ドイツの食費はどのくらい?スーパーと外食の平均価格を紹介

旅行、出張、駐在… 理由は何であれ、これからドイツへ向かう方にとって現地の食費の相場は気になるところです。スーパーで買うといくらなのか、外食の相場、日本の調味料はどの程度揃うのかなど、実際に現地へ来るまで分からないことは山ほどあるでしょう。

そこで今回は、ドイツ生活における食の面に焦点を当て、どういったものが手に入るのか、それに伴う食生活の広がり、そしてメインの食費について紹介します。

日本人にとっては不便?食にまつわるドイツの生活スタイル

食費の解説に入る前に、ドイツの食にまつわる生活スタイルに振れておきます。ドイツには、日本では欠かせないインフラになりつつある24時間営業のコンビニエンスストアがありません。場所によっては23時頃まで開いているハンバーガーチェーンはありますが、日付が変わった深夜でも開いている牛丼、カレー、そば、ファミリーレストランといった便利な食事処もありません。ドイツでファストフードとして広く手軽に利用される飲食店は、ハンバーガーのほか、ベーカリーや軽食を提供するカフェ、トルコ系移民が多い影響で広まったドネルケバブ(Döner Kebab)を提供するケバブスタンドなどです。

もう一つの大きな違いは、日曜日にはターミナル駅などにある一部店舗を除き、スーパーを含むすべての小売店が閉まることです。飲食店は、チェーン店や大きな店舗は開いていますが、個人経営の店は閉まる場合もあります。

そもそも、夜遅くまで仕事や外出をしていて外で食べて帰るという生活形態が主流ではないので、たいていの人にとっては月~土で朝7時から夜22時頃まで開店しているスーパーが食生活の基盤。一般的な品揃えのスーパーマーケットで、朝にパンのみを購入している、昼12時前後にはサラダやラップサンド、果物などのランチのみを買いに来る、夕方には冷凍ピザとビール数本のみを手に持ってレジに並んでいる、という客の姿は少なくありません。スーパーマーケットが日本でいうコンビニの役割も担っているところがあり、単身であれ家族世帯であれ、スーパーで買ったもので基本の食事をすることになります。

ドイツスーパーの特徴

ドイツのスーパーマーケットには、一般的なスーパーマーケットを主として、より低価格帯の製品を取り揃えるディスカウントスーパー、オーガニック品(環境保全や動植物の生態系に配慮して生産した食品)を扱うスーパー(Bio-Supermarkt、ビオスーパーと呼ばれる)などがあります(参考:Supermarkets and grocery stores in Germany)。
一般のスーパーチェーンはREWE、EDEKA、Kauflandなど、ディスカウントスーパーはAldiやLidl、ビオスーパーではAlnaturaやDenn’s Biomarktがドイツ内で広く店舗を展開しており、住民の生活を支えています。続いて品揃えについて見ていきましょう。

プライベートブランドが豊富

各スーパーが独自に展開するプライベートブランド製品の幅は広く、青果、精肉、乳製品から小麦粉や砂糖などの製菓材料、ピザやカット野菜といった冷凍品にまで至ります。特筆すべきは、地元産、オーガニック品、より高品質のものなど、アイテムの特色によりプライベートブランドが複数展開されている点。ひとつのスーパーでも選択の幅が広くあります。

パンコーナーが豊富


「ドイツといえばパン」のイメージがあるように、ドイツでは、朝にシリアルやパン、くだものなど、昼はサンドイッチ、あるいはスープやパスタなどの温かい食事、夜は軽めでパンを中心にチーズ数種類とサラダなどといった食事が一般的で、たいていの家庭において食生活の基本はパン食です。スーパーのベーカリーコーナーに並ぶパンの種類は豊富で、小さなパン(Brötchen)はシンプルなもので€0.5前後、惣菜パンでも€2前後といずれも手頃。切り分けて食べる大型パン(Brot)であれば500gで€2ほどですから、さらに割安です。混雑する夕方頃には全てなくなっていることもあり、日本でのコンビニおにぎりと同等の役割を担っています。

多様な食文化や主義への配慮

一般品とビオ製品が並ぶスーパーの一角

特定の食材を食べないなど食文化の背景が異なる移民の多さを反映してか、ベジタリアン認証品やヴィーガン認証品が一般的なスーパーであっても多種に渡って購入できます。一般品とベジタリアン・ヴィーガン認証品が一緒に並んでいたり、上述したプライベートブランドの展開幅にも通じますが、一定規模のスーパーになると選択肢の多さは圧巻です。牛乳を例にとると、豆乳(Sojamilch)、ラクトースフリーのミルク(Laktosefreie Milch)、オーツ麦ミルク(Hafermilch​​)、アーモンドミルク(Mandelmilch)等、体質やヴィーガンなどの理由から牛乳を飲まない人に向けたミルクが数多く並んでいます。

ドイツスーパーの価格相場はどのくらい?

