ヨーロッパの国の中で在留日本人の数トップ1とトップ2を誇るイギリスとドイツ・・留学、結婚、現地就職、駐在など、様々な目的で日本人が生活を営んでいます。

さて、このヨーロッパでの日本人移住人気の高い二国を比較した時、日本人にとって移住しやすい国はどちらでしょうか?

地理的、経済的、仕事環境・・・様々な要因からこのヨーロッパの二大経済大国を比較していきたいと思います。

この記事のターゲット
・ヨーロッパへの移住を検討している人
・イギリスとドイツの生活環境を比較したい人

ドイツとイギリスの違い(地理)

 ドイツイギリス
人口8300万人6700万人
経済規模(GDP)4.082兆USD3.089兆USD
国の大きさ35.7万km224.3万km2
通貨ユーロポンド
言語ドイツ語英語
地域共同体等EU、ユーロ通貨圏、シェンゲンアイルランド・イギリス間での共通旅行区域

ドイツ、イギリス、ともに海外移住(留学、就職)を志す日本人にとって人気の国で、世界でも有数の経済大国の2国です。経済規模、国土の規模、人口など全体的に少しドイツのほうがイギリスよりも大きいと言えます。

イギリスは島国であるため、アイルランド以外の国との国境を接していませんが、ドイツは内陸国でありフランス、ベルギー、オランダ、デンマーク、ポーランド、チェコ、オーストリア、スイスなどの国と陸の国境が面しており、電車や車での越境が可能です。

イギリスは2020年にEU離脱を実行したため、通貨、労働、関税などの点からEU諸国とは切り離された状態にあり、イギリス⇔EU諸国間でのモノやヒトの移動は、ドイツ⇔EU諸国間の移動に比べ難易度が高い状況です(アイルランド⇔イギリスを除く)。

ドイツはEU、かつユーロ通貨圏で、国境コントロールなく往来可能なシェンゲン協定にも加盟しており、例としてはドイツ⇔フランスの移動時には国境でのコントロールもなく、通貨の両替も不要です。

ドイツとイギリスの違い(経済指標)

 ドイツイギリス
一人当たりGDP54.290 USD51.007 USD
失業率4.4%3.4%
労働時間(年)1347時間1531時間
生活物価指数62.2261.95

さて、住みやすさに直結する経済指標に着目してみましょう。ドイツは自動車や機械、化学やそれらの原材料の製造を得意とするモノづくり国家で、2023年には2250億USD(約33兆円)という貿易黒字を計上しました(※日本は5兆円の赤字)。

集中と選択を武器に、効率的、かつ生産的なモノづくりを得意とし、労働生産性(1時間にいくらの付加価値を提供できるか)の指標では世界トップクラスを誇ります。残業や休日出勤などを好まず、仕事は業務時間に終えることが社会人の義務だという社会的傾向から、年間の労働時間は少なく、ワークライフバランスも非常に高い順位をつけています。

1人当たりGDPや労働生産性で比較するとドイツに一歩ひけをとるものの、製造業や金融、IT分野で高い水準を誇るイギリスも負けてはいません。一人当たりGDP51.007USDは世界の中でもトップクラスの水準、失業率3.4%もEU平均を大きく下回る優秀な数値です。

ドイツとイギリスの違い(日本との繋がり・就職のしやすさ)

 ドイツイギリス
日本との貿易額(輸出)1兆8,752億円1兆1,453億円
日本との貿易額(輸入)2兆2,763億円6,851億円
日本人の数42,000人65,000人
日本に住んでいる自国民の数約6,000人約16,000人
日系企業の数約2,000社約1,000社
日本語学習者の数12,000人15,000人

最後に、両国に滞在している日本人の数、並びに様々な側面からの日本との関係性を見ていきましょう。

ドイツ、イギリスに住む日本人の数はそれぞれ42,000、65,000人とヨーロッパの中ではトップ2で、その背景にはそれぞれの国に進出している日系企業数が影響を及ぼしています。特にイギリスがEUを脱退してからはドイツへの日系企業の集中化が進み、ドイツ一国で2,000社もの日系企業が進出し、駐在員、現地採用、その家族などの受け皿として機能しています。

こうした日本とのつながりの深いドイツにあっては、日本人の現地採用も活発で、ドイツを中心にEU市場を開拓、あるいは現地のビジネスを発展させるためのグローバル人材を多く求める傾向にあります。

英語や異文化コミュニケーションが得意という方は、新たなキャリアの道筋としてドイツでの転職を考えてみるのはいかがでしょうか?