[してはいけない!]ドイツ転職時に日本人が冒しがちな5つのタブーと勘違い

2021-03-28 | タグ:

日本とは文化も言語も異なるドイツでの転職活動。ドイツ人にとっては当たり前でも、日本人応募者は注意しなくてはいけない点が多く存在します。今回の記事では、そうした日本人にとって特に注意が必要なポイントを5つご紹介します。

就職先が決まる前に今の会社を退職する

日本での転職活動でも、基本的に、転職先が確保できてから現在の職場に退職の連絡を入れることが通例でしょう。ドイツでもこの原則は同様で、労働者は転職先を見つけてからキャリアチェンジします。

これにはいくつか理由があり、労働者の権利がより守られているドイツでは会社側が不当に労働者を解雇することは難しいため、労働者側はその強みをギリギリまで活かそうとすることです。また、ドイツは失業率が他の欧州各国に比べると低く経済水準が高いとはいえ、やはり仕事を見つけるのは簡単ではありません。それゆえ「とりあえず辞めてから考えよう」が通用しないケースが多いのです。

また、多くの日本人が抱いている文化像「ドイツ等欧米各国ではキャリアの中断はマイナスポイントにはならないので、仕事を辞めた後1~2年海外旅行に出かけることもある」は誤りです。キャリア中断後にスムーズに仕事を開始できる人材は、それ相応のスキルを身につけている者だけであり、基本的に転職時のブランクは少ないにこしたことはありません。

また日本人の場合、ドイツで長期的に無職になると、ビザの再申請・失効等の問題が発生することとなり、せっかく転職先を見つけてもビザを申請しなおすために数ヵ月要した、というケースもありました。様々な観点からみて、転職活動は在職時に始め、転職先を確保してから離職することが望ましいでしょう。

ビザ・保険の確認は自己責任

日本人が海外で生活・仕事をする際には、宿痾のようにビザの問題がついて回ります。基本的に現地での就活の際のビザ・保険の問題は自身で解決しなくてはならない事柄となり、適切なビザが取れないことで就職が見送りになってしまった、というケースも少なからず存在します(当社Career Managementのように、ビザのアドバイスまで行うリクルーターを介する場合は除く)。

また、日本人が現地のドイツ企業や、新規進出の外資系企業(中国、韓国、日系等)に就職する場合、会社の人事担当者も日本人のビザ申請に不慣れなことが少なくなく、悪質な場合では、年金や健康保険が不払いとなっていて、個人宛てに延滞料を含めた督促の通知が来て発覚、ということもありました。

こうしたトラブルを未然に防ぐためには、以下のような手段が有効となってきます。

  • 転職時のリクルーターの活用
  • ビザのエージェントの活用
  • 人事任せにせず、自身で細かなチェックを行う

自身のソフトスキルを過大評価する

勤勉である、協調性がある、真面目である、といった勤務態度や個人の性格に根差したソフトスキルの部分は、ドイツの会社への転職活動時にあまり意味をなさないことが多々あります。もちろん、そうした面も評価の対象にされることがありますが、基本的にはまず「この会社で活躍できるか」という部分がいの一番に評価される傾向にあります。

ドイツ社会と日本社会の大きな違いでもありますが、要するに物事の「結果」を重視するのか、物事の「プロセス」を重視するのかという部分で、ドイツ社会の場合前者の「結果」が重視されるきらいがあります。

そのため、長期労働が能う、社内のコミュニケーションを大事にするといった、日本では重要視される以下のようなソフト部分が、あまり大きな武器になることはありません。

  • 忍耐強い
  • 時間を厳守する
  • 残業に耐えられる
  • ストレス耐性が強い
  • コミュニケーション能力が高い

ソフトスキルは、あくまで副次的にアピールすべき部分だということを理解し、基本的には自身の持つハードスキルに注力した自己PRを心がけましょう。具体的には、以下のような点を明確に挙げられるとよいでしょう。

  • 語学等、目に見える資格が備わっている
  • 〇〇年の実務経験があり、××といった成果を出した
  • コンピュータースキルがある
  • 統計解析が行える
  • 市場分析を行える
  • 会計・財務の経験・能力がある
  • 法務畑の知識・経験がある
  • 技術的バックグラウンドがある

ドイツ人の本音と建て前をはき違える

ドイツ人は「ストレートな物言いを好む」と言われており、これは実際にもその通りの部分があります。特に、仕事の場などでは、日本のような婉曲な表現は忌避される傾向にあり、何事もずばずばと物申す姿勢が好まれます。

ただし注意しなくてはいけないのが、こうしたドイツ社会にあっても、必ずしも日本的な婉曲表現が存在しないのかというとそうではなく、実際にはドイツ人もオブラートに包んだ言い方をしたり、直接言いにくいことを婉曲に伝えたりします。

具体的な例では、ドイツの求人募集には日本でのように年齢の縛り(30歳まで、といった表現)が明記されていませんが、これは必ずしも年齢が不問であることを指しません。実際には、ドイツ企業にあっても長く働いてくれる人であればそれに越したことがありませんし、その意味では、年齢というのも一つのフィルターをかける要素になってきます(ただし、明確に年齢や宗教上の信条を理由に採用を見送ることは禁じられている)。

他にも、ドイツ側の人事は、雑談や当たり障りのない挨拶の中にいろいろな仕掛けを施し、こちらの人となりを探ろうとしてきます(ドイツ語でAbleitenと呼ばれる行為)。こうしたドイツ人の振る舞いは、ドイツに長く住んでいないと分からない部分もあり、注意が必要です。

日本で喧伝されている「ドイツ人はストレートな物言いだ」という文化的な側面を額面通りに受け取り行間を読むことを怠ると、馬鹿を見てしまうケースが少なくありません。

ドイツは日本よりも労働環境が良い国だと思う

隣の芝生は青く見える、とはよく言ったもので(ちなみに、ドイツ語では❝Nachbars Kirschen sind süßer❞で、隣のサクランボは甘い、という表現を使う)、日本の労働環境や給与レベルと比較し、なんとなくメディアなどで喧伝されているため、ドイツでの働き方が魅力的に映ることがあります。

しかし蓋を開けてみれば、実際には数字として表れていないだけでドイツ企業にも残業やサビ残はありますし、有給中にメールの返信を行う社員も少なくありません(返信は義務ではないですが)。

個人の「頑張り」といったソフトの部分はあまり人事部には評価されず、要するに成果が上がったか上がってないかで社員としての質を問われるので、年次の行かない新入社員などでは、休日を犠牲にしてこっそり仕事をする、というケースもちらほらと見受けられま(参考:日本の1.5倍の生産性を誇る、ドイツの「個」を重視した働き方)。

また給与ベースでみても、ドイツの一人当たりの給与額平均は日本よりも高いですが、これはあくまで額面ベースの話であって、徴収される税金を加味すると実情、手取りに残る額はあまり日本と変わらず、むしろ社宅や交通費などの福利厚生を考慮に入れると、額面上はドイツの給料の方が大きくても、生活の質という面では日本でのほうが上回っていることもあり得ます(参考記事:ドイツの残業事情:なぜ労働天国のはずのドイツでサビ残が行われているのか?)。

労働環境や給与水準といった部分は、会社や個人の能力によるところが大きく、勿論一概にどちらが良いという結論を出すことはできません。一部の数字だけを切りとって、あたかもドイツのほうが日本よりもあらゆる面で優れていると結論づけるのも、また避けなくてはいけない勘違いでしょう。

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