世界には様々な生活習慣が存在しますが、ドイツもまた然りです。今回の記事では、日本人にとっては意外な、しかしドイツ人にとってはとても重要な生活習慣を紹介します。
本題に入る前に、生活習慣の定義を確認しておきましょう。まず習慣というのは『日常の決まりきった行い』を意味します。つまり生活習慣とは、普段の生活における習慣、決まった行いということです。
例えば日本人はエスカレーターに乗る際、右か左のどちらかに立って急ぐ人に道を空けるという暗黙の了解があります。毎日にお風呂につかるという行為も日本特有の生活習慣と言えるでしょう。
要するに、その習慣に従わなかったとき明確な罰則があるわけではないですが、その地域の人たちが当たり前に行う事柄です。ですので日本人がドイツへ行ったとき、その習慣を知らないことで相手に不快な思いをさせてしまったり、自分の印象が悪くなることがあります。渡独前に、今回ピックアップする生活習慣を把握しておくのが得策でしょう。
エレベーター内では知らない人にも挨拶
日本人は知らない人とエレベーターに乗ったら基本コミュニケーションを取りません。むしろ取らない方がよしとされています。一方ドイツでは、一度も会ったことのない人にも「Hallo(ハロー)」や「Guten Tag(グーテンターク)」と挨拶します。ただし、あくまで赤の他人ですので、挨拶以上のコミュニケーションは一切不要です。
もし自分から挨拶するのが億劫であれば、相手がしてくるのを待ちましょう。ただし挨拶された場合は驚かずに返答し、降りるときに「さようなら(Tschüss / チュス)」と言えば十分です。
また日本では、エレベーターに乗ったら全員ドアの方に向いて立ちます。しかしドイツでは、下図のように中央向きに立つことが多いです。
エレベーターに限らず、アパレルなどのショップやレストランに入ったときも店員さんにドイツ語で「こんにちは(Hallo / ハロー)」、店を出るときは「さようなら(Tschüss / チュス)」と挨拶するのも習慣となっています。病院の待合室などでは、入ってくる人同士で挨拶をし合い、さも見知り合いのように振る舞います。
自分の誕生日会は自分が主催する
日本ではあまり想像がつかないですが、ドイツでは自分の誕生日会は自分で主催し、自分が周囲をもてなす日です。自分で日程を決め、友人を自宅やレストランへ招待し、『今日は僕が最初のドリンク一杯をごちそうします!』などともてなします。サプライズを期待して待ち続けるのではなく、率先して企画すればドイツ人との仲が一層深まるでしょう。もちろん、自分が招待されたときにプレゼント持参不要というわけではありません。相手との関係性に合った適度なプレゼントの持参は喜ばれます。
また会、社でも自分が誕生日のときはケーキやお菓子を持っていき、キッチンなどの共同スペースに一言メッセージを添えてケーキを置いておく習慣があります。ドイツ人の同僚が誕生日に持ってきたケーキを食べるだけ食べて、自分のときは何もしないというのはやや悪印象です。日本のように人の誕生日を周囲が祝うスタイルだと、祝いたい気持ちとは裏腹、毎年誕生日の数だけ企画しなければならず大変です。ドイツ式だと、年に一回自分の番がきたら企画し支出するだけですので、効率的です。
メッセージ例)“Please enjoy! from Nao“
スーパーで列を譲る
ドイツではスーパーのレジ待ちのときに列を譲るという行為が当たり前のように行われます。では、どんなときに列を譲るのでしょうか。
例えば、自分の前でレジ待ちするドイツ人男性が、カートいっぱいの食料品を購入しようとしています。その後ろで待つ自分が、ドリンク一本とガムのみを手に持っていたら、おそらく目の前のドイツ人男性は列を譲ってくれるでしょう。
このように、性別・年齢に関わらず、購入量に大きな差があるときは列を譲る習慣があります。譲られたら感謝を示し、素直に譲ってもらいましょう。逆に自分が大量に購入するとき、後ろにワイン一本の人が待っていたら譲ると喜ばれます。
時間を守る
世界には、日本人は時間厳守する生き物というイメージが定着しています。それは確かに事実ですが、日本人以外の人すべてが時間にルーズというわけではありません。日本ではよく『欧米』という言葉でヨーロッパとアメリカを一つにまとめられますが、ヨーロッパでも国により習慣や性格が大きく異なります。時間に関してフォーカスすると、ラテン系のイタリアやスペインは北欧やドイツより時間にルーズです。
そしてドイツ人は、ヨーロッパの中で最も時間に厳しいと自負し、周囲からも認知されています。日本ほどではないにしろ時間を厳守するのはドイツ人の習慣であり、海外だから大丈夫と思い込んで平気で2、30分遅刻するのは印象を悪くします。あまりルーズにならず、極力時間を守る方が無難でしょう。
また、ドイツ語の時間厳守である「Pünktlich」は、文字通り厳格な意味合いを持ち、早く着き過ぎることも不興を買う一因となります。14時にミーティングが予定されていれば、14時05分でも13時55分でもなく、14時きっかりに到着することがドイツではルールの一つです。
自分の食べた分だけ支払う
日本ではグループで食事へ行くとき、支払いは多くのケースが割り勘です。一方ドイツでは、それぞれが自分の注文したドリンクとフードを店員に伝え、個人で会計する習慣があります。例えばビールを自分が何杯飲んだか把握しておかないと、多く払い過ぎたり少なく払い過ぎたりして最後に勘定が合わなくなってしまうので気を付けましょう。
なおドイツでは、レジ会計ではなくテーブル会計がメインの手法となります。各店員に会計を頼むと、お店用の財布かカードリーダーを持ってきてくれます。そして個人がそれぞれ自分の注文分を店員に伝え、その場で支払い額を算出してくれます。