【ドイツ配偶者ビザ】申請方法から取得完了までの全プロセスを紹介

パートナーがドイツで仕事をすることになった、留学することになった、研究員として学術機関に招かれた…などなど、様々な理由でドイツへの移住が決まったとき、生活を共にしている家族も一緒に滞在できるのかというのは大きな課題です。

一般に「配偶者ビザ」と呼ばれるビザを申請しようとする場合には、以下のようなケースがあるでしょう。

  1. 日本企業の駐在員として渡独する家族に同行する(日本→ドイツ)
  2. 個人でドイツで滞在する家族に同行する(日本→ドイツ)
  3. すでにドイツに滞在している日本人パートナーと家族になる(日本あるいはドイツ→ドイツ)

ドイツには、就労、研究、就学、研修、技術専門職など、滞在許可証の種類が細かく規定されています(参考:Visa-Navigator)。パートナーのビザに依らず、自身で就学し学生ビザを取得する、あるいは就労先を見つけて就労ビザを申請する場合もあるでしょう。

しかし今回は、「企業や学校に在籍していない家族」が、パートナー(妻あるいは夫、EU市民以外を想定)に付随する「配偶者ビザ」を申請する場合に焦点を絞り、さらに、上記 1. の場合は除いて、自身で滞在許可申請を行なうことになる2.、3.の場合のプロセスと心に留めておくとよいポイントを紹介します。

配偶者ビザとは

ドイツ語で滞在許可はAufenthaltstitelと呼ばれます。有効な日本国パスポート所有者は、観光ビザでドイツに入国後90日間は滞在できますが、その期間を超えて滞在する場合には、どのような場合であってもこの”Aufenthaltstitel”が必要となります。

ここでは、家族であるパートナー(妻あるいは夫)を主なビザ取得者とし、それに付随して発行される家族の滞在許可のことを「配偶者ビザ」と呼ぶことにします。

具体的な申請手続きについて、5つのステップ

1. ドイツへ渡航(この時点では観光ビザで入国可能です)

2. 住居の賃貸契約を交わし、入居確認書(Wohnungsgeberbestätigung)を入手する

3. 居住地を管轄する住民登録局(Einwohnermeldeamt)へ行き、住民登録を行なう

4. 医療保険(Krankenversicherung)を申し込む

5. 外国人局(Ausländerbehörde)にて滞在許可(ビザ)を申請する

 

この流れは、ドイツ移住の主な理由となるパートナーがビザを申請するときも同様です。配偶者は、パートナーと同時にドイツへ行く、後から渡航し合流する、どちらの場合も考えられますが、いずれにせよパートナーの

  1. ドイツでの住民登録
  2. 医療保険への加入
  3. 収入の証明

が過不足なく揃っていることが、パートナー及び配偶者双方のビザ申請で必須となります。

住居を定めずに渡航した場合は、まずは家探しからスタートすることになります。住民登録には、アパートの貸主または管理会社から発行された入居確認書​​​​​​が必要です。とにかくドイツでの住居が定まっていることが、ビザ申請の第一歩なのです。

配偶者ビザ申請に必要な書類

申請の流れをおさえたところで、次に必要なのは書類です。

日本のドイツ大使館・総領事館のサイトには、以下の通り指定があります。(参考:新たにドイツに渡航する者に同行する家族

必要書類の一覧

1. 滞在許可申請書(所定の申込書)
2. 住民登録証明書
3. パスポート
4. 申請用の写真(縦45mm×横35mm、正面撮影)
5. 結婚証明書
6. パートナーの収入を証明するもの
7. 医療保険に加入していることを証明するもの

日本で用意できるもの

3. パスポート
何においても大前提は、有効なパスポートを保持していることです。残存期間の確認は必須。残りが1年を切っている場合は、新しく切り替えてから渡航するほうが賢明です。

