[ドイツ就職活動と年齢] 30歳を境に企業の評価は変わるって本当?

2019-06-19 | タグ:

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ドイツ企業で就職活動をおこなうとき、年齢が原因で採用されないということはあまり聞きません。合理的なドイツ文化らしく、能力・実績さえあれば、年齢・国籍を問わず就職のチャンスはあります。

それでは、ドイツでの就職を考える際に年齢は全く影響しないのかというとそうでもなく、実際には企業によりけりですが、一定レベルで年齢を勘案されるケースが存在します。

今回は、ドイツ就職と年齢というテーマについて深堀をしていきたいと思います。

ドイツ新卒採用で年齢はどこまで考慮される?

一般的にドイツ人のキャリアスタートは大学・大学院を卒業してからと考えられており、年齢にすれば22歳~28歳辺りが「新卒としてキャリアをスタートする年齢」です。

もちろん、中には大学に行かずこれよりも早くキャリアをスタートする人もいれば、逆に30歳を超えてからキャリアをスタートする者も少なくなく、ドイツでは日本と違って新卒者の年齢に対しそこまでシビアな評価を行いません。

(一例を挙げると、ドイツの大学生の中で30歳を超えているものの数は15%以上に達します。Source: Spiegel Online

日本の例でいうと、「新卒カード」と呼ばれるほど大学卒業後の最初のキャリアは重視されます。それゆえ、日本人の中では大学卒業年齢である22歳~23歳あたりが新卒採用の目安となり、大学院に行かない限りその年齢を極端に超えての新卒採用という話はあまり一般的ではありません。

ドイツと日本、なぜ新卒年齢に対する考えが違う?

一度新卒カードを切ってしまうと就職が難しい日本と、比較的大卒者の年齢にはこだわらないドイツ、なぜこうも、新卒採用者の年齢に関する考え方が違うのでしょうか?

まず、日系企業の場合、年齢に対しある程度シビアにならなくてはならない社会的土壌が存在します。

日本では、新卒一括採用スタイルに代表されるように、多くの人材を採用し、彼らにポジションを当てはめていく、いわゆる「人ありき」の人事制度が一般的です。それは、日系企業が得意とした、企業内の暗黙知や、ローテーションありきのコミュニケーションシステムを長期的に醸成するうえで欠かせない形式です。

こうした「企業風土に適した」人材の内部育成のためには、大学卒業後のまっさらな状態での採用と教育が好まれるため、自然と「新卒一括採用方式」と「画一的な教育システム」いう日本独自の企業文化が形成されました。

また、日本(アジア)の文化である儒教的思想に基づいた年功序列制度(seniority principle)もある程度の影響を及ぼしていると言われています。30歳の新人が25歳の上司に物事を教わる、という構図は日本社会にあっては余り好ましく思われません。

一方で、ドイツ企業においては空いたポジションに人を当てはめていく「ポジションありき」の採用システムです。

日本のように「とりあえずたくさん採用して、彼らに適したポジションに当てはめていこう」という考えではなく、ポジションに人を埋めていくので、自ずと新卒一括採用という形は取りづらくなります。

こうした社会システムの中で重要視されるのは、人柄や若さ、将来のポテンシャルよりも、「そのポジションで成果を残せるか」といった合理的な観点です。

また、ドイツの場合日本のように「長期雇用」「終身雇用」が前提ではなく、数年ごとに職を転々とするジョブホッピングが一般的であるため、企業側としても将来辞めるかも知れない人材に日系企業のように長々と時間をかけて育てることができない、という都合もあります。

新卒で採用して将来的に長く育成していきたい日本と、採用者のスキルを重視して将来の退職を前提とするドイツとでは、採用者の年齢に対する捉え方が違 ってもなんら不思議ではありません。

こうした年齢に対する考え方は、ドイツで就職する際にも「ドイツ企業」に応募するのか「在独日系企業」に応募するのかによって異なります。以下、それぞれの企業の特性を、就活時の年齢という面で見ていきたいと思います。

ドイツ企業と就活の年齢

ドイツ企業の場合、上述のように重要視されるのは「スキル」です。もちろん、その人が将来長く会社にいてくれるか、企業風土に適するかも評価の対象になりますが、優先課題はその人の仕事上のパフォーマンスです。

そのパフォーマンスのポテンシャルを確認するため、年齢よりも「職歴」「過去の業務上の成果」「学歴」などに的を絞った評価をおこないます。

どれほどの割合で学歴と過去の職歴が評価されるかは、30歳あたりを境目に異なります。

キャリアのスタート(30歳くらいまでの新卒採用者)で、まだ過去の職歴がない場合は、大学の成績や学歴、語学力、専門知識等をもとに評価する形になります。また、この場合正規採用ではなく、インターンとして雇い始める企業も少なくありません。

逆に30歳を超えてから就職・転職を考える場合、インターンとしてではなく即戦力としての実力が求められます。この場合、「過去の職務上の経験」が学歴よりも物を言うようになります。

例えば、ドイツの人材エキスパート企業の統計データによると、30歳以上の会社勤めの80%がよりその分野に精通した「Senior Manager」としての職能を持っており(20代の場合45%近く)、やはり滞りなくビジネスがおこなえる実績が求められます(Source: Gulp Gmbh)。

仕事上の経験で言えば、30~35歳でドイツに転職する場合、大体7~8年のキャリアがその分野で求められているということです。

在独日系企業と就活の年齢

日系企業の場合は、上述のように「会社が人を育てる文化」というものが根付いており、それは在独の日系企業にあっても多かれ少なかれ残されている部分が多いです。

そのためやはり、将来的にどこまでの人材に育ってくれるか、というものは日系企業人事の大きな評価対象の一つになり、若いということはそれなりにプラス要因になることが少なくありません。

とはいえ、この辺りの事情はポジションなどにも関わっており、「マネージャークラス」「課長クラス」ともなると年齢よりももはや仕事上の経験や実績などが物を言う世界になってきます。

そのため、日系企業においても30歳以下であれば「将来の育成対象」としてポテンシャルが買われ、30歳を過ぎるとポテンシャルよりも過去の実績が評価される傾向にあります。

ドイツ企業にしろ日系企業にしろ、つまるところ年齢が物を言うかどうかは募集ポジションや求められる人材像によって異なるため、若さがポジティブに働くかネガティブに働くかは実際のところケースバイケースです。

それよりも、仕事上の経験・実績、語学力、ドイツで働こうという熱意のほうが、ドイツでの就職を考える場合、評価の対象になるケースが多いです。

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