ドイツで現地法人を設立するにあたって、法務、税務、登記と、整備しなければならない枠組みの確立とその手続きは多様です。

そのような中で優先順位が下がりがちですが、現地法人の将来的な運命を左右しかねないのが人員構成と採用戦略。日本本社から駐在員を何人派遣するべきか、現地でどれくらいの人員を採用するべきか、そもそも採用せずに外注するべきか、等々。

本稿では、当社のドイツ人材紹介会社としての経験に基づき、立ち上げ時の難関、採用すべき人材、外注が推奨される業務などを分類し、規模に応じて適切な人材戦略を解説します。

求められる業務と人員マトリックス

もちろん、現地法人設立の目的は企業ごとに異なります。場合によってはリサーチや顧客サポートに終始し、現地での営業活動を必要としないパターンも存在します。

あくまで一般論として、現地法人として売上げを拡大している日系企業をパターン化したとき、以下のような人員確保の優先順位になると言えるでしょう。

優先度 タイミング 社内の人材(役割) 連携・外注先 人材に求められるもの
★★★★★ 会社設立期 現地法人責任者
(経営判断/本社連携/契約・登記)
公証人/弁護士/税理士 など ドイツ法人を代表し、判断権限を担えること
★★★★★ 営業開始期 法人営業・顧客担当責任者
(顧客との折衝/連携/受発注)
リサーチ/アポイント獲得支援/マーケティング など 日系顧客が中心なら日本語人材、ドイツ企業開拓が中心なら現地ドイツ語人材が優先
★★★★★ 最初の従業員を雇う前 社内オペレーター
(総務/電話対応/営業アシスタントの兼務も)
フォワーダー/労務弁護士 など 営業アシスタントといった職務との兼任が多い
★★★★★ 規模感2〜3人程度 営業アシスタント
(受発注/外注先との折衝)
記帳・税務/IT保守/工場・本社・メーカー/物流・倉庫 駐在員や営業担当者が事務処理に追われ始めた時点が採用の目安
★★★★★ 規模感4〜10人程度 2人目以降の営業、エンジニア等 小規模なら経理/給与計算/法務は引き続き外注中心 アドミよりも、売上と顧客対応に近い人材を優先することが多い
★★★★★ 規模感10人〜 経理、人事・総務などのアドミ専任者
日常業務を部分的に内製化
税理士/弁護士 など 取引件数、採用数、外注先との調整量が増えた機能から順に内製化するとよい

スタート時のオフィスにおいて、複数業務を少人数で兼任するケースが多く見受けられます。現地法人担当者=法人営業、という形態もあれば、総務=営業アシスタント、という形態も少なからず存在します。

これらの人員は、基本的には外注せずに内製化してくメリットの大きい職種であり、採用することが会社の規模拡大を後押しするケースが多いと言えるでしょう。

設立期~直後は次の3機能を最小単位として考え、兼任できる場合はそれぞれを兼任して1~2人で回すこともあります。

立ち上げ当初の例 人材の例 主な役割
現地法人責任者 駐在員または経験ある現地責任者 経営判断/本社調整/予算・契約
顧客開拓 現地採用ドイツ人、現地採用日本人、または責任者の兼務 新規営業/既存顧客/商談
総務・オペレーション 現地採用ドイツ語または日本語人材 受発注/秘書/総務/外注先窓口

初期から経理や人事部を機能として設ける会社は多くありません。これらの業務は一般的に代表者や総務部が兼任し、企業規模で10人程度を目安に、こうしたアドミ関連の人員が採用されていくようになります。

外注しやすい実務 主な業務内容 主な外注先 費用感 内製化する
規模感の目安
法務 定款の公証/商業登記/各種契約書の作成/法的リスクの助言 公証人/弁護士/税理士 設立・登記:約500〜1,000 €
一回あたり
100人以上
経理
記帳/VAT申告/法人税・営業税への対応/年次決算/税務申告 Steuerberater/会計事務所 100〜800 €/月
別途決算費用
10人以上
人事
給与計算/給与税・社会保険の届出/Betriebsnummer申請の支援 税理士事務所/給与計算サービス 20〜35 €/人・月 50人以上
人事
候補者サーチ/面接調整/雇用契約などのアドバイス 人材紹介会社 人材紹介:年収の25〜35%
採用時
50人以上
WEB
プライバシーポリシー/サイト保守関連/アクセス管理/バックアップ/セキュリティ対策の整備 データ保護専門家/IT会社 50〜300 €/月 30人以上
物流・通関・倉庫 国内出荷/返品処理 物流会社/倉庫会社 - -

※会社規模10人以下を想定。費用感は一例です。

最初の一人が非常に重要な理由

このように、会社の設立期において「内製化」と「外注」の二軸を用いた人材戦略は一般的で、特に初期段階では現地法人の安定化のため、優先的に売上を確保できるような人員確保が求められる傾向にあります。

一方で、ドイツで一般的な「営業一本槍」のキャリアパスの人材を雇ってしまうと、兼任に難色を示し、日々の業務が回らないことがあります。そういった意味で、現地法人立ち上げ当初の採用人材は特殊で、営業として数字を上げつつ、かつ現地法人の初期のビジネスディベロップメントにも従事できるような人材を確保する必要があるのです。

こうした人材は、ジョブ型採用の一般化されたドイツの労働市場では獲得が困難と言えるでしょう。一方で、当社のようにドイツで人材紹介業に長年従事している会社には、こうしたジョブ・ディスクリプションに起こすのが難しい、複合的な人材獲得を得意とします。

現地法人立ち上げ時、兼任人材の採用、日本とドイツの文化を両方を理解した人材の採用をサポートさせていただいた長年の経験を持つ当社。ドイツの人材戦略でお悩みの際は、まずはお気軽に以下のフォームからお声かけください。

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