海外就職のボリュームゾーンは20代~30代前後と言われています。海外移住に興味のある人を対象に発行されるワーキングホリデービザも、基本的には30歳を上限に設定されています(40代以上で初めて海外就職する人の割合は全体の7.2% ※当社調べ)。
もっともこれは、スキルや体力的に厳しいというよりも、配偶者や家族、自身のキャリアなどの兼ね合いの側面が強く、海外で180度環境を変えることのデメリットが増えていくことに起因するものと考えられます。
むしろ、マネージャー経験のある40代は海外市場で意外と重宝される傾向にあり、当社でも日本からドイツに就職して年収が上がったケースが数多く見受けられます。
海外就職において、年齢は日本よりもはるかに重要視されにくく、スキルと専門性さえあれば何歳でも就職は可能です。
40代の海外就職は難しい?
欧米文化では年齢は応募時のファクターになりにくいため、経験豊富な40代は有利です。そのため、単に就職だけを考えるのであれば「容易」であると言えるでしょう(※むしろバリバリ現役の40代~50代と、大学出たばかりの新卒が同じ就活市場で戦うこともあるので、新卒側に不利な市場です)。
そのため、40代での海外就職が難しいと言われる要因は、スキルや経験ではなく、むしろ海外移住に当たっての環境の変化や家族帯同といった部分に起因します。
若いころとは異なり、さまざまなライフステージが存在する40代の海外就職にあたっては、以下のようなハードルを乗り越える必要があります。
- 現職への退職届
- 業務やクライアントの引き継ぎ
- 生命保険などの住所変更
- 国民年金の停止
- 住民票の抹消
- 運転免許証の書き換え
- 年金への加入
- 健康保険への加入
- 現地住居の手配と交渉
- 就労ビザの手続き
- 子供の転校
- 家族の生活(特に治安や言語、医療)
- 家族分の健康保険や住民票の手続き
- 配偶者の退職・転職
- 自宅のローン(家がある場合)
- 親族などの世話、介護
- 日本の自宅への郵便物(運転免許証の更新など)
- 現地の文化や気候に溶け込めるか
こうしたリスクや解決すべき課題を一つ一つクリアしてまで海外就職すべきなのか・・40代における海外就職の難しさはこうした問いに起因するものであることが多いでしょう。
それでも中には「子供の教育を考えて海外就職した」「若いころからの夢だった」「ワークライフバランス重視の生活を目指したい」という理由から、海外就職に踏み切る40代の方もいらっしゃいます。
40代の海外就職で求められるスキルは?
ここでは職人や医師といった特殊な職業ではなく、一般的な企業勤めのサラリーマンとしての就職を考えましょう。
海外のそれぞれの国のポジション希望者がライバルになるため、彼らと比較して「魅力的」である必要があります。その魅力とは、専門知識であり、経験であり、スキルというわけです。
年齢に関わらず、日本人の海外就職のボトルネックは「現地の人材よりも優秀である必要がある」ことです。スキルが同じ場合、現地企業は現地人を採用します(就労ビザの発給などが不要なので)。
- 英語(B2以上)
- 就きたい職の専門知識や業界経験(3年以上)
- 英語以外の現地語(B2以上)
- 管理職経験
- 貿易実務(国を問わない)
- IT専門技能(国を問わない)
- エンジニア、機械工学(国を問わない)
- 簿記・会計(当該国における)
- 法務(当該国における)
- 営業・マーケティング(当該国における)
これらのうち、少なくとも最低限必要な条件を満たす場合、海外就職の応募は可能となります。(※日本語のみ、未経験、といった案件もありますが、門戸が狭まります)
40代の海外就職でおススメの国は?
まだまだ現役とはいえ、やはり若いころの適応力や体力が徐々に失われつつあるのが40代。そのため、移住先も日本と180度異なる新天地ではなく、文化や環境が似ていたり、日本人コミュニティが充足していたり、現地日系企業への就職チャンスが多い国が好まれる傾向にあります。
また、家族のことを考えると、医療インフラや治安の良さ、そして教育面での充実した国が移住先候補として挙げられます。
現地進出日系企業2000社。ヨーロッパ最大数の日系企業数を誇るため、世界の中でも「日本人の仕事の探しやすさ」は指折りです。特に「英語の話せる」「管理職経験あり」といった人材はどこの日系企業も欲しがるため、好待遇での就職チャンスが広がる就職市場です。また、一度仕事を得ると比較的雇用が守られやすいため、家族を伴っての海外就職でも比較的リスクが低いと言えます。
現地進出日系企業1000社。EU脱退に伴いかつてのプレゼンスは失われましたが、在欧邦人数では未だにNo1。英語を母語とする環境であることから、英語が話せれば日常生活に支障をきたさないのが大きなメリット。
現地進出日系企業9000社。世界最大の在留邦人数を誇る国。世界経済を牽引する産業を誇り、日本との関係性も深いため日本語や日本での経験を活かした仕事を探しやすいのがアドバンテージ。教育インフラも世界有数の充実っぷりを見せており、子供の将来性を考えてアメリカを海外就職先に選ぶ家族も少なくありません。
現地進出日系企業1000社。高い英語使用率を誇るため、英語が話せれば帯同家族などの負担も少なく済みます。医療、教育インフラも世界有数で、日本からの距離も欧米諸国に比べて短いのがアドバンテージ。
現地進出日系企業1700社。ASEANの中ではシンガポールとブルネイに次ぐ第三位の平均所得を誇り、大都市圏の治安やインフラも比較的安定。英語以外に中国語を求められるケースが多いものの、管理職経験者が優遇されやすい求人が多いため、40代以上の就職には向いています。
40代の海外就職で具体的な応募方法は?
海外就職にあたっては、個々の国ごとのエージェントを介する方法が一般的です。
LinkedInやGlassdoorのようなオンライン就職ポータルを使うのも手ですが、こういった求人は現地に住居と就労ビザを持つ現地人をメインターゲットにしていることが多いので、就労ビザを持たない状態で応募をかけても門前払いになるケースが多いわけです。
ドイツに拠点を置く当社の場合、「求人に応募」ボタンを押すと履歴書とプロフィールを記載するページが設けられているので、これらを送信いただくと「登録完了」となります。
登録が完了したら、コンサルタントとの面談でご自身のキャリアやバックグラウンド、仕事探しの希望条件を明確にし、それらの情報に基づいて適宜お仕事の紹介がおこなわれます。

