当ての職種につきたい・・!そういった場合の更なる救済措置として「継続職業訓練(Weiterbildung)」が存在します。

通常は企業に勤めていた人間が更なるキャリアアップのため、または会社を退職した場合に再就職の期間などを利用して受講する制度ですが、自腹を払えば職業訓練を受けさせてくれるコースも存在します。

データサイエンティストやITデベロッパー、ECコマース系の職種がこの職業訓練の延長線上として人気で、中には卒業後の就職の面倒を見てくれるIT学校なども存在します。

デメリットとしては、自腹で受講する場合はかなり高額になることです(コース終了まで50万円~200万円程度)。

3 自身の経歴を活かせる会社を探す

ドイツでは「実務経験無し」と見なされてしまうような日本の職歴でも、ドイツで「経験者」として対応してもらえる求人先があります。それが「在独日系企業」です。

💡在独日系企業って何?
  • ドイツに拠点を持つ日系企業での業務
  • ドイツ・ヨーロッパへのサービス、商品の展開をおこなう
  • 日本との折衝が多く、日本での社会人経験が高く評価される
  • 対ヨーロッパ折衝が多く、語学力が要される

ドイツの日系企業は、ドイツやヨーロッパの市場で自社の製品やサービスを展開する業務を主としているものが多く、法人営業で活躍した、海外企業との折衝の経験がある、受発注やロジに精通している、といった職歴を高く評価する傾向にあります。

これに加え英語やドイツ語の語学要件さえ満たせば、日本の職歴を損なうことなくドイツに転職が可能となるわけです。

💼 日系企業の営業職(例1)
📌 業務内容
・新規顧客の開拓と営業活動の実施
・既存顧客との関係構築と維持
・製品やサービスのプレゼンテーションと説明
📋 募集要件
・大学または専門学校を卒業した方
・営業職実務経験がある方歓迎
・英語での業務経験
・運転免許必須
🧾 日系企業の営業アシスタント(例2)
📌 業務内容
・受発注管理業務、見積作成
・請求書発行及び入金確認業務
・在庫管理業務
📋 募集要件
・大学/専門卒、または社会人経験のある方
・英語必須
・受発注管理システム操作経験
・PCスキル(Word/Excel/PowerPointなど)

在独日系企業における営業職は、物流、貿易知識や現地マーケティング、ブランディングに密接に兼ね合いを持つ商社的な振る舞いを期待されることが多く、別業種や職種から在独日系メーカーの海外営業職に転職する例も少なくありません。

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