給与水準の高いことで知られるドイツですが、意外にも生活にかかる支出はそこまで多くはありません。野菜、果物、乳製品は、自国の安い製品および隣国から無関税のものが入ってくるため、後述の通り日本よりも財布に優しい生活物価水準を享受することが可能です。

欧州諸国の中で比較しても、ドイツの都市の生活水準の高さは度々評価されています。Mercer’s Quality of Living Rankingによると、Munich(世界3位)、Düsseldorf(世界6位)、などは世界でも暮らしやすい都市ベスト10にランクインしています。実際に都市を訪れてみればわかるとおり、ビルが立ち並ぶ一方で、ものの十数分も歩くと都会の喧騒を離れて緑の多い公園や湖にふれることができます。また、外食こそ高いものの、一般的なスーパーマーケットなどの物価水準は他の高所得で知られる国と比べると安く、生活次第では十分に費用を節約した暮らしが可能です。
引用元: 日本人がヨーロッパ就職する際にドイツがおススメの国である7つの理由

以下、それぞれの製品カテゴリに応じた物価水準を紹介していきたいと思います。

青果(野菜、果物)
パンと並んでドイツの食卓を支えるじゃがいもは2kgで€2ほど、人参、たまねぎはどちらも1kgで€2ほど、レタス、ルッコラ、トマト、きゅうりやラディッシュといったサラダに使われる野菜は1パックあるいは一束で€1前後と手頃な価格です。一方で、ブロッコリーやパプリカ、キャベツ、アボガド、インゲン、アスパラガスなどの野菜は、量にばらつきがありますが販売されているひとつの単位で€2-€3ほどはします。

春夏はいちご、マスカット、桃にスイカ、ベリー類など、秋冬は柿やりんごと、多くの果物が日本と比べると安価で店頭に並びます。特にりんごは種類が豊富で、2kgでも€3ほど、オレンジ、バナナは1kgあたり€1以下で、果物は年間を通して家計の強い味方です。

乳製品、パスタ、卵
ドイツはEU内第1位の牛乳生産量を誇る酪農大国(参考:Understanding Farming)。牛乳1L、ヨーグルト500ml、バター200gなどの乳製品が全て、€1.5前後で店頭に並んでいます。チーズにいたっては、壁面の冷蔵ケース一面に渡って陳列されているスーパーもあるほどで、パンの相棒としてドイツの食生活に欠かせないものとなっています。スーパーでの存在感が大きいのはパスタも同様です。500g €2以内で種類豊富、手軽な瓶詰めパスタソースもあり、ドイツの食を支えています。
卵は、日本のように「お買い得品」となることはほぼありません。一般のスーパーであれば日本と比べて2倍程度の価格と考えて良さそうです。

精肉、鮮魚
牛・豚・鶏のほか、七面鳥が鶏肉より安価で広く食べられています。牛肉はブロックで売られていることが多く、5-600gほどで€10前後、豚や鶏は部位によりますがたいてい100gあたり€1.5-€2前後です。日本のような細切れ、薄切り、少量パックはなく、必要量や薄切りを求める場合は対面販売のカウンターか精肉専門店でオーダーして購入することになります。

鮮魚は、サーモン、西洋タイ、タラ類(SeelachsやKabeljau)が店頭に並ぶ程度で、精肉と比較すると売り場は狭小なことが多く、都市型スーパーでは魚売り場がないことすらあります。価格はサーモン250gで€5ほど、タラは少し下がります。生魚より、サバやニシンの燻製、酢漬け、オイル漬け、白身魚のフライなど、すでに調理済みの商品が豊富で、これらをパンやじゃがいもと共に食します。

アルコール類
パンと並んでドイツといえばのビール、その価格は良心的で、330ml缶であれば€1以下、500ml瓶でも€1.5-€2程度で各国の代表的なビールが並んでいます。さらに日本との価格差が大きいのはワイン。ドイツ国産をはじめ、フランス、イタリア、チリなどからの輸入ワインが€3から並び、€5-€7が品揃えのボリュームゾーンといえます。もちろん高価格帯まで、専門店でなくとも品揃えは豊富です。

以上のように、パンやパスタを中心に野菜、果物を摂るドイツ式な食生活であれば、食費は比較的安く抑えることができるでしょう。しかも、これらはすべてドイツの消費税にあたる付加価値税7%を含んだ価格です。食材ごとに日本より高い・安いはあるものの、それらを総じて考えると、スーパーでの購買額はおそらくドイツと日本で大きな差はないといえるでしょう。