4. 申請用の写真
日本でパスポート申請に使用する写真と同じサイズ(縦45mm×横35mm)なので、日本での準備が可能です。

ドイツで用意するもの

1. 滞在許可申請書
ドイツでの居住地を管轄する外国人局ごとに書式が異なります。オンラインでも入手できますが、現地で確認して入手するほうが確実でしょう。

2. 住民登録証明書
配偶者ビザの申請においても、最初のステップは住民登録。居住地を管轄する住民登録局へ出向いて行います。登録に必要な書類は、該当する申請書、パスポート、記名のある入居確認書、パートナーのビザ、そしてパートナーがビザ取得のために提出した書類一式があると安心です。登録手続きには事前に予約を取る必要がありますので、入国後、まずは速やかに予約を確保しましょう。なお、登録には€100ほどかかります。

6. パートナーの収入証明
ドイツでの雇用契約書など、給与条件が明記されている必要があります。

7. 医療保険への加入証明
パートナーの医療保険に付帯して加入することが可能。配偶者の適用申し込みを行ないましょう。住民登録の時点では保険証が手元に届いていなくても、申込み済みという事実(申請した書類)で条件は満たされます。しかし、その後のビザ申請時には、保険機関からの加入を確約した手紙あるいは保険証が手元にあるほうが確実です。

さて、残るは「5.結婚証明書」。必要書類のなかで、最も準備に手間取る可能性があり、次の項目で詳しく解説します。

結婚証明書とは

ドイツ大使館/総領事館のwebサイトにおいて、新たにドイツに渡航する者に同行する家族のページでは、結婚証明書について「日本の戸籍謄本に日本国外務省のアポスティーユ(アポスティル/Appostille)が付された後 、認証翻訳されたもの」とあります。

ドイツでは婚姻証明書(Heiratsurkunde)と呼ばれる書類がありますが、日本では正確に該当する書面はありません。日本では婚姻届を提出すると、夫妻それぞれが育った家族の戸籍から離れ、夫と妻の2人で新たな戸籍が作られます。同一の戸籍に2人の氏名が記載されていることが、公的な結婚証明と言えるでしょう。そのため、この戸籍謄本にアポスティーユ(外務省の公的確認のこと。提出先国の総領事認証と同等の効力を持つ)をつけたものが、「結婚証明書」となるのです。

アポスティーユについては、東京あるいは大阪の外務省分室に郵送で申請できます(※現在はコロナ対応のため郵送での申請が推奨されています)。戸籍謄本(原則として発行より3ヶ月以内)、申請書、返信用封筒を同封して送付するだけです。送付先など詳しくはこちら。アポスティーユ – ドイツ外務省

では、「認証翻訳」とは何か。日本の戸籍謄本はもちろん日本語ですから、ドイツ現地での手続きでは理解されません。あらかじめドイツ語に翻訳しておく必要があるのですが、その実務を遂行できる翻訳者が公的に定められています。その翻訳者が翻訳したものでないと認めません、ということです。担当できる翻訳者の一覧はこちら。認証翻訳 – ドイツ外務省

以上のように、

①戸籍謄本を取り寄せる
②外務省のアポスティーユをつける
③ドイツ語の翻訳をつける

この3ステップで、ようやく配偶者ビザ申請に必要な「5. 結婚証明書」が用意できるのです。

夫婦ともにドイツにいる場合は?

