経済大国ドイツ、幸福度ナンバーワンの国フィンランド、芸術の国フランス・・ヨーロッパには魅力的な国が多く、移住を望む日本人も少なくありません。

ドイツで25年以上人材紹介会社を営んでいる当社の目線から、ヨーロッパ移住の具体的な方法とおススメの国を紹介していきます!

ヨーロッパ移住ってどれくらい難しい?

2024年時点で日本国外に滞在している邦人数は約130万人と言われており、そのうち半数近い60万人が、日本への帰国を前提としない「永住者」にカウントされています。

地域 長期滞在者数 永住者数
アジア 300,521 47,454
大洋州 50,098 79,123
北米 207,840 282,841
中米 8,585 3,995
南米 7,567 62,777
西欧 116,195 99,437
東欧・旧ソ連 8,315 1,854
中東 7,953 2,024
アフリカ 5,612 879

(出典:外務省統計2024

ヨーロッパ(西欧+東欧)の邦人永住者数は10万人程度であり、日本の人口比にしてわずか0.1%という非常に限られた割合であることが特徴的です。ざっと周りを見渡して1000人のうち1人がヨーロッパに移住できる計算になりますね。

北米や豪州は比較的「移住しやすい」とされるのに比べて、ヨーロッパには移住しづらいと言われるにはいくつか理由があります。

第一に、仕事の見つけづらさが挙げられます。移住とは、その国で収入を得ながら自活する場合が多いので、日本企業が多く進出していたり、日本との貿易量の多い北米やアジア諸国でのほうが就職チャンスが多いと言えます。

第二に、言語の壁が挙げられます。イギリスやアイルランドといった英語が標準語となっている例外を除いて、ヨーロッパ諸国は各々の言語を持っており、就職・生活・医療などさまざまな面で現地語の習得が要される場面が多いことも、移住のハードルを高くしている要因となっています。

第三に、日本人向けインフラの充実度です。上海やアメリカの大都市では日系コミュニティが充実していて日本語でサービスを享受できる施設も多いですが、ヨーロッパであればロンドンやデュッセルドルフといった一部の都市を除くと、こうした恩恵が受けられる都市が少ないと言えます。

北米 西欧 東欧
仕事のチャンス
移民の受け入れ
英語 標準語 通じる 通じにくい
現地語 やや重要 非常に重要

ヨーロッパ移住の方法

ヨーロッパ移住のための一番シンプルな手段は「現地で就職して就労ビザを確保する」ことです(※不動産の取得、配偶者ビザや、フリーランサーとしてのビザもありますが、ここでは割愛)。

ワーキングホリデービザや就学ビザでの滞在はあくまで一時的なものですが、現地で就労して一定の条件を満たせば現地における「永住権」を取得することも可能になり、より長期的に移住できることとなります。

EU諸国における永住権の申請条件は、原則として「5年間の労働と納税」です(※一部の国に短縮条件や加算条件アリ)。

例えばドイツで一般的な(ブルーカード等を除く)プロセスでの永住権取得を見てみましょう。日本からドイツに移住してまず大前提となるのが「就職」です。ある現地企業と雇用関係を結ぶことができた段階で、双方による署名が完了した雇用契約書とその他の必要書類をもって「就労ビザ」を申請することができます。ただし最初の2-3年は、就労許可が申請時に雇用契約を結んでいる企業に紐づいているため、自由な転職や移住を想定したものではありません(雇用主の切替え手続きによって転職は通常可能)。

ドイツにおける5年間の労働と納税を完了した段階で、ドイツの永住権並びにEU永住権の申請が可能になります。これが、一番シンプルな形でのヨーロッパへの永住と言えるでしょう。

項目 通常の就労ビザ
(期間限定の滞在許可)
ドイツ永住権
(Niederlassungserlaubnis)
EU永住権
(Daueraufenthalt – EU)
対象範囲 ドイツ国内のみ有効 ドイツ国内のみ有効 EU加盟国への移動・移住が柔軟に(※別途許可は必要)
有効期間 一時的(1〜4年など/更新可) 無期限(ただし失効条件あり) 無期限(EU全体での長期滞在権を保持)
更新の必要 あり(契約や条件に応じて更新) 不要(条件満たせば無期限) 不要(他国での滞在に対応しやすい)
取得に必要な期間 – 就労先あり次第すぐ申請可 原則:5年の合法滞在+社会保険(年金)支払い60ヶ月 原則:5年の合法滞在+経済的自立+語学+安定した住居
語学要件 原則なし(職種による) B1以上(統合講座修了など) B1以上または統合講座修了
就労の自由度 就労先・職種に制限あり 自由に就労可能 同左(他国への移動時も有利)
再入国の猶予期間 最大6か月(国外滞在で失効することも) 最大6か月(例外あり) EU加盟国外での滞在も12か月までは保持されることあり
他国への移動 不可(ドイツ国内のみ) 不可(あくまでドイツ限定) 他のEU国へ移住・就労申請が簡易化・優遇される(移動の柔軟性)
滞在の安定性 契約終了やビザ条件変更で失効の可能性あり 極めて安定(犯罪などなければ取り消しにくい) 同左(EU域内での権利保障もある)

もっとも、永住権といってもいくつか注意点があり、例えば当該国を離れて半年以上すると失効する(なので住民票を保持し続ける必要がある)、EU永住権といえどもEUの国で自由に転職できるわけではない、といった点が挙げられます。

ただ、あくまで永住権を取得すれば就労、移動の自由度が圧倒的に高まるため、転職、独立、国を超えての転職活動といった点で有利になることから、いわゆる「永住権」と呼ばれています。

ヨーロッパ移住のおススメ国

このように、移住は就職活動、すなわち就労ビザを得られるかどうかに大きく依存することから、特に最初の就職先となるヨーロッパの国は「日本との繋がりが深い国」である方が有利となります。特に、日本法人数の多いドイツやイギリスは日本とのビジネス上の取引が多いため、日本人であることのアドバンテージが活かしやすいと言えます。

国名 現地の日系企業数
(2022)
平均給与
(USD, 2022)
生活費指数
(2023)
年間労働時間
(Hour, 2022)
日本 41,509 50 1,607
ドイツ 1,918 58,940 62 1,341
イギリス 955 53,985 63 1,532
フランス 794 52,764 66 1,511
オランダ 692 63,225 64 1,427
スペイン 423 42,859 48 1,644
ベルギー 232 64,848 63 1,526
イタリア 400 44,893 58 1,694
オーストリア 114 63,802 66 1,444
スウェーデン 167 50,407 62 1,440
スイス 169 72,993 112 1,529

具体的には、欧州圏内で最大の日系コミュニティを持ち就職先の受け皿の多いドイツやイギリス、フランス、オランダ等がおススメの国として挙げられます。

特にドイツはワークライフバランスに優れた国としても有名で、年間労働時間の割に個人所得が高い国としても知られています。「日本で2年以上の職歴がある」「英語でのビジネス会話ができる」といった条件を持つ求職者の場合、就職先を見つけることのできる可能性が高まります。

もしヨーロッパ移住を目指される場合、第一歩としてドイツへの就職はどうでしょうか?

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