夢だったドイツでの就職。その甲斐あってドイツ企業で働いているが、
そんなケースに陥っていませんか?
会社に貢献しづらい部署に勤めている
ドイツの評価基準はシンプルで、結果主義です。そのため、基本的には営業であれば売り上げを上げた人間、購買であれば安く正確に調達できた人間、などが重宝される傾向にあります。
また政治的な問題などから自分の担当する業務の貢献度が少ない場合等、その割を食う可能性も出てくると言えます。例えば2022年以降では、ロシアや東欧との取引を担当していた多くのドイツ人が会社を辞めたり、担当区域を変更しました。
日本人の場合、ドイツの企業では日本やアジアの市場を担当することが多いですが、円安や輸送リスク、特殊な貿易障壁の問題でその他の区域の担当者よりも売り上げ貢献が少ないことがあります。そうした場合、自身の能力としては申し分ないにも関わらず、他の従業員と比べて賃金が少ないという傾向が出てきます。
特に営業としては、ドイツにとって花形は北米・北欧などの市場です。こうした市場にアサインされるには、ライバルの多いドイツ企業よりも、在独の日系企業への転職を目指したほうが良いかもしれません。
昇進の可能性が低い企業にいる
ドイツでの賃金に影響を与えるファクターの一つが「部下の有無」です。管理職とそれ以外との賃金を比較すると、その平均に10,000EUR(約160万円)近い差があります。
部下を持つ役職に就けるかどうかの試金石は、その業界・職種における勤続年数や仕事上のパフォーマンスもそうですが、会社規模や会社のスタイルも影響します。例えば、小さい部署で常に自分の上に課長が居る場合、その課長が転職したり部署が大きくなったりしない限り、中々昇進のチャンスが訪れません。
ドイツ人の中でも管理職になれる割合は半分以下と言われており、環境次第では自分のスキルを活かせない部署でキャリアを終えてしまう可能性も多くあります。
業種の壁
どこの国でも事情は同じで、成長産業であれば給与水準は高く、それ以外の産業であれば給料は低い傾向にあります。ドイツのサラリーマンの平均賃金は2025年現在で約52,300EURですが、いわゆる「稼げる」とされていると職種とそれ以外では年収ベースで30,000EUR(約500万円)近い開きがあります。
自身の能力というよりも、勤めている業界そのものによって賃金体系が垂直化してしまう現象は日本と同じと言えるでしょう。
ドイツはジョブ型の就職市場のため、一度入ってしまった業界から転職することは簡単ではありません。一方で、ドイツの日系企業のような外資企業であれば、特定の職種というよりも「ドイツ人やヨーロッパ人を相手に対等に交渉できる人材」を求めている可能性が高く、そういった意味では業界・職種の変更がしやすいと言えるでしょう。
仕事している地域
約半世紀にわたって東西に分断されていたドイツ。冷戦終結からすでに40年近くたっていますが、いまだに「東西格差」と呼ばれるものが残っています。
地域 | 平均年収 (€) |
---|---|
西ドイツ | 46,900 |
東ドイツ | 39,250 |
西ドイツと東ドイツとでは、年収ベースで約100万円近い開きが生じており、特にフランクフルト、ミュンヘン、ハンブルグといった大都市圏の賃金の高さは欧州指折りです。
ドイツに移住したばかりの頃は、場所を選ばず就職をしたものの、数年働いてみて中々給料が上がりづらいことに気づいた、という人も少なくないことでしょう。
西ドイツ | 東ドイツ |
---|---|
Schleswig-Holstein(43,750 €) | Mecklenburg-Vorpommern(39,500 €) |
Hamburg(52,000 €) | Brandenburg(41,000 €) |
Bremen(47,750 €) | Berlin(48,250 €) |
Niedersachsen(44,750 €) | Sachsen-Anhalt(39,750 €) |
Nordrhein-Westfalen(47,250 €) | Sachsen(40,750 €) |
Rheinland-Pfalz(45,250 €) | Thüringen(40,250 €) |
Saarland(44,500 €) | – |
Baden-Württemberg(50,250 €) | – |
Hessen(50,250 €) | – |
Bayern(50,000 €) | – |
西ドイツ全体(46,900 €) | 東ドイツ全体(39,250 €) |
こちらも、自身の能力のせいでというよりは働く環境に起因するもの・・心機一転して大都市に転職してみるのも一つの手かもしれません。
自身のバックグラウンドを活かせていない
日本人にありがちなドイツでの賃金の上がりづらさの原因に、自身の得意とする経歴を活かしきれていないことが挙げられます。特に文系職の場合、日本で何年も培った経験がドイツに来てからリセットされてしまった、という経験を持つ人は少なくないでしょう。
ドイツの給与体系はその職種における勤続年数で定められることが多いですが、文化が根本的に異なる日本からドイツへの転職の場合、日本での勤続年数が明確なキャリアと認められず、給与テーブルがまた一から(初任給テーブル)からスタートしてしまうことがあるのです。
ドイツに拠点を持つ日系企業などの場合、欲している人材は「ドイツ・ヨーロッパ支社という出先機関で活躍できる人材」であり、本社との連携の必要性などからむしろ日本での職歴がプラスに生きてくることがあります。
特に英語(できればドイツ語も)が堪能でドイツ歴が長い場合、即戦力として良い条件での転職の可能性が上がると言えます。あなたを欲している企業とお話だけしてみるのも良いスパイスになるかもしれません!