日本に暮らしていてドイツ行きが決まった(日本→ドイツ)となれば、結婚証明書を日本で準備することが可能ですが、すでにドイツで生活している日本人同士の場合(ドイツ→ドイツ)はどうでしょうか。

ドイツで行う結婚の手続きについては、ここでは詳細に言及しませんが、結婚ののち既存のビザから、配偶者ビザへの切替の手続きをとることになるでしょう。

まず婚姻届は、日本大使館あるいは総領事館に直接出向いて届けます。その後、日本で新しい戸籍が作成されるまでには4~6週間ほどかかります。2人の氏名が記載された新しい戸籍謄本の取り寄せ、アポスティーユの申請は、日本にいる親族など代理人でも可能です。しかし、委任状を作成する必要があるのと、やはり遠隔でのやりとりに時間がかかることは想定しておいたほうが良いでしょう(参考:申請手続きガイド 3 申請方法・必要書類|外務省)。

そして、最後のステップとなる認証翻訳は、日本で翻訳してからドイツに戸籍謄本を送付してもらうか、送付後にドイツ居住の公認翻訳士に翻訳を依頼するか、どちらでも可能です。

詳しくは、在ドイツ日本大使館のサイトを参照してください(参考:領事情報 | 在ドイツ日本国大使館)。

いざ、外国人局へ

さて、上記の書類がすべて用意できたら、やっと外国人局へ出向いて申請です。こちらも事前予約が必要ですので、書類が揃う目処がたったらすぐに予約をとるほうがいいでしょう。

不足書類があれば再度赴くことになってしまうので、念入りな準備が肝要。外国人局では書類をすべて手渡して、あとは待つだけです。申請書類に問題がなければ、このタイミングで6ヵ月(目安)ほどの有効期間の仮のビザが発行されます。その後、外国人局からPIN番号IDが記載された手紙が届きます。

ついに配偶者ビザの取得

PIN番号が記載された手紙が届いたら、「あなたのビザの用意ができましたよ」ということ。改めて外国人局の予約をとってください。そうして外国人局に出向くと、正式な配偶者ビザを受領できます。申請時に短期間の仮のビザが発行されるとはいえ、入国から観光ビザの期限である90日以内に完了することを目指して、この一連の手続を行う必要があるのです。

ワンポイントアドバイス

以上、申請の流れと書類を見てきました。初めての、そして外国での行政手続き。留意点などはあるのでしょうか。

1)入国時に持っておくと良いもの

観光旅行やビジネスなどで外国に入国するとき、滞在期間の確認とともに、日本へ帰るフライトのチケットを確認されることがあります。しかし、移住でドイツに入国する場合は、日本に戻るチケットは手元にないことが多いのでは。入国審査では、パートナーがドイツで仕事をしており、自身もドイツに居住することを伝える必要があります。入国審査官がどこまでチェックするかは担当者次第ですが、パートナーのビザのコピー、あるいはまだ発行されていない場合は、パートナーのパスポート、住民登録証明書、雇用契約書、医療保険加入証明書など、渡航理由の証明とビザ申請中であることを証左するためにも、全てコピーを手元に用意しておいたほうが安心です。

2)入居確認書への氏名の記載

先述のとおり、住民登録に必要な入居確認書には、もちろん配偶者名の記載があることが求められます。パートナーが先に渡航し配偶者はあとからドイツへ向かう場合でも、パートナーが入居する際に、2人の名が併記された確認書をもらっておくことをお勧めします。

3)医療保険の加入申し込み

パートナーが加入している保険への加入申し込みは、郵送で可能です。あとからドイツに合流する予定でまだ日本にいるとしても、パートナーとメールでのやりとりなどで申請用紙に記入して、前もって申し込みをしておくことも一案。ビザ申請までの時間のロスを防ぐために、できることは早めにやってしまいましょう。

4)パスポートの残り期間

当然ですが、日本国パスポートの有効期限を超えてのビザは発行されません。パスポートの切替え申請ができるのは有効期限が1年未満になってからですが、海外への長期滞在などの理由による場合は、1年以上の残り期間があっても申請が可能です。ドイツで取得する配偶者ビザの有効期間は、もちろんパートナーが保持するビザの期間に従います。同等の期間を付与されるよう、パスポートの残り期間の確認を忘れずに。

Chihiro Takahata
Career Consultant

上智大学卒。Düsseldorf担当。ドイツの就職に役立つ本ブログの筆者。

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