2024年現在で約130万人の日本人が海外居住しており、そのうちの約4割が、日本への帰国を考えない「永住者」としてカウントされています。

この「永住者」は「長期滞在者」とは異なり、日本への帰国を前提としないため、海外移住者の実態を知るうえで重要な指標になることが多いと言えます。例えば、在留邦人居住数上位の中国やタイにおける日本人永住者の数は極端に少なく、多くの人々が「一時的な滞在」を念頭に居住していることを示しています。

逆に、ドイツやニュージーランドの在留邦人数は中国やタイを下回りますが、その永住者数は多く、その国で職を得て滞在し続ける人が多いことを示しています。

本稿ではこの「永住者」にテーマを絞って、10位までの国別ランキングを紹介していきます。

※本稿における永住者の定義は、外務省「海外在留邦人数調査統計」に則り「当該在留国等より永住権を認められており、生活の拠点をわが国から海外へ移した邦人」とします。

この記事のターゲット
・永住しやすい国を知りたい人
・日本人の多い国を知りたい人

1位 アメリカ

在留邦人数だけでも41万人、そのうち約半分の22万8000人が永住者と、海外移住する日本人にとって最も人気の移住先として知られています。2位のオーストラリアとは3倍以上の開きがあることからも、その規模の大きさが窺えます。

多くの語学学校や世界の大学ランキング上位に名を連ねる大学群を抱えていることから、学生時代からアメリカに留学する日本人も少なくなく、卒業後そのまま現地で就職・結婚して定住するケースが多いと言えます。進出している日系企業数も約9000社と世界トップクラスで、移住者の現地就職先の受け皿として機能しています。

在留邦人数41万4000人
永住者数22万8000人
言語英語

2位 オーストラリア

在留邦人数約10万人、うち6割が永住者という高い割合を持つオーストラリア。大自然に囲まれ、のびのびとした環境で仕事と人生を楽しみたいというニーズから、多くの日本人の夢の移住先の一つとして人気を博しています。

大学卒業後にビザが支給されることから、高校・大学留学や語学学校などを通じてそのまま現地に留まるタイプや、ワーホリビザを活用して現地で職業やパートナーを見つけるパターンが多いと言えます。

在留邦人数9万9000人
永住者数6万3000人
言語英語

3位 カナダ

アメリカ、オーストラリアに次いで3位にランクインしたのは、同じく英語圏であるカナダです。充実した英語での教育チャンスに加え、恵まれた自然、海外としては安定した治安情勢、そして質の高い医療、比較的ハードルの低いビザ取得要件などが人気の理由として挙げられます。

在留邦人数7万5000人
永住者数5万1000人
言語英語

4位 ブラジル

ブラジルと後述のアルゼンチンはやや事情が特殊で、日系移民系の歴史的背景が強いと言えるでしょう。

とは言え日本人にとって移住先としての魅力は強く、日系コミュニティ、日本語での雑誌など日本語で意思疎通できる環境が多く、リタイア後にブラジルに移住する層も一定数存在します。

在留邦人数4万6000人
永住者数4万2000人
言語ポルトガル語

5位 イギリス

ヨーロッパからの最初のランクインとなるのがイギリス。英語圏であることから、英語が話せる日本人にとっては移住が比較的しやすいうえ、経済、治安もある程度安定した国と言えます。EUを脱退したとは言えEU諸国とのつながりは深く、イギリスで就職するとヨーロッパ各国への出張の機会が多いことでしょう。

在留邦人数6万4000人
永住者数2万8000人
言語英語

6位 ドイツ

事情が特殊なブラジルを除けば、初めて英語圏以外でのランクインとなるのがドイツです。高い教育水準を持つドイツでは、大学留学を起点とした若者の移住が増えているほか、20-30代の転職目的での移住が増えているのも特徴的です。

永住権の取得要件も他国に比べると比較的容易と言え、一般的な条件であれば5年間の就労経験を経て申請が可能となります。ヨーロッパの中で最大級の規模を持つ在留日系企業コミュニティも就職の受け皿として機能していることから、現地に知り合いがいなくてもゼロベースから移住を目指し易いと言えるでしょう。

在留邦人数4万2000人
永住者数1万8000人
言語ドイツ語

7位 韓国

アジアにおいて唯一のランクインとなるのが、中国やタイを抑えて韓国となります(※アジアにおける永住者数、韓国の次点は台湾)。ヨーロッパや北米と比べて文化圏的にも言語的にも類似していることもアドバンテージとして機能するうえ、ポップカルチャーをきっかけに渡韓し、そのまま現地に移住する若者層が増えています。

在留邦人数4万2000人
永住者数1万6000人
言語韓国語

8位 フランス

イギリス、ドイツに次ぐヨーロッパ第三の永住地として人気なのが、文化大国フランス。ビジネス上のメリットは勿論、日本からは芸術関連の留学地としても人気です。

日系企業数もドイツ、イギリスに次いで多いことから、日系企業の現地採用としての受け皿も豊富と言えます。

在留邦人数3万6000人
永住者数1万5000人
言語フランス語

9位 ニュージーランド

世界平和指数ランキングで常に上位にランクインするニュージーランド・・国土としては小さいものの、豊かな自然と安定した経済水準が魅力で、日本からの語学留学生やワーホリ生に人気を博しています。

その後の永住地としても人気で、約5年間の就労経験を持って永住ビザに更新可能です。

在留邦人数2万人
永住者数1万2000人
言語英語

10位 アルゼンチン

アルゼンチンは、ブラジル同様戦前に日本からの移民を多く受け入れたことで知られる南米の国です。こうした歴史的背景から、在留邦人、並びに永住者数も一定のプレゼンスを持ちます。

在留邦人数1万人
永住者数1万人
言語スペイン語