しかし、ごはん、汁物を中心に主菜、副菜という温かい調理を基本とした日本の食生活を望む場合はどうでしょうか。

日本の食生活をするには

ドイツスーパーで買える日本食

ドイツで買える食材はとても幅広いものです。全人口の約2割が移民であり、アメリカに次いで世界2位の移民国家であるドイツでは、住民が各々の文化を持ち寄り、ドイツの「食」を形作っています。

1970年代以降ベトナム系移民を受け入れたことや、ビジネスや教育のボーダレス化が進む現代、中国やインドをはじめアジア圏からの人口の流入は多く、ドイツの食生活においてアジアの食はひとつのジャンルを築いています。そのため、一定規模のスーパーであれば、アジア食材のコーナーでフォーやナンプラー、チャツネといったエスニック食材、春雨、うどん、海苔などが購入できます。醤油はすでに浸透していますし、ごま、生姜、豆腐、もやし、枝豆なども並んでいます。

基本のお米はというと、1000gで€3ほどで、日本のお米の食感に近いMilchreis(ミルヒライス)やNaturreis(玄米)が売られています。オーガニックスーパーではさらに多様で、乾燥わかめや味噌も手に入ります。つまり、調味料の基本「さ(砂糖)し(塩)す(酢)せ(醤油)そ(味噌)」とお米は現地で手に入るので、ドイツにいながら日本と同じような料理は可能なのです。

一方で、気候や自然条件によって違いが出てくるのが野菜。ドイツでも大根や白菜はありますが、当然日本のものと同じではなく、水菜や青梗菜などの葉物野菜はさほど手に入りません。里芋やごぼう、蓮根などの根菜はほぼ見かけません。これらを求める場合は、アジアスーパーに行くことになります。

アジアスーパーで買える日本食

日本風のお米と梅干し、納豆など
ドイツスーパーで買うお米の風味はやはり異なるので、日本で一般的な甘みのある味を求める場合には、アジアスーパーへ行くことになります。お米を食べる国スペインやイタリア、あるいは韓国産の「コシヒカリ」、「あきたこまち」などが10kg€40-€50ほどで売られています。また、漬け物、梅干し、納豆などは、日本の3-4倍ほどの価格です。

みりん、料理酒、ドレッシングなど
日本の家庭料理を作る際に欠かせないのが、昆布などのだし、みりん、料理酒でしょうか。いずれも日本で目にする価格の2倍程度で並んでいます。麺つゆ、焼肉のたれ、各種ドレッシングやソースなども同様です。

葉野菜、根菜、冷凍品
ローカルスーパーにない菜ものや根菜は、アジアスーパーであれば見つかることがあります。輸入の関係か冷凍で売られているものが多く、たけのこや蓮根などのカット野菜、エビ、イカの甲殻類や、ちくわや練り物等が手に入ります。いずれの価格も日本の2-3倍はします。

マルクトで買えるもの

ドイツの暮らしに根付いているのが、決まった曜日に開かれるマルクト(Markt)。精肉、鮮魚、チーズ、青果などそれぞれの専門店が広場や通りに販売カーを並べます。ここでは、スーパーにはない旬の魚が切り身や一尾で購入でき、ときには生食できる鮪やサーモンもあります。野菜も専門店ならではの旬のものに出会えることがあります。

外食の価格はどのくらい?

さて、日々自宅で好きに料理をするのもいいですが、外での食事を楽しむとどのくらいでしょうか。

テーブル席につくレストラン

レストランでは、日本のように席につくとまず提供される無料の水がない一方で、チップを支払う習慣があります。ランチタイムであれば一皿€10前後、そこに飲みもの、10%のチップを含めると会計は€15ほど。800円前後で定食を食べられる日本の約2倍です。ディナータイムだと、アルコール類の有無や利用店の価格帯で差はありますが、たとえば前菜とメインディッシュを頼み、さらにビールも楽しむと、チップを含め€40ほどにはなりそうです。

テイクアウトやファストフード

買ったパンやケバブを食べながら歩いている人、テイクアウトしたピザを公園で広げている人に出くわすのは、ドイツでは珍しい光景ではありません。ドイツのカジュアルな食事処が、ハンバーガーチェーン、ベーカリー、ケバブスタンドなどです。ベーカリーのパンの価格は、先述したスーパーのパンコーナーの2倍ほど、ケバブスタンドでは€5-€6程度からと、レストランに比べると手頃な価格で食事をとることができます。

食生活は、社会の構造と密接に結びついています。移民国家ドイツでは、日本では一般のスーパーでは目にしないような食材や香辛料も多く、メキシカン、アジアン、中近東、もちろんドイツの家庭料理まで、幅広く作ることができます。自炊でも外食でも、様々な料理を味わえるのはドイツの良さのひとつ。日本と同じような食生活をするには難しい面がありますが、一方で、新しい食材や料理に挑戦する機会につながり、食の豊かさを再認識できるのではないでしょうか。

Chihiro Takahata
Career Consultant

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