日系企業に就職すると、日本人の上司や同僚との飲み会、会食の機会も少なくありません。こうした、一見して仕事とは関係のないような場面でも、日本人社会の中にはある一定のルールが存在します。こうした「社外」でのしきたりは、日系企業においてはかなり重要な意味を持つため、仕事ではないと言っても気を遣う必要があります。

今回の記事では、日本人の同僚・上司と飲み会や夕食に行った際の不文律についてまとめていきたいと思います。この記事は、日系企業に就職するドイツ人の方を対象にしていますが、日本人の方で新卒採用の人にも参考になります。

レストランの予約

日本人との食事のルールは、すでにレストランの予約からスタートします。場合にもよりますが、一般的にレストランを予約するのは末席の仕事であり、日本人の同僚や上司との食事が決まったら、まずはテーブルを確保するところから仕事が始まります。レストラン予約を日本語以外でしなくてはいけない場合、日本人の社員はそれさえもストレスと感じることがあります。そうした際は率先して予約を行ってあげましょう。

レストランを予約するにあたって、最低でも以下のポイントは抑えておきたいところです。

  • 何人くらいの人数が参加するのか
  • 上司や同僚の好みの料理はあるのか(食べられないものは無いか)
  • 何時ごろに予約すればよいのか

特に、時間に関しては注意が必要です。日系企業においては、残業が行われる場合、18時に終わると想定していても、18時半になったり、場合によっては19時になってしまったりすることもあります。そのため、ある程度時間の余裕を持たせられるお店をチョイスすることが重要です。

座る席の位置

会社からタクシーでお店に向かう場合、あるいはお店に到着してテーブルに着席するとき、日本社会では序列に応じて座る位置が決められています。

タクシーの位置

タクシーでお店に向かう場合、一番地位の高い人の席は「ドライバーの後ろ」です。古い時代のなごりですが、自動車に乗るとき一番安全な席はドライバーの後ろのため、常にこの席は社内で最も地位の高い人間が座ります。逆に、末席の人間は助手席に座って、支払いの手続きや目的地までの案内を行う必要があります。

ただし、人によってはタクシーの会計のために前に座りたかったり、広いスペースに座りたいといった場合前に座りたがるので、臨機応変に対応しましょう。

レストランの座席

これも古い時代の名残ですが、一番安全なのはドアから最も遠い席と言われており、地位の高い人間はそこに座ります。逆に、末席の人間はドアから一番近い席に座り、注文などを行いやすくします。

ただしこちらもタクシー同様ケースバイケースで、人によってはタバコを吸いに外に行くためにドアの近くの席を好んだりするので、全ての会社に当てはまるわけではありません。

オーダーする料理・飲み物

日本人の飲み会にあって、非常に一般的なのは最初にビールを注文する文化です。これを日本人は「とりあえず生で」と表現します。勿論、ビール以外を注文することも可能ですが、4人中3人が「生ビール」を注文する中で、一人だけ別の飲み物を注文することはあまり好ましくないとされています。

なぜなら、一人だけ別の飲み物を注文すると、その飲み物だけ作る時間がかかり、「乾杯」のタイミングに会わないことがあるからです。こうした些細な不調和は、ハーモニーを重んじる日系社会では好ましく映りません。

また、ビールの銘柄に関しても注意が必要です。日系企業の中には、特定のビール会社と親密な関係にあることがあるからです。具体的には、キリンビールは三菱系列(三菱グループ、三菱銀行等)、アサヒビールは住友系列(住友グループ、三井住友銀行等)、サッポロビールは芙蓉グループ(日産、みずほ銀行等)と強い関係を持っており、仮に職場の人間がこうした系列関係にこだわりを持っている場合、別グループのビールを注文することは気分を損ねる可能性があります。

料理に関しては、日本人は料理を取り分けてシェアする文化を持っているため、一人向けの料理を一つオーダーするよりも、みんなでとりわけられる料理をたくさんオーダーするやり方が無難です。

Sapporo Beer

お会計の際

会社のやり方に従う必要がありますが、上司がお会計を済ませる場合でも、その他の人間は必ず財布を出し、支払うそぶりを見せる必要があります。「ご馳走してもらって当たり前」という態度は好ましくありません。

上司が、「ここは私が払う」といった場合、お会計が終わるまで店の外のドアの前で待機します。これは、会計の際の支払い方法をじっと見ることが失礼に当たるためです。

上司(あるいはご馳走してくれた人)が外に出てきたら必ずお辞儀をして「ごちそうさまでした」と謝意を伝えましょう。また、翌日出社した際には改めて「昨日はありがとうございました」と伝えると非常に丁寧です。