日本人のドイツ内での転職活動を難しくさせる5つの退職事由

日本でも終身雇用神話が崩れ、次第に転職がキャリア形成の一環として受け入れられるようになりました。それと同時に、転職にまつわる成功、失敗の話も、多く耳にすることでしょう。

日本よりも転職の敷居が低いここドイツでも、転職にまつわる失敗談は教訓じみたものが少なくありません。前の会社を辞めてから後悔しても時すでに遅し、場合によってはキャリア形成の最も重要な時期を無駄にし、今後の人生に重要な影響をもたらすこともあります。今回は、ドイツに住む日本人の転職を困難なものにする5つのポイントを、前職との関係をベースに解説していきます。

前職でのトラブルを引きずって退職した

効率的で人間関係を引きずらないようなイメージのあるドイツ社会ですが、実は前職の同僚や上司からの評価というものは将来のキャリアに大きな影響を及ぼし続けます(特に同一業界での転職の場合)。

ドイツでの転職活動の場合、日本とは違い各職場で発行される「Arbeitszeugnis」という、仕事の役割からパフォーマンス、ひいては仕事の態度までを網羅した社会人の通知表のようなものが応募時に必要となります。当然、場合によっては応募者の不利になることが書かれることもあり得るわけで、特にトラブルをおこしての退職、重要なミスを隠ぺいしての退職となると、辛辣な内容は避けられないでしょう。

また書面上だけではなく、次の応募先の上司や人事担当者は、前の職場の上司に対し確認の電話を入れることもあります。こうした場合でも、やはり退職時の心象が良くなければ、その後の選考に影を投げかけ続けることとなってしまいます。

現地採用女性

前職で取引先と揉め、逃げるようにして会社を退職しました。後から聞いたところによると、後任者が頑張って火消しをしてくれたようですが、後から紹介文などを書いてもらいづらい関係になってしまいました・・

フェリ

Arbeitszeugnisの発行は雇用主の義務ではあるけど、そこに雇用者に有利な情報を書く必要は一切ないからね。人事や上司も人間である以上、当然嫌な辞め方をした人に有利な紹介文を書いてくれることはないわね

転職回数が多すぎる

ジョブ型採用で知られるドイツでは、キャリアのために転職することは当たり前、ジョブ・ホッピングの文化として見なされがちですが、極端に多い転職回数は人事から警戒され、あまり望ましいものとされません。

JILPT(労働政策研究・研修機構)の発行する国際労働比較データブックによると、ドイツにおける平均の勤続年数は10.5年で、アメリカの4.2年やデンマークの7.2年など、その他の欧米諸国に比べ同一の企業で勤続する年数は多い傾向にあります。新卒後の仕事人生が30~40年近く続くことを考えても、生涯の転職回数は3~4回くらいが妥当、というのがドイツの平均的な転職事情です。

もっともドイツでも他国同様、若い年齢層になるにつれて転職回数は増える傾向にあり、StepStoneの最新の独自調査によると若年層においては、後述の通り「5年に1回」くらいの転職が適切ともされており、このドイツの「長期勤続神話」は過渡期にさしかかっているとも捉えられます。

いずれにせよ、仮に35歳前後での転職を考えるのであれば、日本からドイツに移住したということを考慮しても、過去の転職回数が2~4回くらいが適正範囲内でしょう。勿論、業界によっては平均転職回数が多いものもありますし(特に営業関係)、その他引っ越しや家庭の事情など、一般論で考えて人事を納得させられるのであれば問題なく、あくまで目安として捉えていただければと思います。

転職ペンギン

僕の知り合いのドイツ人は30代だけどすでに5回くらい転職している。転職するたびに給料も上がっているみたいだし、僕も転職しようかな

フェリ

他の人が多い転職回数で成功しているからと言って自分も成功すると考えるのは早計だわ。プロ野球のFA制度と一緒で、古巣を離れるという事は実力主義の世界に身を投じるという事。特に外資系の企業だと、パフォーマンスを残せないと簡単に切られてしまうし、今の環境に満足しているなら無理して転職する必要はないわ

