労働環境や給与水準の良い国で知られるドイツ。ワーキングホリデービザや年金協定などの助けもあり日本との関係も良好で、ドイツに移住する日本人の数は少なくありません。
そんなドイツ移住の決め手となる理由は一旦何でしょうか?ドイツで就労した日本人を対象したアンケート結果によると、ドイツを選んだ理由は以下の通りとなり、将来のキャリアを重視してドイツならではの「専門知識を身につけたかった」というのが一番の理由となっています。
移住の理由 | 割合 | |
1位 | 専門知識を身につけたかったから | 29.0% |
2位 | 一番良い仕事オファーが来たから | 22.6% |
3位 | 昔ドイツに住んだことがあったから | 19.4% |
4位 | 労働環境が良いから | 16.1% |
5位 | プライベートの理由 | 12.9% |
本稿では、ドイツが日本人の移住先に選ばれやすい理由その詳細について解説をおこないます。
本記事の読者層:
- 海外移住を考えており、ドイツの魅力を知りたい人
- ドイツ移住を既に検討しており、どのようなメリットがあるのか知りたい人
1位:専門知識を身につけるため
上記の通り、ドイツに移住する日本人の最も多い理由に「専門知識を身につけるため」が挙げられます。
特に、日本社会での「ジェネラリスト」としてのキャリアに不安を覚え、文系でも手に職をつけたい、専門知識を身に着けたい、という層がこのような回答をしています。
ドイツは徹底した「プロフェッショナル育成型」の社会として成り立っており、一度社会人として働くと、否が応でもその道のプロフェッショナルとして生きることを選択させられます。
これは良くも悪くも、文系→総合職、というざっくりとした分け方をする日本の「ジェネラリスト育成型」の会社方針とは根本から異なり、大学を卒業した時点で、人事なら人事、総務なら総務、物流なら物流と、それぞれの道を究めるためのキャリアがスタートするわけです。
日本ではいわゆる「総合職」として様々な分野を広く浅く身につけていた日本人がドイツに来ると、就職先がドイツ企業か日系企業かで異なりますが、以下のような声を耳にします。
30代男性 | 私はドイツに来る前は日本で営業として仕事をしていましたが、実はこれはドイツに来ると「日本市場のプロフェッショナル」と見られることを意味します。ドイツでは日本やアジアの市場をターゲットにした専門職として活躍できています。 |
20代男性 | 日本では営業でしたが、ドイツの日系企業で働くと役割が異なります。やることは現地ドイツ企業への法人営業や、物流のコントロール、現地ドイツ人のマネジメントなど、いわゆる「日系企業の国際事業」に深化した仕事をやることになります |
こうした専門性の習得は、今まで「ジェネラリスト」として漠然とキャリアアップを行ってきた人々に魅力的に映ります。一つの分野に特化するということは、将来的に日本のみならず、世界各国のどこでもキャリアのチャンスが待ち受けていることを示すのです。
2位:一番良い条件でオファーが来たから
「専門性を身につけたい」というのは、総合職として企業に就職し、数年勤めたいわば「20代後半~30代前半」の転職者に多くあげられる理由です。
一方で、30代後半~40代のドイツ移住理由で多くあげられるのが「ドイツの企業から一番良い条件でオファーがきた」というものです。
例えば、日本である程度の仕事の成果のある管理職の年齢になってくると、海外駐在歴や海外との折衝歴が買われて海外での就職のチャンスが出てくることがあります。
様々な国を比較した時、ドイツの給与水準、職務のやりがいなどは他国に比べて非常に有利な条件にあり、そのため「特にドイツが良かったというわけではないが、条件が最もよかったのでドイツにした」という転職者の数に結び付いています。
30代女性 | 日系企業とドイツ企業とでは全体的にドイツ企業のほうが高所得です。他のヨーロッパ諸国と比較しても、ドイツ以上の条件で職を得られる国はそう多くは有りません。私の場合日本からドイツに転職して給与が大幅にアップしました |
30代男性 | 元々、海外での転職というものを視野に入れていました。色々な国を調べれば調べるほど、ドイツの労働環境や給与水準、仕事の安定性等良い部分が際立って見えました |
