日本人の知らない、ドイツ人顧客を営業するときの6つのビジネス心得

2020-12-14 | タグ:

ドイツ市場の開拓が進まない、ドイツ人との交渉が難しいという悩みを、よく巷間で耳にします。勿論それが、そもそもの自社製品・サービスの課題なのか、扱う人の課題なのかはまちまちなのですが、特に多いとされるのが「日本とドイツの営業スタイル」を根本的に知らないことによる誤ったアプローチです。

今回のコラムでは、日本人が特に注意しなくてはいけないドイツ市場における営業心得について、6つのポイントをまとめました。

徹底的に情報を引き出す

ドイツ人の営業スタイルで日本人と顕著に異なる点が、「相手のことを根掘り葉掘り聞く」というところです。

営業を仕掛けるうえで、相手のことを知るというのは世界全国で共通の営業スタンスなのですが、日本の場合、直接相手の数字を聞くことは失礼にあたるため、インターネットや四季報などでこっそりと調べつくします。

対するドイツ人の営業スタイルは、「聞くだけは無料」です。つまり、客先だろうと割とずけずけと相手の数字などについて聞いてしまうのです。勿論会社によっては教えてくれない情報もありますが、ドイツ人にとってはそれはただ得られなかった情報の一つにすぎません。情報が一つでも多く拾えたらラッキー、という程度に考えています。

基本的に、根掘り葉掘り突っ込んで聞くことに対してドイツ人顧客が心象を悪くする、という恐れはそこまでありません。顧客が秘匿したい情報であれば「それは秘密」とはっきり言いますし、逆に「知りたい情報はそっちから聞いてくれ」というスタンスなので、変に探り探り交渉するよりも、あけすけに尋ねたほうが好印象でしょう。

演繹せよ!

相手の情報をインプットしたら、それを元に顧客情報を推理して、どこのセグメントで最も自社の商品・サービスが売り込めるのかを探ります。

例えば交渉相手が小売店や中間流通層の場合、競合他社からいくらで仕入れていくらで販売しているのか、マージンはいくらになるのか、等々です。こういった情報が演繹的に類推できさえすれば、自社製品の規格をその企業向けに調整したらその分マージンで〇〇%の儲けが増える、そのためには自社の流通ルートを〇〇に変更する、といった自社での対策がとれ、次回の訪問時に相手の要望にぴったり一致する提案ができるようになります。

当然、交渉相手は自社のマージンなどを教えてくれることはないため、市場流通価格などから逆算して紐解いていくことが必要です。相手の会社の決算書などが手元にあれば、おおよその数字(マージン、一人当たりの売り上げなど)を経常利益などから引っ張ってこれるようになるので、営業社員にはこうした会計知識も要されます。

ドイツ人顧客相手にはデータを元に理詰めで相手を納得させる必要があるため(日本の習慣と異なり飲み会などがないため、基本的にはビジネスライクの駆け引きとなる)、その分数字やデータの持つ理論性が必要と言えるでしょう。

押して押して押す

ドイツ人の目から見ると、日本人の営業は非常に「内気(zurückhaltend)」にうつります。日本人の営業文化は、「押して引く」「忖度する」というところに現れており、ノンバーバルな意思疎通で影響を与える部分が多いのですが、ドイツにあっては自身の意見を明確に押し通せない者は生き残れません。

営業であれば、相手からレスポンスがなくても諦めずにひたすら電話をかけたり、相手の営業時間や迷惑な時間であることを鑑みずにどんどん連絡を入れていくスタンスです。また、メールよりも電話での交渉をドイツ人は好むため、それなりにドイツ語と英語の素養がないとドイツ人相手の営業は難しいでしょう。

余談ですが、ドイツ人の恋愛習慣もこれと似た部分があり、長々とメールやLINEをやり取りする、相手のレスポンスを待って駆け引きするという日本的なやり方よりも、ひたすら電話をし、会いましょうといって自我を押し通すことが求められます。

必ず目を見て話す

ドイツは「アイコンタクト」が重要な意味合いを持つ国です。「ビールの乾杯の時に目線を合わせないような輩は、向こう10年良い性交ができない呪いにかかる」とドイツ人の間で揶揄されるほど、日本では考えられないくらいアイコンタクトはコミュニケーションの必須アイテムです。

勿論、これは上述のビール乾杯の時だけでなく、プレゼンテーションや面接等多岐にわたります。

我々日本人は「ずっと相手の目線を合わ続けることは失礼」と教わって育ってきているため、仕事の交渉中にずっと相手の目を見るとバツの悪い感じになってしまいますが、ドイツでは、始終相手の目を見て話すぐらいの心構えでちょうどよいです。

服装は重要

ドイツ語で「Kleidung macht Leute」という諺があります。日本語訳すると「衣装が人を作る」という意味で、服装が他者に与える印象は重要なため、特に意識しなくてはいけないというニュアンスです。

これは日本の営業文化でも同様ですが、シャツがヨレヨレであったり、腕時計が安っぽいものであると、当然相手からもその程度の人間なのだと思われてしまい、いくら正しいことを言ってもはなから相手にされなくなります。

また、TPOをわきまえた服装というのも重要です。例えば日本同様、ドイツでも金融機関の服装は厳格であることが多く、スーツ+ネクタイは必須です。逆に、デザイナー等と折衝するインテリア関連やアパレル関連などであれば、一辺倒のスーツ姿よりも多少「おしゃれ感」が出るような服装が良いですし、IT畑などでは割とラフな形での面会も許されます。

仕事は迅速かつストレートに

第二次世界大戦初頭、ドイツ軍率いる機甲師団が電撃作戦を展開して即座にフランスを降伏に追い込みました。ドイツ人にとって、「ストレート」かつ「迅速」に仕事目標を達成することは、至上命題の一つです。ドイツビジネスにおいてもこの風習は受け継がれており、日本人のように根回しをして、相手とお酒を飲んで仲良くなって、じわじわと数字を増やしていくというやり方をドイツ人は好まず、電光石火の荒業でビジネスを収束させたがります。

つまり、客先に行ったら(最初の5~10分程度、アイスブレイクがありますが)、手ぶらで帰るのではなく、必ず本題の話をして、JaかNein か、Jaであれば次のステップや課題は何か、という点をクリアにして帰ってこなくてはなりません。

その点は、客先となるドイツ人も当然解っており、長々と回りくどい話をすることを好みません。端的に訪問の要点をすっきりさせ、協業の余地があるのか堂々と聞いてくれたほうが、訪問を受けるドイツ企業側にとっても時間を取られずに済みます。

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