前職からの転職が早すぎる

上述の転職回数と繋がる部分がありますが、前職での勤務期間が極端に短いと応募先の面接官から不審に思われてしまいます。ドイツでは新卒・既卒問わず転職した際には基本的に「試用期間」が発生し、その試用期間内は企業側も社員を判断する一方、働く側も雇用者を判断し、この退職通知の容易な試用期間内に辞めることも実際には少なくありません。

もっとも、退職理由が会社側にあるにしろ退職者側にあるにせよ、基本的には一度自分の目で見定めて就職した企業をすぐに離れるというのは、採用担当者に「こいつはうちに来てもすぐ辞めるんじゃないか」という疑念を抱かせることになるわけで、避けられるのであれば避けたほうが良いでしょう。

日本でも「新卒で入った会社には最低でも3年はいたほうが良い」という伝統的な考え方があるように、ドイツでも一つの会社で最低でも3年程度は勤続したほうが目安とされています。理由として、最初の3年間は新しい環境への慣れ、知識の研鑽過程にあり、自身のパフォーマンスがフルに発揮されるのは転職から3~5年目。逆に5年を過ぎると今度は新しく学べることも少なくなるとされており、転職するのであれば遅くとも7年目くらいまでに決断すべき、とも言われています。

転職活動の開始時期を見誤っての退職

年齢によりますが、一般的にドイツでの求職活動は25歳~44歳の就職適齢期にあっても平均で3~4ヶ月かかると言われており、コロナ禍にあってはこの求職平均期間は5ヶ月程度に間延びしました(参照:Arbeit&Wirtschaft)。

前職に在職中からすでに転職先を探し始めるか、前職に退職の通知をしてから転職先を探し始めるかは人によりけりですが、完全に会社を辞めてしまってから転職活動を始めるというのは、そこから4ヶ月程度仕事が見つからない可能性もあり、かなりリスクが高いと言わざるを得ないでしょう。失業手当は自身の都合で辞めた場合最初の3ヶ月は支給されませんし、日本人の場合ビザの問題も発生します。

当然、自身の業界や年齢によって転職に要する期間は変動しますが、基本的には3~4ヶ月程度かかるであろう事態を想定し、早め早めに行動することが吉でしょう。

転職ペンギン

前職で仕事づくしで疲れたので、退職後は少し南の島で羽を伸ばそうかと思ったんだけど・・

フェリ

人生のモラトリウムを楽しむのなら、先に転職先を見つけてからにすることをお勧めするわ。EU経済の優等生であるドイツでも、最近は就職困難者が増加していて、特に外国人の日本人は仕事を見つけるのにコツが必要ね

ニッチな職種・業界からの転職

人に仕事を当てはめる日本のジェネラリスト型採用と対極をなすように、ドイツでは仕事に人を当てはめるジョブ型採用が一般的です。要するに、転職者は前職の知識を引き継いで次のキャリアに臨むわけで、転職前と転職先の職種や業界は互換性が発揮できるように、同じであることが望ましいとされます。

職種でいえば「営業」「マーケティング」「物流」「製品管理」「エンジニア」などが一般的ですが、例えば営業という職種で考えても、メーカーの営業なのか、金融の営業なのか、B to Cの営業なのか、メーカーの中でも薬品、化学製品、車、など無数の製品カテゴリがあり、基本的に前職の職種・業界と近しい分野での転職が行われやすいでしょう。

Aさん

包装メーカー専門×営業10年のスペシャリストです

Bさん

自動車メーカー向け計測器×エンジニア7年のスペシャリストです

その意味では、前職の職種・業界が特殊であり、他に競合がいないような寡占マーケットとなると他に活かせる会社が少ないため、一般的に転職のハードルは高くなります。特に日本人のドイツでの転職となると、「日本語が活かせる」といった条件がつきやすくなるため、おのずと市場に出回る転職案件は限られてきてしまいます。

転職ペンギン

ドイツの仕事募集を見ていても、特定の業界5年以上経験者などが多く記載されていて、前職の仕事内容と似ているか、一致するレベルじゃないと要件を満たせなさそう・・

フェリ

前職がニッチな業種であるということは、裏を返せば人材市場に出回っていない貴重な人材という言い方もできるわね。専門業種のドイツ転職であれば当社にお任せください!ドイツで20年の経験を持つエージェントとして、スキルを活かせる場所をお探しいたします

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R S
Senior Consultant

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