日本市場におけるの転職成功者の平均年齢は年々高くなっており、DODA社による2021年の調査では男女合わせて31.7歳が平均転職年齢となりました。また、31.7歳以上による転職市場の動きも活発で、実際に2021年の転職市場のうち全体の27.1%は35歳以上によって占められています。
では国外転職に目を向けると、この転職と年齢の関係はどのようなものになるのでしょうか。今回の記事では「日本人がドイツ転職する際の適正年齢」というテーマに焦点を絞って解説を行いたいと思います。

終身雇用神話が崩れ始め、年齢を問わず転職に身を乗り出す人も増えているね

10年前は転職者の平均年齢は30歳を下回っていたけれども、年々転職者の平均年齢は高くなっている傾向にあるわね。ドイツ転職では年齢事情はどうなのか、詳しく解説していきましょう
ドイツ就職年齢事情
日本人のドイツ転職事情に目を向ける前に、ドイツ国内での就職年齢事情を見てみましょう。ドイツでは大学卒業に費やされる期間が他の国より長く平均して6年近く(大学院進学人口が多いことが影響している)、新卒市場に初めて身を置く際の平均年齢は27歳~28歳となっています。
また日本と異なり、一度社会に出てから再度大学や大学院に入り直す層も少なくなく、統計的には30歳を超えて大学卒業する者の割合が全体の2割となっています(Konstanz大学調べ)。
平均大学卒業年齢である27歳から7年程度がキャリア形成で一番重要な時期であると同時に、一般的にドイツで「転職適齢期」とうたわれる期間でもあります。もっとも、具体的にどの年齢層が転職適齢期かは業界によって異なり、アパレルやITなど、若年層の知識や流行が必要な業界は概して「若手」を求める傾向にあります。
ドイツの人事部は年齢を理由に転職を拒否することはありませんが、暗黙のフィルターとして年齢を足切り要件に加えていることが多く、概して35歳を超えると転職市場では黄色信号が灯り始めるような形です。
ただし一方で、35歳を超えると転職のチャンスが無くなるのかというとそういうわけでもありません。大手人事コンサル会社のMichael Page社によると、事実50歳を超えるような年になってからでも34%は転職に意欲的であり、時代の流れとともに定説とされていた「45歳を超えると転職は不可能」といった条件が変化しつつあります。

ドイツは年齢条件などあまり気にしないように思えたけど、意外にもあるんだね

ドイツの例ではないけれど、マイクロソフトなんかは当初「30歳以上のエンジニアは雇わない」と言っていたわね。概して、35歳の縛りは「CVが真っ白な状況で取り返しのつく」あるいは「経験のない分野に転職をする」最後のボーダーラインと言っても過言ではないかも。
日本人のドイツ転職の適年齢とは?
日本人がドイツ市場への転職を考えるときは、基本的に「異業種への転職」、あるいは「新卒者」としての扱いで考えるとイメージがしやすいでしょう。ドイツ企業は過去のドイツでの就業経験がない以上、これからドイツでどの程度活躍できるかが未知数なため、たとえ母国で10年近いキャリアがあったとしても、外国人応募者は「新卒」扱いすることがほとんどです。
先ほどの「ドイツ人の大卒平均年齢+7歳」である27歳~34歳がドイツで最も転職市場が沸騰する世代であり、新卒扱いを受ける日本人応募者もこのテーブルに則り、基本的には「27~34歳」あたりが一番ドイツへの転職で有利な年齢層と言えます。
事実、Career Management社の2020年の調べでは、日本からドイツに転職した転職成功者の平均年齢は30.7歳という結果が出ており、大卒後に日本で7年前後働いてからドイツに転職する、というパターンが大多数を占めます。

この年齢ファクターに加え、語学力と過去の職歴が基本的にはドイツ転職に際してのベンチマークとなります。ドイツ市場では伸びしろよりも過去の経験、スキル、実績などが重要視される傾向にあるため、あまり若すぎても受け皿となる会社が現れません。

ドイツへの転職平均年齢30.7歳ということは、日本市場での転職平均年齢より若干若いんだね

30歳を超えると、応募者自身の技能や動機だけじゃなくて、家庭やプライベートのことも無視できなくなるからね、海外移住という冒険を考えるにはこの辺の年齢層が一つのボーダーラインなのかも。日本人それぞれの年齢別のドイツ転職事情に関しては、以下に詳細をまとめました
20代後半~30代前半でのドイツ転職
26歳~35歳までのドイツへの転職層は全体の82%を占めており、先ほどの定説通りドイツの転職市場の盛りである「27歳+7歳」のレンジに一致します。応募者のペルソナとしては、日本で数年のキャリアを磨いた者が多く、全体の半数程度が「過去に海外に長期滞在した」経験や「ビジネスレベルの英語力」を持ちます。
この20代後半~35代後半の、英語力に秀でた日本人候補者は、特にドイツに拠点を置く日系企業で最も需要がある年齢で、駐在員に代わり現地の企業などとの折衝事、営業、セールスエンジニアなど現場に近い業務を任されます。
フットワークの軽さに加え、年齢的にも現地文化を吸収しやすい立場にいることから、日本人駐在員や本社と現地のドイツ人スタッフの橋渡し役になることが多く、現地採用のまま定年退職まで同じ会社に残るようなケースも少なくありません。
- 英語力が求められるが、ドイツ語は必ずしも必須要件ではない
- 国際的なコミュニケーション力を求められる
- 職種によっては欧州各国への出張が多い
- マネジメントよりも実務寄り
- マネジメントの経験はあれば重宝されるが、マストではない
- 給与水準はドイツの新卒テーブルに合わせられることが多い

日本の転職市場、この年齢層が一番働き盛りで、企業側からの需要も多いんだね

仕事はもちろん、プライベートでも若ければそれだけ現地文化に溶け込める余地があるからね。現地の日本人求人案件にしてはこちらを参照してね
30代後半以降でのドイツ転職
ドイツを含む欧州での就業経験が一切ないまま30代後半以降でドイツに転職するようなケースは、全体を見渡してもかなりの少数派となります。この年齢層のドイツ転職で、人気の職種となるのは、在独日系企業のマネジメント職で、秀でた英語力に加え、特に海外支店のマネジメントの経験があれば高く評価されます。
一般的に、海外法人でのマネジメント職は本社から送られた出向社員が担うことがほとんどですが、規模や業態によっては現地のマーケットを知悉した現地採用者を採用するケースも見かけられます。年齢、スキルを考えると30歳前半までの給与テーブルよりも上乗せする必要が出てくるため、採用側の姿勢も慎重になりがちです。
- 英語力が求められるが、ドイツ語は必ずしも必須要件ではない
- 国際的なコミュニケーション力を求められる
- 実務よりもマネジメント寄り
- マネジメントの経験は高確率で必要となる
- 給与水準はドイツのマネジメント層に合わせられ、若干高めになる