3位:ドイツに滞在したことがあったから
続いてドイツを選んだ人に多かった理由が「以前ドイツに滞在したことがあったから」というものです。これには、過去の駐在、インターン、交換留学やワーホリなどが含まれます。
特に元々ドイツに滞在歴のある人は、なんらかの理由でドイツと接点がある傾向にあります。専攻がドイツ語だった、ドイツに憧れた、ドイツ人のパートナーがいた等で、こうした理由の延長線上に「ドイツに住んでみて良かったので、紆余曲折あったがドイツに戻ってきた」という理由が上がってきます。

ただし、注意が必要なのはあくまで「旅行や留学」として滞在するドイツと、就職の場としてのドイツが持つ性格は異なるという点です。留学時代には楽しく生活できていても、実際に就職してみて文化の違いを再認識し、やはり水が合わず日本に戻るという人も少なくありません。
30代女性 | 元々大学時代に交換留学でドイツに滞在していました。その際にドイツの文化や街並みに惹かれた、というのが30代になってドイツに戻ってきた正直な理由です |
20代男性 | 子供の頃、父親の仕事の関係でドイツに住んでいたことがありました。多くの人種が入いりまじり、独特の世界観を持つドイツに当時から憧れており、日本で社会人を経験した後ドイツ移住を決意しました |
4位:労働環境が良いから
先進国の中でも常にトップテンに挙げられるドイツの労働環境。有給や育休の取りやすさ、ワークライフバランス、一日の残業の少なさなど、多くの点から鑑みてドイツでの仕事を魅力的に感じる日本人が増えています。

実際に、ドイツに就職した日本人にアンケートを行ったところ、日本での仕事環境と比較し、ほぼすべての転職者が「有給が増えた」という回答を行い、そのうちの半分以上は「年に15日以上有給が増えた」と答えています(出典:Career Management 日本人のドイツ就職レポート2020)。
こうした労働環境の良さは、特に家族との時間を大事にするドイツ人の社会性を反映しており、日本のように「有給の日数はあっても申請しずらい」ということは無く、実際に同僚のドイツ人も有給を取る際は快く送り出してくれる傾向にあります。
40代男性 | 日本での生活と比較すると、ドイツでの生活のほうがやはり家族と過ごせる時間は増えました。残業時間以外にも、同僚や得意先との飲み会が少ないのが非常に大きいかと思います |
30代男性 | 日本では大手コンサルに勤めていましたが、毎日毎日会社と家の往復で、自分のプライベートと呼べる時間が全くありませんでした。ドイツに来てからは自由な時間が増え、有意義に人生を送れています |
5位:配偶者など、プライベート上の理由
最後に挙げられるのが、配偶者の仕事の都合でドイツに引っ越しをし、そこで仕事を見つける必要があったというものです。
特に、ドイツ人と結婚した場合、あるいは配偶者がドイツに移住しそこで仕事を見つけなくてはいけなくなった場合などが挙げられます。
そういった場合、ドイツ語やドイツ文化の素養がなくドイツに渡ることもあるため、日本ですでに仕事経験のある人にとっては、在独日系企業での仕事(営業やさまざまな事務職等)は良い選択肢の一つとなります。
ドイツ移住の手続き上のメリット
さて、上記のランキングは移住者の直接の声を反映させたものですが、その他移住に関する手続きなどの点から見ても、ドイツは他国に比べ日本人にとっての魅力の多い国となっています。
手続き上ドイツ移住が日本人に有利な理由:
- 日本と年金協定を結んでおり、合算できる
- 3ヶ月観光ビザで入国できるため、仕事探しがしやすい
- 運転免許証を日本からドイツに書き換えられる
- 日本の大学卒業資格がドイツでも認められる
- 大使館・領事館がドイツ主要都市に点在しており、サポートを受けやすい
- 約5万人の日本人がドイツに住んでおり、様々な助言を得られる
移住を目指す場合、ドイツでの就労、及び就労ビザの取得が最初のポイントとなってきます(配偶者ビザの取得等を除く)。その場合、ドイツでスポンサーとなる企業を探す必要があるため、まずは就職活動をはじめることとなります。
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